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果てなきは空の彼方  作者: 天野 みなも
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残り香③

手からあふれ出す力が形となり、一振りの刀となった。


「アンリ……一人より、二人でしょ?」


「仕方ないですね。私の傍を離れないように!」


そして獣型が方向を上げて襲い掛かってきた。リンもそれを合図とばかりに剣を構え対峙する。


だが怯むことなく本能のままにイシューはリンに飛び掛かり、リンは後ろに押し倒される形となった。


剣を盾代わりにしてリンはその鋭い牙が自分の喉を切り裂くのを阻止したが、イシューの涎が首筋にしたたり落ちた。


「くぅ……えい!!」


自由になる足でイシューを蹴り上げ、何とかその呪縛から逃れる。すると後方からサイソルフィンの詠唱がリンの耳にきこえた。



女神ラーダの御名により

哀れな闇の者へ光を与え給え



赤い光が護符から発生られる。


それがゆっくりとイシューの足元に絡まると、イシューの足が動かなくなった。


「兄さん!?」


「護符だよ。長くはもたないよ。」


心臓がバクバクする。正直怖い。容赦なくあの鋭い爪で喉を描き切られるかもしれない。あの主婦の死体のように……


でも、戦わなくては。これが最後の基盤石。これを守らなくては、村の結界がなくなり、イシューに襲われるのは目に見えている。


気づけばアンリやエルマー達とだいぶ離れてしまっている。闇夜の中混戦しているといってもいいだろう。


「リン。一応提案しておくけど、アンリの言うようにここは逃げた方がいいと思うよ。」


「行かなきゃ……あの戦いの中心に。そして止めなきゃ。これ以上罪を重ねないために。」


「それは……犯人が分かったってこと。」


「推測。まだ確証はないの。でも止めなきゃって思う。」


「僕は反対だ。帰るんだ。」


「兄さんは帰って!私は戦う!」


「リン!!」


サイソルフィンが止めるのも聞かず、リンは戦いの中に身を投じた。


イシュラはアンリが足止めしているようだ。力量は五分と五分。いや、若干アンリが押されているかもしれない。


獣型のイシューはあと残り二体。一体はゲートルトが相手をしている。そしてもう一体のイシューとクグツはエルマーが戦っているようだ。


「うわぁあああ!!」


ボタボタと音を立てて赤い液体が地に吸い込まれていく。ゲートルトの肩には深々とした傷ができていた。

「ゲートルト!!」


リンが駆け付けようとしたがそれ獣型のイシューが阻んだ。咆哮を上げてリンへと飛び掛かる。


反射的にリンは剣をイシューの腹を薙いだ。血が溢れリンの外套を汚した。するとイシューはヨロヨロと倒れる。


とどめを刺さねば。そう本能的に思ったリンは一気に間合いを詰め、剣を心臓目掛けて突き刺した。


普通の生物であれば十分に致命傷だった。だけど、イシューはそれでなお動こうとする。その生命力に恐怖すら覚えた。


「リン!!捕縛の詠唱を!!」


アンリの声がするが捕縛の詠唱が分からないリンは戸惑うしかなかった。


「あ、アンリ!!」



思わず助けを求めると、アンリはイシュラと戦いながら詠唱を唱える。それをリンが復唱した。



妹神に創られし、哀れな化け物よ。

女神の腕に抱かれ、暫しの眠りを。


  「縛!」




瞬間、イシューの傷口の血が発光したかと思うと、イシューの体が聖具に吸い込まれていくように無くなっていた。


初めての捕縛。だが気を緩めることなどできない。あと敵は二人と一匹。が、体力の消耗が激しい。立っているのも正直やっとだった。


目がかすむ……。足がガクガクとして思わず崩れるように倒れた。このままではイシューの標的になってしまう。


戦わなくては。

助けなきゃ。


そう思っても体が動かない。意識が薄れる。


「リン!!」


「兄……さん……。」


その腕に倒れこむように、崩れ落ちるとリンは意識を手放した。


※ ※ ※ ※



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