ロウリュが来る前に
勢いそれすなわちロウリュなり。
灼熱の中、漢たちはその鍛え抜かれた体より大量の汗を吹き出しながらその時を待っていたっ!
残り5・4・3・2......1っっ!!ジュワあああああああ!!!途端信じられないほどの熱波が漢たちを包み込んだっ!いやそんな生易しい表現ではないだろう!吞み込んだのだ!!!!!!!!
猛烈っ!なんという暑さか!ここは砂漠か?!太陽か!?いいや違う!ここはサウナっ!
そう『サウナ』であるッ!
2022年4月某日。男はとある寂れた温泉宿にやってきていた。古民家、といっても過言ではないほどの年季を感じ取れる風貌はどこか弱弱しく、それでいて厳かであった。
ガラガラガラガラ、引き戸を開ける。
「いらっしゃいませぇ。」
老婆が番台に座っていた。齢80ほどにも見えるその老婆の腕は、年齢を感じさせないほど、というか老婆じゃない。そもそも女性ではないといえるほど太かった。割る前の薪、そのレベルである。
が、しかしそんなことは全く気にならない。老婆から差し出された筋骨隆々の手に料金500を預け、脱衣所へ向かう。
ッ!なんというプレッシャー!!!!!!!そこにいる漢どもから放たれる異常なほどの圧。
熊に囲まれたと錯覚するその恐ろしい空間に一歩、また一歩足を踏み入れていく。
服を脱ごうと、シャツに手をかける。瞬間、圧はさらに重くなった。視線には殺気さえ感じ取れる。
もはやここまで、男は豪快にそのシャツを脱ぎ捨てた。
拍手喝采、大絶叫。。。その場は漢たちの咆哮で満たされたのである。
「よい!非常によいぞ!おぬしどこでそれほどのものを手に入れた?」
「どうもありがとうございます。これは、、、そうですね、”地獄山‘’......といえば分かりますかね?」
「地獄山だと!?」
「あの山を克服したというのか!」
「超越者…まさか出会えるとは。」
「納得の筋肉だぜ。。。。。。」
彼を称える声が連鎖していく。
「うむ、合格だ。我々もちょうど来たとこなのだ。行こうではないか!」
「「「おうっ!!!」」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして冒頭へと戻る。。。
「くうううううう、なんという熱量じゃ!」
「ええ!まさかこれほどとは!」
「地獄山と比べてどうじゃ?」
「同格.......、もしくはそれ以上ですっ!」
「おぬしでさえもか・・・。」
ロウリュ、サウナにおけるとんでもないイベント。
なかでもここ、竜縁温泉のロウリュは科学でも証明できない不可思議な現象により信じられない熱量を誇っているのだ!このサウナを抜けられたものはサウナーなら誰もが欲する称号、
『楼龍王』が与えられるのである!得たものは後にも先にもたったの一人!
あの波浮吉晴のみなのだ!
「はぁ、はぁ、あと私たちだけですね.......。」
「そうじゃな.......。」
「俺、行きます。なるんです。楼龍王にッ!!!!!」
「わしもじゃ。齢71、50年以上の時を超えわしはッッ!」
「来ます!最後の一波です!」
「よおし!ゆくぞ!!!!!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「というのが、当館のサウナにおける伝説となっております。」
「結局二人は王になれたんですか?」
「現存する文献によると、我が町の北と南に位置する二つの山は、二人の熱量が爆発して
そのエネルギーでできたといわれています。」
「あほくさ」
サウナで感動したため執筆。