トーツの語りと戦後処理
「みんなもそれぞれ鍛練を怠らず、常に強くなろうとしてるよな。俺はそれを知ってるし、俺自信努力もしているつもりだ。みんなもそれは分かるよな?」
トーツはみんなに語りかけ、みんなも頷く。
「誰だって強くなりたいし、まだ限界なんて見えてない。俺達はまだまだ強くなれる。そこはみんなに納得して貰えると思う」
一旦言葉を切り、トーツは周りを見渡した。ここはさっきまでまさに自分達の現状の限界ギリギリで戦いながら死線を踏み越えようとしていた場所だ。あっという間に、夢から覚めたようにこの周辺は静かになっていて、弩弓砲の撤収や他ハンターの戦利品の回収と本陣への帰還も始まっている。しかし『ゲート』がゆっくりと閉じ始めているとはいえ、まだ魔物は溢れてきているので、戦う余力のあるパーティは前線へと赴いていった。
「二年前の『ゲート』防衛戦の時の彼等はA++ランクでそれでも圧倒的に強かった。今日ここにいたAランクのハンターの誰よりもだ。でもそこを目指して頑張ろう、俺もあの人達のようになるんだって、良い刺激になって張り切ってたもんさ」
トーツは近くの石に腰を落とした。ガジィーも思い出したように言う。
「そうだったな。オレはまだトーツと組んでなかったがあの戦いには参加していた。今回ほどムチャな戦いじゃなかったし割と早く片付いたから忘れてたが、遠くの最前線でとんでもない活躍をしているのが何人かいたな。それがあの時の奴等かよ」 チッと軽く舌打ちをするガジィー。「まるで別人じゃねえかよ」と苦々しく呟く。
「別人どころの騒ぎじゃないさ。今見た彼等の活躍は。
まるで神か魔王にでもなったかのような破壊力だ。さっき見て感じただろう? あれでまだ全力の欠片も見せていないはずだ。彼らがその気になったら世界だって滅ぼせるかもな」
トーツはガジィーを見つめ質問する。
「ガジィー、今お前、それならもう『ゲート』は彼等に任せればいいって、死ぬ思いまでして、やってらんねぇって思わなかったか?」
そう言われ、ガジィーは見透かされたことに驚く。俺もガジィーより先にそれに気付いたからこそ、そしてそれが間違いであると分かっているからこそ、あのように答えたのだ。
「ここにいたハンターの殆どはそう思ったことだろう。俺もかつてはそうだった。犠牲者のいるパーティや部位欠損で再起不能な奴はハンター側にも国軍側にもいるだろう。そんな奴らの方が強く感じたはずだ。そんな気持ちが蔓延したらどうなると思う?」
今度はみんなに問いかける。言い難そうにしている仲間達を尻目に俺が答える。
「もっと彼らが早く来てくれていれば。なんで仲間を助けてくれなかったんだって意見も出るだろうな…。そして、あんなに簡単に終るなら全てを任せればいい。俺達は戦わなくていいってなって、ハンターも国軍も弱体化し、全部押し付けられた『赤竜石隊』が間に合わなければそこから街は壊滅し、全ての責任を押し付けたハンターや国民達は無責任に彼らを責めることに…」
「そんな…」
メイフルーは俺の嫌な未来予想図を聞き、辛そうな顔をするがそれを否定することはなかった。
「そうだ。今助けられたハンター達をこのままにしておけば、必ずそんな未来が来て世界は大打撃を受けるだろう。途中で『自分達が間違ってた』って思い直す暇なんてない。そのまま滅びるだろうな。彼らだけを残して」
暫く沈黙が流れた。誰もが彼らの強さに圧倒され、次元の違いに戦き、今の自分との差を考えた。少し甘えが出始めていたのを自分自身も感じている。俺なんてパーティでも一番ヘボくて自分の弱さに挫けそうになったこと何度もあるもんな。それぞれ思い詰めているとトーツが軽い溜め息を吐き言ってくる。
