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二日目 ガラム金物店

 「なぁウェル。粗方の基礎は固まりかけているし、俺、鍛冶屋に武具を修理に出しに行ってもいいかな?」

 ウェルはナンさんと相談しながら新しい紙に、ワニ捕獲罠の簡単な図面を描いていた。これはもう少しかかりそうだ。

 「ああ、そうだな。お前のやる事は今日は取り敢えずないかな? あとは好きにしていいぜ! その格好は目立ってまた騒ぎの元になるから、一旦宿に帰って着替えろよ。それから今日はオレ色々動くから宿には帰んねぇわ。お前が宿に帰った時に、誰かに言っといてくれるか? 『これから大きな事をやる。そう思って準備しとけ』って伝えてくれりゃ誰でも分かるからさ」

 「了解、じゃあまた明日かな? ナンさんも今日は本当にありがとうございました。出来ればまたお話を聞きたいですが、四日後のバーンクロコダイル狩りは、ご予定がなければ来てください。宜しければお孫さん達や他の家族もご一緒に。美味しく肉食いましょう」

 「おうそりゃ嬉しいね。是非とも来させて戴くとしよう。暫くウェルの相談を受けたりギルドにも顔を出すから、またすぐに会うだろう。じゃあまたな」

 ウェルもナンさんも俺に挨拶したら、すぐに図面へと戻る。二人ともこの計画が楽しくて堪らないようだ。近くのロージルさんにもお礼を言おうとすると、態々立ち上がってあちらから声を掛けてきた。

 「マビァ様、鍛冶屋に行かれるのでしたら、『ガラム金物店』がお薦めです」

 金物って鍋やフライパンとか金ダライってイメージだけど、釘やネジや蝶番、包丁も範疇にはいるのか? でも、武器防具の鍛冶職人とはかけ離れている感じだけど…。なんで?

 「その店は調理器具や包丁を専門に取り扱っているのですが、店主ガラムは元々腕の良い武器防具の職人だったと聞いています。他所から移住してきたらしいのですが、稀に他所から来た剣士に、剣を売ってほしいと頼まれているという情報があります。余程凄腕の職人なのかもしれません。それにこの街で武器を造れる職人はいません。この街の鍛冶屋は農具や金具、工具を造る者ばかりですから」

 「へ? なんで? 冒険者も兵士もいるんだから、手入れの仕事も多いだろうし、造れば売れるんじゃないの?」

 ロージルさんは目を伏せて首を振る。

 「いいえ、この街の誰の武器もほぼ使われていませんから、手入れをする必要が無いんです。新品の武器は他所から輸入して、冒険者の用品店で販売しております。この街で武器防具を専門で造って売るだけでは経済として成り立たないのですよ」

 なんと、これも平和過ぎる弊害なのか? 俺らの世界じゃ考えられない事だ。

 「ガラム金物店は、ここから中央南通りを進んで三つ目の交差点を左に曲がり、暫く進んだ右手に看板が見えます。営業は六時までだった筈ですからまだ間に合うかと思います」

 ロージルさん、やはり出来る女だ。お色気メガネさんは伊達じゃあない。「ありがとう、助かったよ」とお礼を言うと「いえ、お役に立てて光栄です」と柔らかく微笑んでお辞儀してくれる。うおおっいい女だ! コニスいらねぇ!

 俺はロージルさんのお陰で嬉しくなり、ニコニコとギルマスのところへ向かった。

 挨拶をして帰ろうと思ったが、ギルマスは力尽きて、机の上にヨダレを流しながら眠っていた。あぁ、色々頭使い過ぎて、魔力が尽きたらしい。俺は手を合わせ「御愁傷様」と呟いてギルドを後にした。


 ギルドを出ると、急いで宿まで戻る。鎧姿でガチャガチャ走るので、今日時の人となってしまった俺はかなり注目された。

 「おい、あれ」「あ、もしかして」「あれが救世主か?」「ほんとにいたんだ」等々…。

 色々聞こえてくるが、近寄って話し掛けて来るものはいなかったので助かる。殆どの人が新聞の記事を読んで知ってるだけなので、俺の顔を知っている訳じゃない。格好はそれっぽいが確信が持てないのと、こちらが走っているので、話しかけづらいってのもあるだろうが。

