シーヴァ絶対防衛戦4
羞恥の底からなんとか立ち直り、俺が踞っている間はパーティのみんなが守ってくれてたみたいだ。
「おら、働け」
「も~~! こっちまで真っ赤になりましたよ!」
と、蹴ったり叩いたりしてくるガジィーとメイフルー。レイセリアは? と見回すと、先程の場所で何故か踞りまだプルプルしている。
「見ろ。空気が変わっただろ。お前がバカやったお陰だ」
トーツは戦いながら振り向かず言ってくる。
確かに先程よりも活気付いていた。こちらを見てニヤニヤしながらサムズアップしてくる兄ちゃんや、投げキッスやウィンクを飛ばしてくる姉ちゃん達がいて、また顔が熱くなるのを感じる。
しかし、総崩れになるのは一時的に免れたが、状況的には何も変わっていない。 意識して見ないようにしていたが、もう何人も犠牲者が出ている。まだなのか? と思い水晶体を見るが先程と大差なく、まだ数時間はかかりそうに見えた。
最前線ではAランク達が大型の魔物と戦いながら、弩弓砲の方に竜達が行かないように牽制している。竜達は知性があるのかその場から動かず、Aランク達をからかうように小さくブレスを吹き掛ける。あれでは回避に必死で魔物一体討伐するのに時間がかかりすぎるし、『ゲート』からは次々と強力な魔物が増える一方で、防衛線の崩壊も目前だ。
「…クソッたれ…!」
あまりの絶望感を罵り、手近な魔物に向かおうとしたその時。
「おぉ! いたいた。アイツだ」
と、何処からか声が聞こえた。キョロキョロと見渡すが声の主が分からずにいると、
「おおい。こっちだこっち」
と、上から声がかかる。見上げるとそれぞれ空に浮く獣に騎乗した、見るからに凄い装備とわかる装いをした見知らぬ五人がいた。
先頭にいた赤髪長髪の軽装戦士風の人が声をかけてきたらしい。
「お前だろ? さっきのこっぱずかしい熱弁語ってたの。最っ高におもしろかったぜ!」
と、サムズアップし、白い歯を輝かせバチコンッとウィンクしてくる。
「ンなっ!?」
俺はできたてホヤホヤの黒歴史を弄られて、ボンッと赤面していると、周りから声が聞こえてくる。
「おい、あれってSランクの…」「ああ、間違いない」「『赤竜石隊』だ!」「来てくれたんだ…助かるんだ!」
声は徐々に高まり拡がり、歓声になって響く。
「赤髪のリーダー、アルフレイドを筆頭にした、この大陸最強のSランクパーティ『赤竜石隊』だ」
と、トーツが教えてくれる。あの人達が最強…。俺は呟いて見上げなおす。
アルフレイドは何かの革でできていそうなダークレッドの革ジャン革パンに身を包み、防具らしき物は付けていない。首に下げた認識票の鎖に色々アクセサリーがぶら下がっているが、あれは護符だろうか? それぞれがオーラを纏いキラキラと耀く。腰のベルトには二本の刀を差し、その見事な鞘からも名刀であろう事が伺える。
「みんなぁ! 待たせたな。あとは任せてくれ!」
アルフレイドは騎乗している獅子の上に立ちハンター達に声をかけると、より一層の歓声が上がる。
「チコとトウヤはあっちを頼む。俺とギースとリズはこっちだ」
アルフレイドは仲間に指示を出した。精霊術士風の小さな女の子と槍戦士風の男が反対側の水晶体に向かって飛んでいく。そして残った三人は俺達の前に降り立った。
「ちょっと待ってくれよ? このまんまじゃ話しにくいからよ」
そう言い俺にニヤッと笑ったアルフレイドは二本の刀を鞘から抜く。二刀流らしい。禍々しいのか神々しいのか俺にはよく分からないが、凄まじいオーラを醸し出す二本の刀を構え、魔物の波に向き合った。
「おーい前の奴らー! 避けろよー! でかいのカマすからよー!」
大声で最前線のハンター達に呼びかけると、ハンター達がチラリとこちらを気にした瞬間に技を放つ。
「極炎鳳凰刃!」
技名叫んじゃったー?! なに、恥ずかしくないの? 実はダサくなかったりするの? 俺の驚愕は一瞬で閃光と轟音に包まれ、眩しくて目を閉じ、瞼の向こうが暗くなる数秒後に目を開けて見ると、そこに広がるのは焼け野原だけだった。
