彼女の作り方教えてください!
俺、緋波 真斗は梅雨のじめっとした空気を感じながら、自分の通う高校へと足を進めていた。
「はぁ~」
俺はこの頃登校時よくため息をするようになった、この頃というのは大体高二に上がったころからだろうか、ため息の理由というのは
『高二にもなって彼女がいない問題』だ
登校時はカップルが楽しそうに一緒にいる姿が目に入ってくるからどうしてもため息が出る
「普通に学校生活送ってたら彼女なんてすぐできると思ってたのに・・・・はぁ~」
結構見た目には気使ってるのにできないんだよな
キーンコーンカーンコーン
少し遠くの方からチャイムの音が聞こえてきた、時計を見ると針はちょうど八時十五分を指していた
「うおっ、やべぇこれSHRの五分前のチャイムじゃんか!」
バンッ!
勢いよく教室のドアを開ける
「お~緋波~、ギリギリだな、ほら早く座れSHR始めるから」
そういってくる担任の升谷の言葉に「はい」と返事をしながら走ってきて乱れた髪を直し自分の席へ行く
「ふふっ、どうしたの真斗?寝坊なんて珍しい」
そう話しかけてきたのは幼馴染の有原 由愛家が隣で昔からよく遊んでいるし、今でも家に遊びに来たりご飯を食べたりしている、逆に俺が由愛のうちに行くこともあるくらいだ。
「おっ、由愛おはよ、いやこれ寝ぐせ直してるんじゃなくて走ってきたら髪が乱れたから直してるだけであって別に寝坊はしてないんだけど、普通に考え事してて気づいたら遠くの方からチャイム聞こえてきて急いできたって感じ」
「ねぇ真斗、考え事って何考えてたの?」
「いやそれがさ彼女が―――
「緋波と有原静かにしろ~もうSHR始まってるんだから」
「「はい」」
俺たちは向き合っていた体を前に向けた
「えっ、ちょ、ちょっと待って今まーくん彼女って言った?!まーくん彼女いたの?!」
「おっ、おい由愛学校でまーくんはやめようって、しかも彼女はいないから!何なら募集中なくらいだよ!――――あっ」
気づいた時には遅く俺の声は教室に響いていた、そして数秒が立った時クラスにドッと笑いが生まれた。
「ははっ、真斗が彼女ほしいのは十分俺たちのも伝わったから、いったん落ち着けって」
「そうそう、彼女は自然とできるから焦んなって!」
そんなこと言ってくる奴らがいたが今は恥ずかしさの方が勝って何も考えられなかった。
そのあとすぐに升谷が静かにするように言って、少し話をして俺にとっては地獄になったSHRは終わった。
もちろんSHRが終わるとみんなの記憶が消えているなんてことはなく、一日中いじられた。
帰りは誰にも会わないように一番に教室を出て家に帰った、帰った後テレビを見てゆっくりしていると家のチャイムが鳴った、モニターから見たけど誰だか分らなかった。
「はーい、どちら様ですかー」
『まーくん、私~』
「あっ、なんだ由愛か、勝手にドア開けていいよ~」
そういったらすぐに玄関の方でガチャっと音がした
「お邪魔しまーす」
そういって、リビングに入ってきた由愛は当然学校で見る制服姿ではなく、私服だった、しかも胸の谷間が見えてしまいそうなほど首回りが大きく開いてる―——っとあんまりにも見すぎていたかもいれない
「いっ、いらっしゃい、どうした?いまもう九時だし、うちにご飯食べに来たってわけじゃないよね?」
「うん。違うよ、実はね話があるんだ」
「はっ、話っていうと?」
「・・・・・」
「・・・・・」
少しの沈黙の後由愛は口を開いた
「まーくん、彼女ほしいって言ってたじゃん?だから、さ、わわわわわ私が・・・・・かっ、彼女の作り方教えてあげようと思って!!」
「・・・えっマジ!ぜひ!由愛が教えてくれるんなら絶対作れると思う!」
由愛が彼女の作り方を?!そんなの絶対教えてもらえれば彼女ができるにきまってる!
俺が喜ぶ一方で由愛は何か暗い顔をしているように見えた