 宿は近いので走るとすぐに着く。フロントで鍵を受け取る時に、ウェルに頼まれた伝言をするとシェルツさんは「確かに承りました。マビァ様、誠にありがとうございます」と丁寧にお辞儀した後、世話係りさんへ小さく頷いてみせる。世話係りさんはこちらにお辞儀をして奥に引っ込んで行った。あれだけで全て伝わるんだろうな。ウェルんところは部下の人達がみんな優秀だから驚くことばかりだ。

 「あ、俺も着替えたらすぐに急いで出なきゃいけないんで、また鍵を預けに来ます」

 そう言って部屋へと急ぎ、ウェルがくれた服に着替え、今朝買ったバッグの中身をテーブルに置いて盾と剣を突っ込んで部屋を出る。多少バッグが盾の形で歪に広がってたり、剣も柄がバッグから飛び出てるが、俺だってバレることはないだろう。

 フロントに鍵を返し、宿を出た俺はロージルさんに教わった道を小走りで進んだ。大して大きくもない街だ、数分で『ガラム金物店』の前に着く。

 外からガラス越しに見える店内は、正面奥にカウンター。左右に棚、真ん中にテーブルがあり、それぞれに鍋、ヤカン、フライパン等の大中小。おたまやフライ返し、泡立て器等の調理器具が置かれたり吊るされたりしている。本当にここでいいんだろうか、と思いつつ店の引き戸を開けて中に入る。チリリンというドアベルが鳴り、カウンター向こうの椅子に横向きに座っていた男がこちらを向いた。

 「はい、いらっしゃい」

 三十代前半くらいだろうか。野太い声の男は見るからに体格も良く立ち上がったら俺より背は高そうに見えた。サイドを刈り上げて他は伸ばして後ろで括っている髪は鈍色で、肌はやや浅黒く、この地域の人種とは違って見えるので、この男がガラムさんかなと思う。

 「あの、こちらで剣や盾のメンテをしてもらえるかもと聞いて来たんですけど…ガラムさん…ですか?」

 俺が名を聞くと、彼はカウンターに両手をついてゆっくり立ち上がる。やはりなかなか大きい。少し小さいトーツみたいなゴリマッチョさんだ。実際髪色といいトーツに似ている気がする。それに如何にも職人気質で頑固そうな風貌だ。

 俺の背負ったバッグをじっと見た後、彼は答えてくれた。

 「あぁ。俺がガラムだ。仕事を受けるかどうかは見させてもらってから決める。ここに出してくれるか?」

 はいと答えて俺はカウンターに剣と盾を出す。一応昨日、川で洗った後、オイルを擦り込んであるから見た目は綺麗だし刃こぼれも盾の凹みもないが、柄と刀身のガタツキや金具の緩みが気になるし、切れ味も落ちている。

 「ちょっと見せてもらうぞ」

 ガラムさんは柄を右手で掴み、左手に鞘を持ってゆっくりと引き抜く。徐々に彼の目が厳しくなるのがわかる。すると、何のつもりか剣を正面に水平に構え、刀身に左手を添えて目を閉じた。なんだ? と不思議に思い見ていると、彼の険しい顔には汗が浮かび、肩も少し震えていて小さな唸り声を上げている。なにこの人ヤバい人? やだ怖いと、一歩引きかけたその時。

 「ぅ……うううぅ………ぅぅぅうううあああっ!」

 と大きな叫び声を上げた。俺もさすがにビビってビクゥッ! と跳ね上がる。なにマジで? 斬られたりしないよね? ガラムさんは荒く肩で息をしながら、ゆっくりとカウンターへ剣を置く。

