一話 迷い
短いです。今日はもう一話出します
「どうすれば.......」
今、ダレオは究極な選択肢の上に立たされている。
瀕死な状態である魔族を救うか、それとも救わないのか。
普通なら敵対勢力が目の前にいたら殺すのが一般常識。そう、洗脳されているといったほうが適切かもしれない。だが、ダレオには迷いが生じてしまっている。
敵対勢力だからといって血を流している者を本当に見捨ててよいものなのか。ただ容姿が少し違うだけで助けないというのはお門違いではないのか。もしかしたら自分と同じく同種族から迫害を受けてしまい、こうなっているのではないのか。
そんな考えがダレオを頭を支配していた。
しかし、これをしたらまたこの街でも迫害の対象になってしまうのではないのか。そんな恐怖がダレオの体を蝕んでいた。
『助けてやりたい.......!』という気持ちと『助けてはいけない.......!』という矛盾な気持ちがダレオの精神を支配していた。
しかし、時間は刻一刻と時を刻み、魔族の女の容態は時間に比例して悪くなっている一方であった。
そのせいで、既に血が湖の如く広がりを見せている。
その光景を目にした必然的にダレオは決意した。
「何をしていたんだ、俺は!! クソっ!!」
(何て馬鹿なことを考えていたのだろうか、命が危機に晒されている状況で種族の差異など関係ないだろ.......!)
ダレオは魔族の女を抱きかかえ、自宅へと急いで足を運んだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇
ダレオは彼女を運び終え、彼女の状況を見るため服を切り裂いた。しかし、予想を遥かに凌駕する惨状にダレオは驚きを隠せなかった。
「これは.......」
横腹が抉れ、そこから内臓、骨が露わになっていた。常人ならすぐにでも死んでしまうような状況であるのにも関わらず、彼女の心臓は静かながらも微かに波を打っていた。
まだ命を救える状況に安堵したのと同時に、タイムリミットが迫ってきているという危惧もしていた。
「やるしかないな」
決意を固めたダレオは、自身の両手に魔力を込めた。
【悪魔魔法 暗黒回復】
ダレオの詠唱とともに両手もとい部屋が暗黒に染まった。
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