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砂糖蜜  作者: まったりorz
4/5

にべもなく

 雨が降ったね

 雨が降ってるね


 そういえば、と言葉を続けようとして

 彼女は笑った 寂しそうに

 あぁ 悲しいのだ と 思う

 最近 と いうよりは もう ずっと

 言葉が途切れることが 多くなった かもしれない

 それは 気にするほどのこと ではない かもしれない


 なぜか 指先が 湿っている

 朝露を 帯びた あの小さな花は 何だっけ

 そう 薄紫の 星型の花

 名前は はじめから 知らない けど

 ずっと 幼い頃から よく知っている花

 彼女の喉に は それによく似た石が 埋まっている

 小さくて 朝になると ふるふる と 揺れる


 そういえば、と 彼女は不意に呟く 微笑む

 目元は 寂しくて 優しい それが 悲しい 

 そういえば そういえば そういえば、と 続ける 何だっけ

 爪の中に 三日月を 飼っている

 けれど 取り出そうとすれば 血 が 流れる

 雨のせい だと 言えば それまでだけれども


 唇 を 尖らせた 蝶の羽 が 雨に濡れている

 重たい羽 を 背負っている そういえば、

 彼女は なんでもない 口振りで 繰り返す

 瞬きのたび 重たげに 睫毛 が 揺れる

 まるで それすら 他人事みたいに 言う 言葉が 途切れ、る


 小さくて それは 悲しいこと だと 思う

 晴れてきたね、 彼女は それは 仕方のないことだ と 笑う

 傘をさすのを 忘れていた けれど

 指先に 溜まった 雨の名残

 白い太陽が ふるふると 落とす

 そして 繋がらない 言葉に ただ 笑いかえす にべもなく



 

  


 






 

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