 「…あんた、新聞にあった救世主とやらか?」

 やだなぁ。汗だくのゴリマッチョがゼーゼー言いながら睨んでくるよぉ。俺はすぐ逃げれるようにその場から動かず腰を少し落とす。なにせこちらは無防備であっちには剣がある。いざとなれば手近なフライパンでも掴むか、と考えながら答える。

 「…救世主ってのは大袈裟で嫌いだから止めてほしいが、ワニを一匹狩ったのは確かに俺だ。さっきのはなんだったんだ。教えてくれるのか?」

 彼は暫し息を整えた後、腰の手拭いで汗を拭き、躊躇いながら先程の奇行の意味を教えてくれる。


 「…信じてもらえるか分からんが…。俺にはその武器がこれ迄に辿った軌跡(ログ)が見えるんだ。持ち主がどんなヤツなのか、剣を大切にしてきたのか、これ迄に何とどうやって戦ってきたのか、そういう情報が一気に頭に流れ込んで来るって能力が俺にはある」

 おっとスキルか? こちらの世界で初めてスキルらしき能力の持ち主に会った。

 「あんたのは一体なんなんだ。この剣を手にしたその日から今日までに何万何十万と見たことのない凶悪な…魔獣か? 信じられない数のバケモノを切り裂いてきてる。俺が知ってる魔獣は最後のバーンクロコダイルだけだった。その前の、たった一日で数千? いや、それどころじゃない数のバケモノを屠ったあの光景はなんなんだ。大きな暗闇の穴からその日に屠った数よりも多くのバケモノが溢れ出てくる悪夢のような光景は…。 あんな場所がこの世界にあっていいわけがないんだ。……あんなのがあればこの世界は滅びる…」

 ああ…。元の世界の光景を視られたのか。これは武器のこれ迄の軌跡(ログ)を読めるスキルってところか。事件の調査とかには使えそうだが、使用者の心がタフでないと使い続けると精神を病んでしまいそうだな。

 「そこまで分かるのか。ガラムさん、あんたの能力は信じるしかない。俺の存在も信じられないことだろうが、あれを視たんなら信じるしかないだろう。……俺は、実は異世界から来たんだ」

 そう言うと、ガラムさんは溜め息を吐き、「そうか…。ああ、信じる。武器は嘘を吐かないからな」

と言って椅子に座り、俺にも座るように勧め、俺の事情を聞いてくれた。


 「そうか…。そんな世界がこの世界の外にあるというのか…。俺だったらあんたの世界で生きていく自信が無いな。あ、すまないまだ名前を聞いてなかったな」

 「俺はマビァ。あっちの世界ではCランクのハンターをやってる。ガラムさんが視たのは飛び切り凄いヤツだよ。本当に後一歩間違えば世界の終わりが始まる戦いだった。ああ見えてもいい事や楽しい事も沢山ある世界なんだぜ? じゃなきゃこんなに平和な世界を知った今、すぐにでも帰りたいって思ったりしないよ」

 ガラムさんにとっては、トラウマになるほどの衝撃的な映像だったのだろう。今も疲れた表情で、俺の言葉を聞いて苦笑している。

 「平和か…。そうだな、今のこの世界は平和な方だ。特にこの大陸はな。でも腐ってない訳じゃないんだ。平和だからこそ腐っちまうヤツもいるのかもな」

 そう言って、今度はガラムさんが自分の事情を話してくれる。


 彼の出身国は、ここから遥か遠い大陸にあるナクーランド帝国という国家だそうだ。その国では古代文明の研究が盛んで幾つもの遺産を発見し、他所の国とは比較にならないほどに進んだ文化を謳歌していた。

 国は広大でエネルギー資源も食糧も他国に頼ることもなく、寧ろ近隣の国々が恩恵にあやかろうと、帝国から物資を買うので、帝国は富める一方だったという。

 しかし、エネルギー源のひとつでもあるジェムは、やはり古代文明の遺産の再現や再利用には、必要な場合もあり、帝国内の畜産、漁業、冒険者や軍による有害な魔獣の討伐などの、それまでの入手方だけでは必要数が賄えなくなってきた。近隣諸国からもジェムを買い集め、なんとかやりくりしていたそうだ。