『ゲート』の出口こっち三分の一を焼き、燻る炎がさらに魔物が湧き出るのを留め、その向こうにいる竜達がこちらに目を向ける。少し目を見開いて後退りしているようだ。ハンター達も範囲外に逃げてこちらを呆然と見て立ち尽くす。
あまりに理不尽な破壊力に理解が追い付かず、Cハンター揃って開いた口が塞がらずに呆然と焼け野原を見つめていると、刀を鞘に納めながらアルフレイドが呑気に話しかけてくる。
「いや~。こっちに駆け付ける途中でよ、リズの魔法で様子を覗き見してたのよ。そしたらお通夜みたいな雰囲気の中、お前がゴブリン相手に無双しながら演説をぶちかますじゃん。もう俺達ヒーヒー笑っちゃって。一目見に行こうぜってなって、だったらアイツ弱そうだからすぐに死んじまうぞってなって、急いで駆け付けたわけよ」
俺の肩をバンバン叩きながら陽気に話す。俺はゆっくり思考回路を働かせながら、目の前で起きた事象と話しかけられている内容を精査する。要するに俺は絶滅寸前の珍獣かなんかで無事保護されたみたいな感じ?
アルフレイドはトーツに目をやり、ニヤッと笑って軽く手を上げる。トーツも軽く会釈した。知り合いみたいだ。
「あの…リズ…さんの魔法で覗き見って…?」
メイフルーも理解に苦しんでいるようで、となりのリズさん? に質問をぶつける。
「あぁ、これね」
リズさんとやらは掌サイズのガラス板のような物を見せてくれる。同じようにアルフレイドとギースさん…? もそれを出してこちらに見せる。それには三枚ともにこやかにピースサインを出しているアルフレイドの今の姿が映っていた。
「これは私が行ったことのある場所なら、離れた場所からでも見ることができる魔道具よ。ななてんにちゃんねるのだいなみっくさらうんど付きのふるすぺっくはいびじょんなんだから」
後半何言ってるかさっぱり分からなかったが、そんな便利な物聞いたことがない。メイフルーと目を合わせるが、彼女も青い顔でふるふると首を振っていた。
「私が作って製法を広めてないからね~。あ、見なかったことにしてね? まだヒミツだから」
なんか怖いのでふたりしてブンブン頷く。作ったって何者なのこの人。その疑問にトーツが答えてくれる。
「彼女はリズブレッドさん。『赤竜石隊』のメンバーで、この大陸唯一の大魔導師様だ。あらゆる魔法のエキスパートで、魂石を使った魔道具の研究が趣味なんだが、既に我々が研究を続けても数百年かかるってところまで進んでいるらしい。」
「リズって呼んでいいわよ~。よろしくね」
リズさんは色っぽくウィンクをしてくる右の泣き黒子が妙にエロい。艶やかな背中まであるプラチナブロンドを軽くウェーブさせ、紫と黒を基調とした素材の分からない綺麗なローブが、大きく胸元を開き溢れ出そうな美乳を包み、スリットも腰まで開いて綺麗な脚に目を奪われそうになる。頭に先折れの尖り帽子をかぶり、全身あちこちのきらびやかな装飾は色々な護符みたいだ。
何度も胸元や脚に目が行きかける度に、後方の少し離れたところから殺気が刺す気がして慌てて逸らす。辛い。
トーツ、なんかやたらと詳しいなと思いながら話を聞いてる最中も、後ろでドッカンドッカン一分置きに放たれる弩弓砲の音にイラッとしたらしいアルフレイド…さん付けるか。が言う。
「なあギース。あれいい加減うるせーから壊してきてくんね?」
「ああ」と短く返事をし、すたすた歩いていくギースさん。寡黙な人なのかな? またトーツが教えてくれる。
「ギースさんは武闘家で、あらゆる武術を使いこなす格闘の鬼だ。彼の正拳突きの衝撃波は二百メートル先の獲物を吹き飛ばす」
なにそれもう弓使いいらないじゃん素手でその距離仕留められるならレイセリア意味ないじゃん。と呆れて思いを巡らせていると、後ろからまた殺気が…。振り向くと変わらぬ場所からレイセリアが矢でこっちを狙っていた。なんで考えてることが分かるんだよ!
