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19.神様(仮)、再び

第19話です。

こちらは十分な分量がある(主観)ようです。

そんなこんなで三人それぞれを連れ出し終わってから一週間が経過した。

二条くんは碁会所に一人で行けるようになり、相変わらず熱心に囲碁の本を読んでいるが、それ以外にも戦争、心理学など関連分野の本も読むようになっていた。

そろそろ囲碁以外のゲームにも触れてもらいたいところなので、目下対策検討中。


同様に、一木と三崎にも自由な外出を許すようにした。

このときもやはり管理者権限/アドミンは便利であった。

いやー、早いうちに実験できて、十分な成果が得られてよかったよ。


『管理者権限。こっちに要る間は日本の交通ルールを遵守し、犯罪行為をしないこと』

『は?』『え?『へ?』


『んじゃ一木、赤信号は?』

『止まる』

『二条くん、青信号は』

『進んでよし』

『三崎、黄信号は』

『注意する』

『よし、実験終了!』

『『『何が!?』』』


三人は混乱していたようだが、この実験で得られたも結果にはものすごく大きな意味がある。

なにせ「本人が内容を把握していなくても管理者の命令は有効である」という結果が得られたのだ。

赤信号、青信号の意味はともかく、黄信号の意味なんて三人には教えていないにも関わらず、

三崎は教科書通りに内容を回答したのだから。


こうして私はとりあえず交通事故という三人の身近な危険を排除し、彼らの自由な外出のための課題をひとつクリアしたのであった。



で、いつもどおりに夕ご飯タイム。

四人分の調理もそれなりに慣れてきた今日このごろ。

それを食べている王子達は、それぞれの学びをシェアしていた。


「しかしこっちの世界の食事はどれもうまいな……

 最近聞いたが、作物の味をよくするために薬をまいたり、

 意図して品種のかけ合わせとかもしているんだってな」

「かけ合わせ?」

「ああ。少し質の違う作物同士を近くに置くことで、それらの特徴が合わさった物になるんだそうだ」

「そうなんですか……料理する人の腕前だけじゃないんですね」


嬉しそうに言う二条くんだが、私のズボラ料理には腕前とかはあんまり関係ないのだよ。

てか、あんまり持ち上げられると逆に良心が痛むというか……


「そういえば、この三人でお出かけってしたことあるの?」


……食卓が沈黙に包まれた。なにこれデジャブ。


「ない、な」


これはまたやっちゃいましたねぇ。なんで私はこうふとした瞬間に地雷を踏んでしまうんだろう。

あれか、ふとした瞬間は注意力が散漫なせいか。それなら納得。

さ、現実の対応に戻ろうかな。


「んじゃ、明日は全員でどっか遊びに行こうか。

 幸い国家予算があるから遊び放題だし」

「本当ですか!?」

「うん。幸いにして私も今は春休み期間だから時間はある。

 それにたまには課題無視して遊ぶってのもいい経験でしょ?」

「まぁ、そうだよな」


よし、とりあえず二条くんと一木は乗り気だ。

しかしこういう話に三崎が乗ってこないのはちょっと違和感がある。


「けど、遊ぶったってどこに行くの?

 俺たちセットだと楽しめるところって限定されるけど」

「限定?」

「試しに俺たちが行きたいところ言ってみようか? せーの」


「ボードゲームカフェ」「自然公園」「スポーツランド」


あー、そういうことね。確かに好みと得意はバラけるよね。

と言うか二条くん、すでに囲碁以外にもやれること開拓し始めてたのか。

おそらく碁会所にいる誰かさんの差し金だな? ナイス彦爺。


「まぁ、明日一日探せば新しい遊びくらいなんとかなるでしょ。

 決行は明後日に延期するから、明日は三人お部屋でゆるっと過ごせばいいよ」

「「「はーい」」」


こうして夕食の一時は一段落し、それぞれが風呂って眠りについたのであった。



が、今夜の私についてはちょっと状況が違った。

眠りについたと思ったら光に包まれやってきたのはいつぞやの空間。

そう、確か「世界の境界線」と呼ばれていた場所。


「ミヤビさん、こんばんは」

「久しぶりだね神様(仮)。こっちは楽しくやらせてもらってるよ」


当然そこに出てくるのはあなた一択ですよね。知ってた。

おそらく目的は「社会見学の途中経過」ってところだろう。


「前回に引き続き察しが良すぎませんか?」

「脳内トークもだだ漏れなんだ。

 これはいい情報ゲットだね」

「……話を始めます」


神様(仮)はそう言うと咳払いを一つして話を始めた。


「正直、とても驚いています。

 王子達があそこまで素直にあなたに従うようになるとは思わなかったので」

「成果は上々ってことですかね?」

「ええ。王子達はそれぞれの課題を見出し、自ら魔眼を使いこなそうとしています。

 これはウィル・メイガにいた頃ではありえないことなのです」


にっこり笑って言ってるけど、その言い方はちょっとムカつくな。

彼らが荒れてたのは主に「魔眼」だけを目的とした大人たちのせいだろうに。


「そうです。ですが、王子達もそれに甘んじていたのは事実。

 今の彼らであればウィル・メイガに戻っても自分の意志で行動できるでしょう」

「つまり、社会見学の時間切れが近いって言いたいんですかね?

 できればもうちょっと伸ばしてくれるともっと良い成果が出ると思うんだけど」

「私も全力を尽くしてはいるのですが、何分妨害が激しいので……」


妨害? ちょっと待て、もしかして神様(仮)にはライバルとか上位存在とかがいるわけ?


「妨害しているのは、ウィル・メイガの一部の人々です。

 三人の王子が全員不在の状況をよく思っていない人々が、儀式を妨害しているのです」


……え、マジで?

【悲報】神様、未定にしていた帰還時期を結構短めで決める。

次回もよろしくお願いします。

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