 ガラムさんは帝国の首都で冒険者相手に、武器や防具を造り売って生計を立てていた。その腕も評判が良く、他の国からわざわざ買い求めに来る者もいるほどだったという。


 そんな彼に突然あの力が宿った。鑑定『九十九神(つくもがみ)の言霊』というそうだ。ある日脳裏に「鑑定『九十九神の言霊』を修得しますか?『はい』『いいえ』」と浮かんだ。仕事で剣を打っていて、手の離せない作業の最中にそんな状況になったので、鑑定っていうなら何かの役に立つかもと思い、深く考えず『はい』を選んでしまった。

 それから暫くは武器や防具をひたすら造る日々が続く。能力を得た初めの頃は、特に何の能力も発揮されることはなく、あれは何だったんだろうと思っていたが、じきに忙しさに追われ忘れていった。そして能力の開花は突然起こる。


 ある日、馴染みの冒険者が「とうとう折っちまった」と、その冒険者が駆け出しの頃にガラムさんから買った剣を持ってきた。それを掴み、心の中で良く頑張ったなぁと剣を褒めたその時、その剣の軌跡(ログ)が一気に頭に流れ込んで来た。それはその冒険者が剣を大事に扱い、何年も苦楽を共にしながら、今日、凶悪な魔獣の止めを刺したところで終わっていた。突然のことで驚いたが、これがあの時に得た能力だとすぐに気が付いたそうだ。

 冒険者もその剣には心から感謝しており、「またこの剣を材料にもっといいの打ってくれねえかな?」と言われたので、快く引き受けた。

 数日後、ガラムさんにとっても自信作となって甦った剣は、冒険者の元へ帰っていく。


 数年が経ち、近隣諸国を回ってきたその冒険者は「これは最高の剣だ。未だ切れ味は落ちねぇし手入れも簡単だ。でも調子を見てもらおうと思って里帰りさせに来たぜ」と言って、その剣を見せてくれる。ガラムさんも再会を喜んだが、剣の軌跡(ログ)を見て愕然とする。


 確かにその剣は大事に扱われていた。最初の頃は有害な魔獣との戦いを繰り返していたが、ある日突然、無害な魔獣ばかりを狩り出したのだ。ひたすら逃げるしかない魔獣を追い詰め、ジェムを取るためだけに惨たらしく殺し下卑た笑みを浮かべる冒険者達の顔が、血塗られた刀身に映り込む。強い衝撃を受けたガラムさんは、きっと何かの間違いだと自分の心に言い聞かせ、軽くメンテナンスをしたその剣を、なんとか笑顔を作って冒険者に返す。


 これまでの数年間でも、他の武器の軌跡(ログ)を何度も見てきた。無害な魔獣を狩るのを視る時もあったが、たまに自分達の食糧にする為とかが殆どだった。

 有害で狂暴な魔獣を狩ることを止め、ただジェムを取る為だけに無害な魔獣を殺していくのを視たのは初めてだったのだ。間違いであってほしいと思うも、時が流れるにつれ状況は悪化していった。


 ガラムさんの造った武器の殆どの軌跡(ログ)から、無害な魔獣の惨殺ばかりを見せられるようになったのだ。もう心が耐えられなくなったガラムさんは武器を造るのを辞めた。辛い心を癒したくて酒に逃げたガラムさんだったが、そこで無害な魔獣が狩られるようになった原因を知る。


 帝国が外国からもジェムを買い取るようになり、帝国内でもジェムの高騰が進み、害悪な魔獣の減少が見られ始めたのが数年前からだったと聞く。それまでのガラムさんは朝から晩まで仕事一筋の鍛冶バカで、碌に世間の事など知ろうともしなかった。必要な知識は鍛冶に必要な金属の相場くらいのものだったからだ。

