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開けてよ、入れてよ、ここから出して。

作者: 泉末広

開けて、開けて、飛び出したがってる純情。

開けて、開けて、晒したい悪童。

巡り会わない針のない時計。

巡り会わさない、信じられないあなた。

開けても開けても終わらない、悩ましい期待。

こき使われる指は、捨てられた風船のように萎れていく。

開けて、開けて、ここから出して!

開けて、開けて、そっちに入れて!

止まった時計を弄べば、知らない笑い声に追いかけられる。

閉まった逃げ道に手こずれば、知らなかった現実に襲われる。

開けて、開けて、終わるにはまだ早い。

開けて、開けて、欲しがるにはもう遅い。

久しぶりの囚われの人。

自由に化けた幽霊船の舵を取る。

出して、出して、ここから出して!

入れて、入れて、そっちに入れて!

重なりあわない狂った時計。

狂った時計に弄ばれれば、聞いたことのない悲鳴を浴びせられる。

開けて、出して、飛び出したい純情。

開けて、入れて、晒したい悪童。

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