「大丈夫だよ。こうなることを承知の上で彼らは俺達を助けたんだ。俺達にまだ絶望した訳じゃない。希望を託されたんだ。最後にハンターも国軍も集めて話をするだろうさ。各国の王にも散々脅しているらしいがな。俺達は彼らに見捨てられないよう精一杯頑張るしかないからな」
それを聞いて俺はゾッとする。第一印象はとても気さくで人当たりの良い人達だった。そんな彼らに見放されるなんて。しかしここで疑問がひとつ湧いてきた。
「なあトーツ。彼らはいつあんな力を手に入れたんだ?」
みんなも俺と同じタイミングで思い至ったのだろう。トーツもそのつもりで語り出す。
「二年前の『ゲート』が終わって彼らは世界を巡る冒険の旅に出た。国やハンターギルドからの許可を貰うかわりにある依頼を受けてな」
「その依頼って?」
レイセリアが促す。
「『ゲート』の謎解きとその永久的な消滅方法さ」
俺は頷く。確かに数百年前に突然発現するようになったものだし、何故か明らかな法則性もある。何らかの原因があって発現しているのなら その原因を取り除けばもう発現しなくなるのは道理だ。天才のリズさんがいる最強パーティに依頼するのは効率のいいことだろう。
「旅に出て一年も経たないうちだった。北の方の国に『ゲート』が発現し、そこでの活躍でSランクに認定されたらしい。この大陸にも他に何人かSランクはいるらしいし、その防衛戦にも参加していたそうだが、赤竜石隊は既に別格だったらしい。当時手紙が届いてな。『俺達Sランクになっちまったらしい』って冗談のように書いてあったが、同じ頃のギルドの掲示板にも彼等の記事が載っていたから間違いないみたいだ」
「つまりこの街を出て、わずか一年も経たずにあの力を手に入れたってことですか?」
メイフルーが疑わしそうに訪ねる。俺もそれはとても信じられない。トーツはメイフルーをチラリと見て続きを語り出す。
「その頃から各地で騒がれ出してな。初めは堂々とギルドや街に出入りしていたそうだが、英雄扱いとその秘密を探ろうとするハンターにしつこくされたらしくて、慎重に身を隠すようになったそうだ」
最強の座を奪われたSランクの嫉妬が酷かったそうだ。妬み嫉み僻みを押し付けて来て、何とか陥れようと画策し、まわりも手が付けられない程の荒れっぷりだったらしい。彼らは自分が蒔いた種でもあるわけだし、かといって力で捩じ伏せて大事な戦力を失うわけにもいかず、宥めすかして酒を呑み交わし、煽て上げてからなんとかその場を収めたそうだ。まったく情けない話だ。
「あの空飛ぶ騎獣も力と同じ頃に手に入れたそうで、俺も一回乗せて貰ったがやたらと速やくてな、あれでこの一年間何回かこの街に戻ってきていたらしい」
動物好きなレイセリアが羨ましそうに目を輝かせる。無表情だが。
「その一回乗せて貰った時に、人気の全くないこの大陸にある魔境とされるエリアに連れていかれて、バカみたいに強い魔物達を相手に力を見せてくれたんだ。その時の力は今日ほどじゃなかったがそりゃもう呆然としたさ。今日のお前らみたいにな」
四人とも少し照れ、頬を掻いたり苦笑したりする。トーツもフッと笑みをこぼし続ける。
「その後街に変装して入り、俺名義で急遽借りた一軒家に酒や肴を買い込んできてな。コソコソしてた鬱憤が溜まってたんだろう。朝まで飲んで管を巻かれたよ。俺も興奮が後になって湧いてきて『どうやってあんな力手に入れたんだ』って聞いたんだ」
いよいよ核心に来た。誰かがこくりと唾を飲む音がする。