 それを知ったガラムさんは帝国から逃げるように出ていった。元々独り身だった為、身軽に動けたのだという。働いてばかりだったので金に困ることはなかった。各地を転々として、大陸を幾つか渡り、魔獣を大切にし、共存しているこの街に辿り着き、今に至るという。


 「ここに来て店を出すと決めた時に、偽名を使えば良かったと後悔したよ。思いの外、他所の大陸でも知る人ぞ知る存在に俺はなっていたみたいでな。たまにそういったヤツが武器を造ってくれとやって来るが、『名前が同じだが別人だ』と言っていつも追い返している。

 なんとかって男の記者も噂を聞いて取材に来た。俺が追い返したヤツらから聞いた話を大袈裟に膨らませて書かれていたが、俺が帝国出身ってこと以外は大嘘ばかりでな。元々信頼性の無い新聞社らしいので助かったよ。おかげでその記事を読んでからかいに来る奴はいたが、武器を注文に来る客は今のところ一人も来ちゃいない」

 迷惑半分呆れ半分といった具合に肩を竦めるガラムさん。男の記者と聞いて俺も引っ掛かる。

 「ハンセルか? じゃあ俺がここに来たことはバレない方がいいな。いや、バレてもいいようにワニ用の何かを発注しに来たことにするか? それとも…」

 俺が台詞の後半を独り言のように呟いて、ハンセル対策を考えてると、その名を聞いたガラムが反応する。

 「あの記者のこと知ってるのか? …ああいや、そりゃ今日取材に行っててもおかしくはないよな」

 ガラムさんは今朝の新聞を思い出したのだろう。今この街での一番の注目の的は多分俺だ。あの記事を書いたクロエ以外の記者が動いてもおかしくはない。

 「ああ、ギルドであいつらにも色々見せちまったからな~。やり過ぎたと後悔しているよ。明日の新聞がどうなっていることやら」

 「ウェルゾニア氏の仕切りなんだろ? 彼と繋がったことはないが、面白そうな人物だと感じている。必要なら仕事を引き受けてもいいと伝えてくれないか?」

 「ホントか? それは願ったり叶ったりだ。是非とも協力してほしい……。あ…」

 俺はここで気が付いてしまった。俺がこの街に来て、勢いに任せてギルドと軍の改革を進めている。そのせいで、殆ど碌に魔獣を殺すことの無い平和な場所だったガラムさんの第二の人生の街、カレイセムはこれから多くの魔獣を殺す街になる。

 今のところ無害な魔獣は、ギルドの討伐対象からナン教授の協力により除外された。しかし、これ迄の不足気味だったジェムが多く手に入るようになる。

 この流れがこの国全体に広がり、それにより古代文明の研究や再現が進み、便利さと豊かさを求めて発展していくとすると、そう遠くない未来にこの国は第二のナクーランド帝国になりうるのではないか。そんな危惧が一気に胸の中で膨らんでいった。

 「ガラムさん…ごめん。俺はとんでもない事をしてしまっているのかもしれない」

 「なんだ突然。なんでお前が謝る?」

 俺は俯きながら、先程急に不安に感じたことを話す。ガラムさんは最後まで黙って聞いてくれ、その後も目を瞑り腕を組んで暫く考え込んだ後、俺に言ってくれた。

 「そうだな。確かに今の帝国になる動機の始まりは、人間のみの便利さと豊かさを追い求めたことなのかもしれない。これからはこの国も魔獣を狩る量が増え、ジェムを使い古代の遺産の再現も増えていくだろうな。でも俺達の前には大きな失敗例として、帝国の存在があるんだ。世界はそれを見ている」

 帝国が大きな失敗例? 一体何があったんだ?

 俺の知らないこの世界の現状を、ガラムさんは落ち着いた表情で話してくれる。窓の外がチラリと目の端に入る。既に陽は落ちて路地は暗くなっていた。

 

 次回はガラムさんの話の続き、ナクーランド帝国のその後を語ります。

 8月16日(日)正午に更新予定です。

 宜しければまた、お付き合い下さるとありがたく思いますm(_ _)m

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