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8.「理解眼」の限界点

第八話です。

理解眼について考える回です。


ちなみに先日はじめての誤字(誤認識?)の修正をもらいました。

ここまで見てくださっている方々、ありがとうございます!

さて、家に戻って来てお風呂に入った後も頭痛に襲われているであろう二条くん。

しかし心を鬼にした私は彼に重大なことを言わなければならない。

ちなみに今は一木がお風呂タイムとのことで、この場には私と二条くんと三崎だけだ。


「さて二条くん。今日の反省会だよ。

 「理解眼」の限界点はわかったかな?」

「限界、ですか……?」

「ミヤビちゃん厳しいねぇ。アドバイスするにしても明日にしたほうが……」


三崎の言うことももっともだけど、それはダメだ。

明日言ったら明日一日悩み続けるに決まってる。

疲れて寝る前の今がベストタイミングなのだよ。


「まず「理解眼」で得られる情報はその時点と決着をつなぐ最短ルートしかない。

 よって、相手の意図が変化する状況、つまり玄人相手の対人戦にはめっぽう弱い」

「そうですね。「理解眼」の景色があそこまで変化したのは初めてでした……

 でも、それならいままでうまくいっていたのは……」

「相手が弱かったからだね」


バッサリ言った結果二条くんが凹んでるけど、これは事実だし、二条くんも理解できているはず。

なにせモンスターは本能に従う戦術しか取らないし

「ちょっとした小競り合い」程度に玄人軍人が出張ってくることもないわけだし。


「あとは意識して「理解眼」を使い続けないと相手の変化を観測できない。

 実際の玄人軍人を相手取ったら、相手はスタミナ切れを待てば相手の指揮系統を無力化できてしまう」


私が碁会所で「スタミナを鍛えたい」といったのはここが理由だ。

もしも二条くんの国防が「理解眼」に頼りっきりだったとしたら、彼のスタミナは継戦能力に直結するからね。


「具体的に今後どうするかは明日言うよ。

 今は己の弱さを噛み締めて寝るがいい~」

「ミヤビちゃん、それは冗談にならない」

「……笑い飛ばす方法は明日教えるって。

 そんなわけで今日は」

「マジメに聞いてる?」


おや、ガチ凹みの二条くんに対して、すっくと立ち上がって睨んできた三崎は私に本気で怒ってるようだ。

流石に「己の弱さを」はネタとしてやりすぎだったかもしれない。が、必要なセリフだ。

そして三崎よ、君の怒りをなだめるのは今ではないんだよね。


「君たち三人が色々と思い出を共有してるのは想像できる。

 その中に二条くんにとっての悲しい思い出があるのもわかる。

 だけど、自力で辛さを超えないうちに解決策を出す方が問題になることもある」

「二条に……リーヴェに一人でそれを超えろっての?」

「これは必要な痛みだと思ってる。

 それと三崎、君は二条くんの力を信じられないかな?」


自覚がなかったのか、一瞬三崎の瞳が揺れる。

さっきの発言は「二条くんは誰かの助けがないと生きていけない」という意味にも取れるからね。


どうやら彼らは人付き合いが下手な純粋培養の「王子様」で間違いなさそうだ。

おまけに「王子様」かつ特異な能力を持っていることで、余計に周りも気を使いすぎたのだろう。

もっとに言えば、似たような年齢に見える割にスキが多いのだ。


このままだと私がもやもやして寝れないな……仕方がない。


「……管理者権限/アドミン。三崎、二条くんが明日立ち直れない状況と判断したなら、一発私を殴れ」

「……はぁ!?」

「え?」

「少なくとも今日の訓練、二条くんは最後まで諦めはしなかった。

 多分一晩休めば気合入れ直せるって。

 ふたりともお風呂は終わったんだし早く寝ると良いよ」


そしてそそくさと寝室に退散する私。

ああ言っておけば三崎の疑念はとりあえず棚上げできる。

それに、明日になれば二条くんはきっと、確実に回復するはずだ。




雅が去った後、部屋に残された二人。

二条は一息つくと、ふらつきながらも立ち上がり、王子三人の寝室へ向かう。


「三崎くん。それじゃ僕は寝るよ」

「お前は良いのかリーヴェ! あのときお前がどんなに悩み、苦しんだか……!

 ミヤビちゃんは何もわかってないのに!」


三崎はその肩を掴む。しかし、二条は友人である彼に顔を向けずにつぶやいた。


「今日はもう寝る。それと、ここでは僕は「二条」ってことになってる。

 しばらくは「リーヴェ」って呼ばないで」

「……わかったよ」


フラフラの体から出たとは思えない強気な言葉に、三崎はそれ以上動くことはできなかった。

基本的にシーン転換で話数を区切っているこの作品。

その結果、一話あたりの字数がが2000字弱になり、ちょっと一本あたりの分量が短いかという懸念があります。

が、実はこの分量とノリで結構書き溜めしているので、この作品についてはこのまま突っ切ります。

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