「彼らは言った。『お前だから見せた。だけどどうやって手に入れたのかは言えない。欲しいなら自分で見つけろ』ってさ。俺だって食い下がったさ。そしたらこう言った。『もしこの力を野心ある者が手に入れたらどうなると思う? 俺達はまだまだ強くなれる。この力を持つ他の存在を俺達はまだ知らないが、もし世界に嫌気が刺したとしたら俺達を止められるのは何処の誰なんだろうな』って。ほぼ泥酔していたアルフレイドは『俺達は何と戦う為にこんな力を手に入れちまったんだろうな』と自嘲気味に言って酔い潰れたよ。
そしたら酒に強いリズさんがこう言った。『安心しなさい。悪人がどうやっても手に入れられる力じゃないし、私達も『ゲート』を閉めること以外には今のところ使い道はないから。それに他の人がもしこの力を持っていて、『ゲート』を閉じる以外に野心的に動いていたとしたら、世界は何処かで終わり始めている。そうなった時に食い止めるのが私達なのかもしれないわね』ってな」
トーツは言葉の途中から『ゲート』の中程に目を向ける。ゆっくり閉じていくゲートからもまだ魔物は湧いてきていたが、それらをリズさんが彼女にとっては最弱であろう魔法で次々と仕留めていた。隣にギースさんが胡座をかいて座っているのが見えるが、他のメンバーの姿はない。
俺達四人はここまで聞いて漸く肩の力を抜き溜め息を吐く。結局あの力の秘密は分からず終いだが納得のいく話ではあった。
彼等の力には正直憧れるし、喉から手が出るほど欲しい。でもトーツの話を聞いて今の俺達じゃあどう足掻いても手に入らない物なんだろう。せめて彼等が旅に出る前の強さ、A++ランクにまで上がらないとその資格すらないのだろう。
万が一にもあんな力を誰かに悪用されでもしたら大変なことになる。分かったのは『この大陸には他に同じ力を持った者はいない』と『力を手に入れるには何らかの方法がある』と『その力を悪用できないし資格の無い者は手に入れられない』ってことらしい。あくまで彼らの言い分を信じるならばだが。
「少なくとも求めているうちは手に入らない力のようだ。だから俺は諦め自分の力で強くなろうと決意した。せめて彼らが力を手に入れる前くらいには近付きたいと思ったが、今日早速死にかけたしな。自分の弱さがつくづく嫌になるよ」
長く語ったトーツは長い溜め息を吐く。肩の荷が降りて楽になったのか、両肩を回しながら話を終わらせる。
「てなわけで、あの力は限界の十や二十超えたところで手に入る物じゃないらしい。俺達の行き着く先には存在しない何かなんだ。だからその話に触れないってんなら紹介してやるさ。自慢のパーティメンバーなんだからな」
「そう言われちゃ仕方がねえなぁ! これからだって死に物狂いで強くなってやらぁ!」
ガジィーがさっきまでの自分を吹き飛ばすかのように大声を上げる。俺も「よーし! やってやらあ!」と気合いを入れ、ガジィーとハイタッチを打ち鳴らす。
レイセリアが「うるさい」と呟くが頬を紅潮させやる気に満ちているようだ。彼女の両肩に手を乗せたメイフルーも「まあまあ、みんなで自分に恥じない生き方をしていきましょう。ほどほどに」と嬉しそうだ。
トーツの言うことに俺達も約束を守ることを誓う。大丈夫だ。力を手に入れる前の彼らだって雲の上の存在なんだから、それまでの話だって勉強になるはずだ。楽しい飲み会になればと思いつつ、ひとつだけ気にかかることがあった。
彼らがトーツだけに話した理由、そしてトーツが俺達に話した理由。それは俺達に同じ力を持って欲しいと願っているのではないか……。
俺にはそんな気がしていた。
「なぁ、オレ達はどうするよ?」
話が纏まったところで今後のパーティの動向を尋ねるガジィー。どうするとは倒した魔物からの戦利品を今剥ぐかってことだと思うけど。
