よまいごと
首筋に滲む汗は 妙に甘い 舌が触れる度 痺れている
口の中は苦味が纏わりついたままだからだ
海水に浸っている 乾いてしまえば肌には馴染まないそれに
普段よりも密度の高い息が 私の髪を湿らせている
嫌いなの?
好きだと思う?
じゃあ何で?
貴方がそれを聞くの?
意図と意図の間 繊維は雫を吸い取り滲む 滲んで変色し重たげな顔になる
睦言とは程遠い 問いに問いを重ねて 鼻で笑う
茂みの中 迷い込んでいる 白い涙 滲ませた迷子
導けばいいのか 慰めればいいのか 私は知らない
苦しんでいる、と思う
退屈なりにそう思わなければやってられない けれど
寄り添えない体温がある 私は私を抱いている
たぶん、それは ひとりよがりだ 何故だか 苦しい
終わらせてしまえばきっと何も残らない
そう、言い聞かせる そうだと知っている いつか後悔する事も
繰り返すけれど連続ではないのだ あぁ嫌だ
かりそめの触れ合い 自分のための施し どこかピンとこない
行き場をなくした熱は 彷徨って冷えるから
何も残さないで 何か残して 後悔しないように 後悔するくらい
泣き出した体を 滑り出した歯車を 苛めてやりたい気持ちになる
そして何だか むしょうに 守りたくなる
憂鬱に浸っている 恍惚の先には出会うはずのそれに
昔より少し物分かりのよくなった 私の体を覆っていく
どうして私は私なのだろう あぁ嫌だ