レイセリアに「なんでもないよ」という思いを込めて首を小さく横に振り、ギースさんに向き直る。
ギースさんは黒い短髪のサイドを剃りツンツン立たせている。額に鉢金を巻き、オレンジと黄色を基調とした道着のような装備で、肩と腕、脛についた防具の刺繍が見事で、それ自体が魔方陣のようになっているのかぼんやりとオーラを纏う。両拳になんでも砕けそうな攻防一体のシンプルな装飾の拳甲を嵌めていた。
ギースさんも技名叫ぶのかな…? ドキドキと見つめていると、無言で水晶体の正面まで軽く飛び上がった(といっても、水晶体の中心までは五メートル以上ありそうだが)ギースさんは両手が霞んで動きが分からない程の速さで二秒程連打(なのかな?)すると、キーンと澄んだ音と水晶体に波紋が一筋広がって見えた後、静かに砂のようにさらさらと崩れ落ちた。
何時間もかけて罅しか作れなかった弩弓砲の工兵達もその場で崩れ落ち、必死に守っていたCランクハンター達も唖然と見つめ立ち尽くす。何をどうすれば人の拳が弩弓砲の数百発分の威力を僅か二秒ではるかに上回れるってんだ…。
「拳打による音や衝撃がまわりに伝わるうちは、その拳は無駄が多く真の破壊になりえない…んだそうだ。ワケわからんだろ?」
トーツがギースさんに聞いたらしい言葉を口にするが、確かに意味不明だ。ただ今目の前で起きた静かな破壊がそれにあたるんだろう。あまりに静かすぎるので逆に怖く感じる。
「そろそろあっちも始まるぜ」
アルフレイドさんが反対側の水晶体を顎で示す。それが合図になったかのように、あちらの水晶体が沢山の断片に切り刻まれたように割れた後、さらに小さく砕けてキラキラと落ちるのが見えた。
「トウヤさんだな。彼は槍使いだがあの人も規格外過ぎて分からん。噂じゃ山に槍を投擲して一撃でトンネルを掘ったとか」
ほんとワケ分かんねーよ。槍術って武術だよね? 土木業じゃないよね?
いい加減、開いた口が塞がらずに顎がダルいがもうひとり確かいたよね。ちっこい人が。
遠くてよく見えないが、竜達の向こう側の魔物達のさらに向こうの地面付近から光が拡がり、口から上は鉄仮面のような物を被っている半裸の男のように見えるが、物凄く巨大で間違いなく人間じゃない異形の何かが下からせりだしてくる。どれだけ大きいかというと、出ている上半身だけで手前の竜五体を合わせたくらいかな?
