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愛神智織

今日も俺の机には悪口が書かれていた。…何故かは分かっている。俺はクラスの皆にいじめられているからだ。

事の発端は数か月前…まだ俺が中学3年生になって間もないときだった。

新しいクラスメートの一人を俺の友達…上原がいじめていたからだ。俺は信じられなかった。あの、短気で…だけど優しい上原がいじめをしていたなんて!「何でこんなことするんだ!」と俺は上原に聞いた。すると上原は今まで俺に見せたことがないおぞましい笑みでこう言った。


「だって、コイツウジウジしててムカつくんだよ!」


俺は驚愕した。上原のその言葉に…そして「ウジウジしている奴はいじめられて当然だ」という顔の皆にも。

ムカつくからって…いじめるなんて…おかしい…。そんなことは…間違っている‼こんなこと止めさせないと‼


「それでもダメだ!いじめは…。」

「何がダメなんだよ?っつーかさ、お前イイコぶりすぎ。俺がちょっと悪いことしようとするだけで、そんなことはダメだダメだって…ホンと、お前うっぜえよ。」


「うんうん」と皆が頷く。俺…俺が今までやっていたことはウザいことだったのか?皆からしたらとんでもない押し付けだったのか…?色々な負の言葉が頭の中を巡る。


「…そうだ!そろそろアイツをいじめるのも飽きてきたし…次はコイツ、いじめようぜ‼いい案だと思わないか?」

「いいね、それ!」

「やろやろ~‼」


同意の声が次々とあがった。

…その日から俺は、上原たちにずっといじめられている。最初はまだ悪口を言われる、無視をされる等だったが…最近は机に悪口をかかれる、殴る、蹴られるは当たり前。階段から突き落とされかけたときもあったし、教科書を捨てられたこともあった。そして今は…


「ギャハハハ!汚ねーお前にはトイレの水が似合ってるぜ!」


トイレの水をかけられている。顔も体もびしょびしょだ。今日はお母さんになんて言い訳しよう……そう思っていると上原の取り巻きの一人に殴られた。


「ボーッとしてんじゃねえよ!糞が‼」

「おい、ボーッとしてごめんなさいは!?」

「……ボーッとして…ごめんなさい…。」

「あ?小せえぞ、声が‼」


うっ…また殴られた。…一体いつまでこんなことが続くんだろう?…視界が暗くなっていく……

いつの間にか上原達はいなくなっていた。……気絶していたのか、俺。空が真っ赤だ。このままだとお母さんに心配かけてしまう。早く帰らないと…。

トボトボと俺は帰り道を歩く。まだびしょびしょに濡れてるし、更に靴は何処かに捨てられてないから、尚更寒い。ブルッと体を震わす。そんな俺をまわりの人は同情の目で見ている。…そんなときだった。

目の前の横断歩道で、小さい女の子が信号無視をしたトラックに轢かれそうになっていたのだ!このままだとあの子は轢かれちゃう、助けなきゃ…‼俺はずきずき痛む体をバッと前に出した。そして、その女の子を歩道まで突き飛ばした。女の子は突き飛ばされた痛みで、泣き出してしまった。ゴメン…。

ドンッと俺の体がトラックに当たる。痛みはない…というかもう感じなくなっていたのかもしれない。……視界が薄くなっていく。俺のところに人が集まってくる景色も、どんどん薄くなっていく……死ぬのってこんな感じだったのか……そう思ったところで俺の意識は途絶えた。


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