通常のハントでの戦利品は倒したものに権利があり、自分で解体して可能なら死骸の処理もする。処理は火葬だったり神官による浄化だったりする。俺達の場合はメイフルーの神聖スキル『浄化の魂葬』があるので、場所を選ばず使用可能だが、魔力の残り具合によっては放置することもある。あまりに大きい魔物だと土に埋めることも焼くことも出来ない場合が多いのだ。神聖スキルなら灰のように崩れ土に還るのだが、放置すると腐敗し虫が湧き悪臭を放つ。他の魔物や野生の肉食動物を引き寄せる原因にもなるのであまりオススメできない。
今回の対『ゲート』防衛戦のような場合は、魔物の死骸の数は数十万から数百万はあるだろう。大抵の場合は翌日から各宗派の神官や司祭が総出で浄化を行う。宗派毎に別れ、集団での巨大な陣を広げる特殊な神聖スキルを使い、数千から数万ずつ浄化していくのだ。
しかし浄化してしまうと戦利品が何も手に入らなくなる。大抵が皮や外骨格、骨、牙、角、獣毛だったり、生で採取する体液、毒液、血液、心臓、肝臓等々…そして核にある魂石も外せない。様々なものが各分野で活用され、中には稀少な物もあり高値で取り引きされたりすることもあるので、今この場は時間制限あり早い者勝ちの宝の山だったりする。そしてハンターの大事な収入源だ。
今もたくましいハンター達は解体用のナイフで切り裂き、必要な部位を確保している。自分が倒した訳でないものでも、強そうな魔物に取り付き解体している姿があった。巨大な魔物等は国軍が差押え、国の施設や研究所で使う部位を確保したりしている。
ハンター達が一通り採り終わり引き揚げると、今度は街の人達、主に貧困層や退役ハンター等が取り残しを探り、彼等の臨時収入になる。だから取るなら今しかなかったりする。
しかし今の俺達はとんでもない経験をしたばかりで、赤竜石隊という強烈なオーラに当てられ、少し呆けた感じになっていた。現実問題、装備の修繕やメンテ、場合によっては新調、消耗品の購入等、今のままでは赤字で、このまま帰るようじゃハンター失格なのだが…。
トーツもやはりぼんやりと考え事をしていたようで、ガジィーの声を聞きハッと顔を上げブルブルと横に振り、バシバシと自分の頬を叩いた。
「そうだった! 今強くなろうって誓ったばかりじゃないか。ハンターが基本を忘れてどうする!」
焦ったように俺達の顔を見る。
「な、なぁ? そうだよな! やっぱ戦利品は取っといた方がいいよな!」
自分が言い出しっぺなクセに、やはりガジィーも呆けてたみたいで、なんとなく口にしたことを肯定されて焦る。
みんな気分を取り戻して獲物を求めキョロキョロと見渡すが…。
「ねぇ、これって…」
と、レイセリアが呟く。俺達も全部言われなくても同感だった。まず後ろには俺達が倒した死骸が転がっている。しかし手付かずなのは俺が倒したゴブリン等のような大して価値のない魔物くらいで、目ぼしい価値の有りそうな獲物、例えばフレイムレックスやグリフォンなんかは、他のCランクハンターの手によって捌かれている最中であった。
そして前を見れば、アルフレイドさんの極炎なんたらってスキルで焼き払われて、リズさんがいる辺りまで死骸はひとつとして残ってない。
その向こうも同じようなもので、チコさんに召喚された精霊(?)による攻撃で竜まで消滅したので、やはり何も残ってない。『ゲート』から街の中間辺り、戦力が揃うまで魔物に侵入された辺りの平原にある大物にはA・Bランカーや国軍が取り付いているし、ちょっと大きいのにはCランクが採取している。
「おいおい、雑魚漁りするしかねえんじゃねぇのか?」
ガジィーはうんざりと呻くように言う。確かに無数にある雑魚の魔物の戦利品をかき集めれば、塵も積もれば、で少しは足しになるが、赤字解消には程遠いだろう。
