プロローグ
新しく書きました!
魔族、人族、獣族がそれぞれ統治するバーリミア帝国、リッヒ国、アドリナ獣国。
この世界は、この三国が世界を統べている時代。
領土拡大、飢餓問題を解決するために日々絶えず戦争を続けている。
何代もの世代を超えて戦争は続き、今や数千年。
終わりのない日常とかした戦争。しかし、このときには誰も知りもしなかった。
この戦争が終わるということを.......。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ダレオちゃーん、今日は寄っていかないのかい?」
「うん、今日はちょっと体調が.......」
「そうなのかい? かえって休みな?」
「ありがとうございます」
日常で誰もが経験しうる他愛もない会話。こんな日常を愛している人は多くいるのだが、この平和は戦争によってもたらされた戦利品なのである。
薄汚い奉仕であるが、誰もが喜んで頂戴しているこの世の中。ダレオは腐っていると思った。
なぜ戦争をするのか?
なぜ殺し合いをするのか?
なぜ手を取り合って協力をしないのか?
ダレオのような凡人な人間であっても考えつくようなものをなぜ他の人は思いつかないのか? ダレオの頭はそんな疑問が渦を巻いていた。
おそらく貴族等の目先の利益のために自身の権力を振りかざし、多くの者を犠牲にしてきたのであろう。こんな明らかなことは誰もが分かっているはずなのに、誰も言おうとしない。
では、なぜであろうか?
それは、皆が貴族と同じ目の前の欲に溺れているからだ。
こんな腐った世界にダレオは嫌気が指していた。
それだけではない。ダレオは自分の特異の魔力のせいで迫害を受け、いつの間にか蚊帳の外であった。それでも見捨てない家族や幼馴染はいた。
それでも世間の目はそれを許さなかった。色々な嫌がらせは日に日にヒートアップしており、ダレオ自身は家族の優しさと幼馴染の優しさすら信じることが出来なくなっていた。
それはそうであろう、四六時中虐めの対象である者の気持ちを考えたことがあるだろうか。ダレオは彼らの優しさが同情にしか感じなかった。
だから、ダレオは家を出た。家に戻るつもりもなかった。
今では廃村寸前の村の空き家を借りて生活をしていた。
「.......ただいま」
誰もいない家に独り言を呟くかのように吐き捨てた。
「作るか」
時計の針が六を指しており、腹の音が鳴り始めたためダレオは夕飯の調達をするため自身の畑に向かった。ダレオは今が旬である『ツィケノコ』というドリル状の野菜を栽培している。ダレオが誠心誠意育てているおかげか、相当肥えた実をしている。
いつも通り『ツィケノコ』を採取するため裏道で畑に向かう。そんな反復的な行動である..........はずであった。
ダレオは究極な選択肢の上に立たされていた。
血を流している魔族が倒れていたのだ。
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