閑話2(№41~№44)
41.お熱と言われても仕方がない。
カズを見ているとあの人を思い出すのだから。
それはそれで少し寂しい気もするし、カズ本人に申し訳ないとも思う。
結局はカズにあの人を重ねて懐かしんでいるだけなのだ。
あの人とはだいぶ前にわかれた。
だから、カズとの記憶が積み重なればそのうち忘れてしまえるだろう。
42.入学式を終えたカズは遅く帰ってきた。
「明日はオリエンテーションなんだ」って言うから、こっそり後をつけてきた。
場所を確認したカズはその辺を歩きに行ったけど、私は講義室の隅で座っていた。
しばらくして、カズが戻ってきた。
目線が一瞬交差する。
今は無視されても構わない。
見ているだけでいい。
43.カズの隣にいるのが例の目撃者か。
頭のキレそうなインテリ眼鏡だな。
二人は中段あたりに座った。
しばらくしてカズの隣に女の子が座った。
その連れと合わせて4人でなにやら楽しそうにしている。
特に隣の女はカズにぐいぐいいってる。
おっといけない、黒い感情が。
「こんなところにいたのですね、呉葉」
44.「セツナか」
「探しましたよ。まさかこんなところにいるとは」
何度私はセツナの呆れ顔を見ただろう。
カズの方を見ると、あの女が隣の子に抱きついていた。
「あら、呉葉そっくり」
「なんだと?!」
同族嫌悪ってやつか。
納得した。
「それはそうと、少し面倒事が」
まだカズを見ていたかったが大学を出た。