「リズさんの所に行って彼等にとっては弱そうな獲物を頼んで倒させて貰うってのは…」
メイフルーがおずおずと小さく手を上げ提案してくるが、トーツは悩む。
「う~ん……。チコさんが竜まで消しちゃったことにアルさんもボヤいてたからなぁ。で、今もリズさんがすげえ勢いで倒してるし。ほらギースさんも解体始めたから、分けてくれるか分からんぞ」
確かに物要りなのかもしれないな。でも他のハンターはリズさん達の存在に遠慮して近付かない。しかし彼等がいるのは『ゲート』の真ん中辺りで、ゆっくりと閉じ始めている両端辺りからも魔物は溢れてきている。こちらは俺達にも倒せる魔物もいるが、Cランクじゃ瞬殺されるような魔物も多くいて、A・Bランクに混ざって狩るのは危険すぎるし、おこぼれ目当てのCランクパーティが何組も辺りをウロウロしているので、そこに今から入っていくのは難しそうだ。
「でもダメで元々。取り敢えず行ってみましょ」
レイセリアにせっつかれ行くことになったようだ。そこで「あっ!」と俺は思い出す。なんだ? と振り向くみんなに言う。
「俺さっきのゴブリンロードとダイヤウルフを採取してから行くわ。ロードは護符みたいなのじゃらじゃら持ってたし魂石も悪くない値段だろ? ダイヤウルフの毛皮も安くはないからさ。先行っててくれよ」
「なるほど、分かった」「早く来なさいよ」「しょうがねぇか、閉じる前には来いよ」「一応気を付けて下さいね」とそれぞれに声をかけられ、俺は手を振って送る。
ゴブリンロードの所に戻るとまだ手付かずで、血に塗れて見分けが付きにくい護符も残っていた。心臓付近を斬ったのですっかり血抜きも終わり、ナイフで心臓を切り開くだけでリンゴ大の魂石が転げ出る。護符と魂石をポーチから出したぼろ布で拭き取り、皮の袋に入れ立ち上がろうとした時に異変を感じた。
「な……なん…だ……?」
分からないが身体が鈍くなり目眩がしだす。冷や汗が流れ、声が出ない。
だんだんと意識が朦朧としてくる中、視界の下の方で 何かが動いたように感じて目をそちらに動かすと、片腕を失ったゴブリンが俺の前で仰向けになり、細いナイフで俺の横腹を突き刺している。俺が放置いていた一匹がかなり弱っているが、まだ生きて隠れていて、ここまで這って来たみたいだ。
ゴブリンは呼吸も荒く、呻き声を上げながら恨みを晴らすかのように俺の横腹をナイフでグリグリと抉る。だが熱さは感じるが痛みはない。
『痛くないのは麻痺毒のせいか? マズい…声が出ない……』
俺が見下ろしていることにゴブリンが気付き、目が合うとニィィィィッと勝ち誇った醜い笑みを見せてきた。その執念に寒気が走るも、まだ死ねない。死にたくない! こっちだってとことん抗ってやる!
呼吸もしにくくなってくるのが分かる。なんとか気合いを入れなおし、左手でゴブリンの頭を掴み、地面に押さえ付ける。もう暴れる力も残ってないようだが、右手に持ったままだった解体用ナイフを首にゆるゆると近付け、体重を掛けて差し込みそのまま身体をずらして切り裂く。俺はゴブリンのし掛かった状態でうつ伏せに倒れる。赤く広がる血はゴブリンのなのか、それとも俺のなのか。
『マジヤバい…。俺、今、結構泥塗れの血塗れじゃなかったか……。みんな…呼ば…なきゃ………死………』
呼んでみんなが来てくれた時、泥塗れの血塗れだと周りの死骸に紛れ、見つけてもらえないんじゃって心配だけが頭を過る。
思考も遅くなり、みんなの方向に向けた目も白くぼんやり光を感じるだけで、そこで俺は意識を失った。
どこかで見たような展開?
「どうせ次は○○なんだろ?」って声が聞こえてきそうです。
次の更新は4月19日の正午です。