竜達もそれに脅威を感じたのか、五体同時に最大火力のブレスをそれに向かって吐き出した。陽が落ちて暗くなった辺りを赤い閃光が照らし、空気を焼き尽くすかのような火力が膨張し、強烈な熱と衝撃波がこちらまで届いてきて、咄嗟に防御姿勢を取る。露出した肌をジリジリと焼く熱と身体ごと後方に吹き飛ばされそうな衝撃波に驚きながら、なんとか堪え目を凝らし竜達を見る。
極大ブレスの束は、異形の巨人の前に現れた薄緑色の半透明の壁に防がれ拡散していく。焼かれて失われた空気を埋めるように、広範囲の空気がブレス跡に集束するために周囲に暴風が吹き荒れた。俺達も後ろから風に押され、なんとか踏み留まる。
「お~~」と気の抜けた可愛らしい声が上から聞こえてきたので仰ぎ見ると、レイセリアが爆縮に乗って高さ十メートルほどを飛んでいた。
「レ、レイセリア?!」
俺は驚いてつい叫んでしまう。いくら軽いからって普通あんなに飛ばされるか? 取り敢えず無事そうなので様子を見守っていると、五十メートルほど飛ばされた後、クルクルシュタッと焼け野原に着地をして、トテトテとこちらまで小走りで戻ってきた。
「ちょっと面白かった」
無表情ながら目をキラキラさせ、フスーッと鼻息が荒い。これは彼女が結構楽しんだ時の仕草だ。
「なにやってんだよ。あぶねえなぁ…」
「大丈夫。また来ないかな」
ワクワクした顔で前を見つめる。
状況が収まり視界が晴れて見えるようになるまで一分ほど…。それは無傷で立っていた。
異形の巨人はブレスの威力に興奮したのか、上半身をうち震えさせ、大地から出れた喜びを表すかのようにギョアーッだのウガェーッだの大声で叫んだ後、口を前に向けて開き音もなく光線を発射すると、巨大な爆発が起こり、激しい閃光が目を焼き、またもや衝撃波に襲われた。
「きたきた」と言って衝撃波に合わせてレイセリアが飛び上がる。
「あ! おい!」と呼び止める間もなく、レイセリアは後ろに吹っ飛んでいく。こちらも正面から来る石礫から身を守らなければならないため、これ以上は動けない。
「大丈夫でしょう。あの子の場合地上に留まる方が石礫を受けてダメージが多そうです。一緒に飛んだ方が安全みたいですよ?」
トーツの後ろに隠れてメイフルーが言う。あ、俺もトーツを盾にすればよかった。鎧で守りきれていないところに石礫がビシビシと当たって結構痛い。確かに石礫と一緒の速度で吹っ飛んでいれば当たっても痛くないかもしれないが…爆縮使って遊んでる奴なんて聞いたこともないわ!
前方からの勢いが弱まると、再び爆縮による後方からの嵐にみまわれる。向きを変え、今度は俺もトーツの陰に入る。上空を「やっほー」と飛んでいくレイセリアの姿が見えた。さっきよりも高く飛んでいくのを呆れて見送りながら、チラリと隣のメイフルーに視線を向けた。
「なんですか。そのわたしは重そうだから飛びそうにないって目は」
即座に俺の視線に気付き、にこやかに言うメイフルー。逆にそれが怖いので「い、いや」といいながら咄嗟に目を反らしたが、それがいけなかった。そうだと返事したようなもんだ。
「レイセリアは『身体軽量化』のスキルを使ってるからあれだけ飛べるんですよ? それに私はミスリル製ですがチェーンローブを下に着てますし、この杖だって十キロ近くあるんです。私が重いわけじゃないですよ?」
笑顔で杖の鋼鉄の尖った部分でゴスゴスと突いてくる。器用に鎧の金属部分を避けて突っつくので本気で痛い。
ミスリル素材の防具はとても軽くて丈夫な事で重宝されており、チェーンローブの重さはその上に着ている布製のローブの精々二倍くらいの重さなので、メイフルーの体重に加算するまでもない軽さなのだが、それを口にすると本気で命を刈り取られかねない。
「ごめんなさい。あ、いやそんなこと一ミリも思っていません。痛い、痛いからヤメテ」
