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果てなきは空の彼方  作者: 天野 みなも
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選択③


慈悲深き女神ラーダよ

暁の光の如く

その聖なる力で闇を切り裂く力を

我が手に



「聖具・解放!!」


リンがその言葉を発した瞬間、聖具から眩ゆい光が発せられ、その右手に一振りの剣が現れた。それをリンが驚きながらも握った瞬間だった。


身体中の力という力が剣に吸い込まれていく。振り上げることさえもできず、リンは立っているだけで精一杯だった。


「アンリ……これ……は……」


「やはり使い手の素質はあるようですが、まだまだこれから、と言ったところでしょうか。」


もう立っているのもやっとなリンは、次の瞬間自分が倒れる音を聞いた気がした。そして意識を失った。


※ ※ ※ ※


パンッと音がして、リンが持っていた剣が弾けた。倒れるリンをギリギリのところでアンリが支えた。


どうやら目論見通りこれでリンは眠る事ができるだろう。多少荒っぽいやり方ではあったが今は体を休めることが大切だ。


「さて、送りましょうかね。」


先ほどまでの雨もようやく上がり、空には雲の間から星が見え始める。


空気が澄んでいるせいか、王都にいるときより星が綺麗に見える気がする。


アンリはリンを背負うと、部屋から出てリンの家に向かった。


まだ村に着いて一日程度ではあったが、あまり大きな村ではないため、地理は比較的把握できた。


背中にリンの温もりを感じる。出会った頃は幼子だったリンも大きくなったものだなと、リンと離れていた10年に思いをはせる。


やがて村の中心から少し離れた一軒家に辿り着くと、アンリは扉を叩いた。


鍵が開いていたのは分かっていたが、無言で部屋に入るのも気が引けたからだ。


「サイ、起きてください。」


アンリの問いかけから暫くして中からサイソルフィンが現れた。


「おい……こんな夜更けに。って、リン?」


「ジャン達の事があり、だいぶ自分を責めているようでした。」


「それで、こんな夜中にあんたのところまでいったのか?」


「聖具の使い方を教えて欲しいと。」


その言葉を聞いて憮然とするサイソルフィンであったが、先ずはリンを寝かせる必要があるだろうと思い、サイソルフィンはリンの部屋までアンリを案内した。


ゆっくりとベッドにリンを寝かせる。


リンの長い金の髪が名残惜しげにアンリの肩に絡みついた。それをそっと外し、アンリはリンに布団をかけると静かに部屋を出た。


パタン


ドアを閉めると、まだ憮然としたサイソルフィンの顔がそこにはあった。


「そんなにリンを取られるのが嫌ですか?」


「は?なんでそんな話になるの?」


「本当はあなたがリンに頼って欲しかったのではないですか?」


だが、強くなりたいと願い出た先はアンリであった。そして、なにより2度も夜に家を出ている。イシューが再び出るかもしれない夜に。


「そんなことは……。それよりリンが状況を理解していないことが腹立たしいんだよ。」


「結界が揺らいだ件はどうなりましたか?何か自衛団の方から連絡は?」


「まだ何とも。朝になったらジャンの捜索を含めて調査するんだって。」


「そうですか……。ちなみにこのように結界が揺らぐことは多いのですか?」


「僕が知る限りは初めてだね。」


確かにアンリのような聖騎士からみても、この村の結界は強固な方である。多分辺境に位置しており、森と村との境目が曖昧なこともあり他の村のそれに比べても強固なのかもしれない。


だがそれが突然揺らぐとは、何となくアンリには腑に落ちないでいた。


「そうですか……。」


「客間が空いてるから、今日はもうウチで寝たら?」


突然のサイソルフィンからの申し出に、アンリは内心驚いた。


「一応、リンと母さんの恩人だし。また街中まで戻るのも面倒だろ?」


「分かりました。ではお言葉に甘えて。」


「こっちだよ。」


階段を降り、台所のとなりにある客間にアンリを案内する。大きくもなく、かといって小さくもなく。整理された客間に入る。


「じゃあ、僕は寝るから。」


「そうですね。サイ、おやすみなさい。」


部屋から出ようとしたサイソルフィンは、廊下にでるところでふと立ち止まると、振り向かずにアンリに言った。


「リンを、助けてくれて、ありがとう……。それだけは、礼を言っておく。」


そしてサイソルフィンはそのまま部屋を出て行った。


「少しは信頼してくれたのでしょうかね。」


部屋にのこされたアンリはそう誰ともなしに呟いた。




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