罪ある者④
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書庫から帰るとき、いるはずもない人影が見えてリンは足を止めた。
「カティス?」
「あ、リン!探していたの!アロイス先輩が捕まったって聞いて。」
だからと言ってここは立ち入り禁止区域だ。細かなルールを重んじるカティスらしからぬ行動にリンは内心驚いていた。
でも、アロイスが捕まって心配になったのだろう。そう思うことにした。
「えぇ。そうね。」
「アロイス先輩が犯人だなんて、何かの間違いよね?サイもそう思うでしょ?」
「あぁ、僕もアロイスは犯人ではないと信じている。」
「……あ、アンリさん……釈放されたの?」
不意にカティスがアンリを認めていった。
「アロイスが自主したことでとりあえずの釈放なの。」
「そうなの……。そう、良かったですね。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、リン達がイシュー事件を調べる必要はなくなったのね。」
「でもアロイスの件があるから。それに最後の基盤石が残されているから、これ以上の被害が出ないようにしないと。」
「リンはどうしてこの事件が起こったと思っているの?」
「理由……?そこなのよね。今回の事件の目的が分からなくて。」
空を睨みつつリンは首を傾げた。何らかの目的があってあの5人が殺害されたのか。それとも無差別に殺されたのか。
サイソルフィンはリンが共通項だと言ったけど本当のところはまだ謎のままだ。
「あれは……罰が当たったのよ。」
沈んだ顔でカティスが言った。それはとても暗い表情だった。まるで以前のカティスでは考えられないような暗く沈んだ表情だった。
だが、そんな表情もすぐに吹っ切れていつもの表情に戻った。
あれは見間違えだったのだろうか?
「……なんでもないわ。ただ、お願いよ、リン。これ以上この事件に関わらないで。」
―アナタヲウシナイタクナイノ―
「え?」
呟きはリンにはよく聞き取れらなかった。
が、今まで見てきた度の顔よりカティスの表情が辛そうで、リンは心配になった。
「カティス、やっぱり調子悪いんじゃない?」
「……大丈夫。平気よ。ねぇリン。一つだけ聞きたいの。」
「何?」
「リンは私のこと、好き?」
「は?」
突然の申し出に意味が分からずリンは聞き返した。
「それは好きよ。だって親友だもの。兄さんとカティス。ずっと一緒にいたでしょ?」
「じゃあこれからも一緒にいてくれる?」
「うん、もちろよ。」
「そっか。うん。ありがとう。……じゃあ私は行くわね。」
「カティスも気を付けて帰ってね。」
「バイバイ。」
そう手を振りながらカティスは教会を出て行った。その別れが特別なものになるとは、その時のリンには知るよしもなかった。