目を反らしたまま冷や汗ダクダク謝る。視界の端に麦粒よりも小さく見えるほど遠くに飛んだレイセリアが着地するのが見えた。
またしばらく待ったあと目にした光景は、いまだ新しく『ゲート』から溢れる魔物以外は既におらず、竜達をも巻き込み全てを飲み込んで蒸発させたらしい。こちら寄りにいた上位ランカーのハンター達はなんとか無事だったようだが…。
「なんて威力だよ…」
余りの破壊力に誰もがその異形の巨人に恐れ戦いているが、赤竜石隊の三人は別の意味で唖然としているように見える。トーツは少し余裕があるようで、また解説をしてくれる。
「チコさんだな。エルフか何からしいけど俺もよく知らん。精霊を召喚する召喚士らしいんだが、あれは何を召喚したんだろうな。」
遠い上にちっこくて見えないチコさんが呼び出したらしい異形の巨人は、攻撃が出来た喜びにうち震え、ギシャーッだのギョエーッだの叫んでいたが、ゆっくりと光に包まれて消えていく。
「彼女は小さいことをからかわれるのを嫌う。殺されるから気を付けろよ。レイセリアもそうだが比じゃあない。チコさんの場合は町が消し飛ぶ。あと敬語は忘れるな。目上として扱えよ」
トーツが大真面目に話しているので本当の事なんだろう。気を付けよう。
規格外過ぎるこちら側の英雄三人をチラリと横目に見ると、「あちゃ~~」だの「あー……」だの洩らしながらあちらの戦場をジト目で眺めてる。やりすぎなのはこちら側もそうだけど、彼等が呆れるって何かあったのだろうか。
「あぁ、竜までヤっちまったか。しょうがねぇなあ。じゃ、ちょっと見回って来るから」
そう言って一呼吸置いた後、アルフレイドさんはトーツを見つめ、
「おもしれえヤツ見つけたじゃねえか」
と、ドンとトーツの胸を拳で叩く。トーツも照れ笑いをしながら「まぁな」と答える。
「他の奴らも良い面構えだぜ。また後でな」
アルフレイドさんはそう言って三人とも騎乗し空を飛んでいく。
「私の出番がなくなったじゃない!」とリズさんがボヤき、「『ゲート』はまだ開いてるから、もう少し出てくるぞ」とギースさんが小さい声でフォローを入れている。あの調子なら残りの魔物も任せて良さそうだ。
ちなみにリズさんが乗るのはキツネのような生き物で、ギースさんが豹、トウヤさんが牡鹿、チコさんは大きなリスみたいなのだった。
あっという間の出来事で、まだ頭が混乱していて状況の変化に付いていけないが、とりあえずトーツに聞かなければいけないのはこれだ。
「「トーツはなんでそんなに詳しいんだ?」のですか?」
俺とメイフルーの言葉が被った。ガジィーもレイセリアもこっちに寄ってくる。
「俺が世話になった先輩達だからな。今でもちょくちょくお忍びでこの街にやってくる。その時に一緒に呑んだりしてるんだよ」
苦笑気味にトーツは話す。パーティメンバーに隠してたのが気不味いのか、こんな形でむこうから来るとは思ってなかったのか。
「なんだよ水臭ぇなあ。紹介してくれても良かったじゃねえか」
「そうですよ。英雄の話とかとても勉強になりそうですのに」
ガジィーとメイフルーが言い寄り、レイセリアもフンフンと鼻息荒く頷いている。俺はなんとなくトーツが紹介しなかった理由が分かっていた。トーツも俺の様子を見て俺が察した事に気付いたらしい。
「何で俺がお前達に黙ってて、何で紹介しなかったのか分からないか? マビァは分かったみたいだぞ」
トーツは顎で俺を示し、みんなも俺の方を見る。視線が「言ってみろ」と語ってるが、トーツ以外の三人も薄々は勘付いている目をしている。
「……強くなるのを…頑張るのを…諦めるかもしれない……から?」
正直言いたくない言葉だった。三人も目を伏せやっぱり…と俯く。
「そうだ。彼等は違いすぎる。先程の出来事を見たなら分かるだろう。眩しすぎるんだ」
トーツは落ち着いて語り出す。かつて一度自分も感じた挫折と絶望を…。
次回は4月12日正午に更新予定です。




