№45~№50 初めてのオカ研の話1
45.「終わった~!英語のテストどうだった?」
大きく伸びをしながらアキが聞く。
「う、うーん、まあまあ?」
なんて濁して返事。
「まあ終わったものはもうどうしようもないからね。それよりオカ研だ!」とコウキのテンションは高い。
「じゃあ私はここで」
リンが手を振って離れていく。
俺も一緒に離れたい。
46.何故俺が真ん中なんだろう。
二人は示し合わせでもしたのだろうか。
オカルト研究会までの道中、両脇を固められて逃げ出せる雰囲気ではなかった。
そんなに俺の行動に興味があったのかと少し複雑な気持ちで歩いた。
オカ研の部屋はサークル棟の一番奥、端に存在した。
ついに俺たちは到着してしまったのだ。
47.「すごく個性豊かな外観だな……」
思わず声が漏れた。
ドアの脇にはトーテムポールっぽいものが置かれているし、白かったのだろう壁は赤と灰色に塗り替えられている。
部屋の中は黒いカーテンで目隠しされていて見えない。
建物の上にあるのはアンテナか?
「面白そう~楽しみ~」
アキは目を輝かせている。
48.「先輩たちはいないのかな?ノックしてみるか」
コンコン、と叩かれたドアの向こうからは返事がなかった。
「すみません、入部?入サークル?希望者でーす」
「……ダメだな。学生ホールとかで勧誘してるのかな」
「探しに行った方が良さそうだね」
「ということで」
二人がこちらを見る。
嫌な気しかしない。
49.「カズはここで待機係!」
二人がハモる。
「えっ、はい」
「じゃあ行ってくる!」
「逃げちゃダメだよ!」というふうに俺はオカ研の前で一人になった。
といってもな。
なにもすることがないから、二人が確かめたドアを試しに開けてみるかと思った。
ドアノブには髑髏が彫られている。
それはくるっと回った。
50.「開いてるじゃん」
いや、でも二人が確かめたときは回らなかった。
コウキに至っては、ガチャガチャ壊れそうなぐらい弄っていたのだ。
もしかして、二人で演技してた?
回りきったノブを一度離し、辺りを見た。
誰もいない。
影で見ている、ということもなさそうだ。
もう一度回す。
勢いよくドアを開いた。