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40話-1「中級冒険者になる前に」


「おーい、俊!」


 シルクさんと今日の清算の話していると兼次さん達が近づいてきた。


「兼次さん。お疲れ様です」


「おう。で、どやった? 詳しい話は聞けるか?」


 先ほどの話の事だろう。

 兼次さんは僕に確認しながらシルクさんにもちらりと目を向ける。


「大丈夫ですよ。でも、シルクさんから兼次さんに話があると思います」


「そうなのシルクちゃん?」


「はい。私から説明しないといけないことなので。担当直入にいいますと、ケンジさんに討伐依頼が出てます。選ばれたレベル40までの冒険者は緊急招集の高優先度の依頼です」


「レベル40までの冒険者が指定……って事は、ユニークモンスターの討伐依頼やな」


「いや、今回はユニークでは無く、ネームドです」


「はあっ!? ネームド!?」


 その言葉に兼次さん達が声を上げる。


「はい。なので、私の担当で今回呼ばれたのはケンジさんだけですね」


「俺だけが呼ばれたって事は、適正レベルが40でもかなり厳しいって事か……。それにしても、なんでこのタイミングでネームドなんや……」


 そして兼次さんが僕の顔を見て何か悟った様な顔をした。


「まさかな。俊が関係してるとか……?」


「……」


 その言葉に僕は口を紡ぐ。また何か言われそうだ。

 そんな事を思っている僕に対してシルクさんが声高々に話した。


「そうなんです! 今回のネームドはシュンさんが発見したんですよ! それに二つ名の名づけもシュンさんがしました!」


「ほんまかよ……」


 シルクさんの言葉に兼次さんは額に手を当てた。

 そして他のみんなもそれぞれが声を上げる。


「ほんとに奥山君が……? え、どういうこと?」

「まじで俊、お前ってやつは……」

「俊くんは何かそういう、巻き込まれ体質なんだね……」


 と、みんな僕を見て何と言うかわからない表情を見せた。


 いや、僕だって巻き込まれたくて巻き込まれたわけじゃないんですけど!?


「あれ? 皆さんどうされました?」


 シルクさんに至ってはみんながする表情に疑問符を浮かべていた。


「まあ、とにかく俺が呼ばれてるんやな」


「はい。今から集まれる方はすぐに奥の応接室に集合する様にと言われてます。たぶん捜索開始は明日の早朝からになりますが、会議に時間が必要になるはずですから」


「なるほどな。よし、わかった。シルクちゃん案内してくれるか」


「はい。もちろん」


 兼次さんがシルクさんに付いて動こうと僕達に向かって手を上げた。


「じゃあ、俺は今から行ってくるわ。3人とも俊の事は任せたぞ。俺が遅かったら先に行っててくれてええからな」


「わかったわ」


 そう言い残した兼次さんはシルクさんに案内されて応接室に向かって行った。


「僕を任せるって、なんの話ですか?」


 兼次さんが見えなくなった後、気になった言葉について確認する。


「あれ、話してなかったっけ? 奥山くんの中級冒険者到達パーティーだよ」


「えっ、そんなのしてくれるんですか?」


 パーティーなんてしてくれると思ってなかった。


「パーティーって言っても飲み会だけどな。俺達がパーティ組んでまだ数日だから、歓迎会も兼ねてる。と言うか、中級到達は元々はする予定じゃなかったけどな」


「うんうん。俊くんが到達するのが早すぎたからね。急遽する事になったのよ」


「なんか、ありがとうございます。でも中級冒険者になれたのは皆さんのおかけですけどね」


「いやいや! 私達何もしてないよ!? 少しパーティ組んだだけで、さっさと先に進んだのは奥山くん一人でだからね!?」

「そうだぞ! もっと先輩冒険者らしく見せれると思っていたけど、全くまだ見せれてないからな!」

「そうそう! 私まだ何も先輩らしいことしてないわよ!」


 謙遜したらすごい勢いで捲し立てられた。

 色々と見せてもらった気がするけど、そう言われたらまだこの人達と出会ってから5日しか経ってないのか。まだまだ学ぶことがありそうだ。


「じゃあ、これから学ぶことが沢山ありそうなのでよろしくお願いします」


「それって嫌味にしか聞こえないんだが」

「俊くんが言ったらほんとそれね。逆にこの前私達が教えてもらったぐらいだけど」

「奥山くん。そういうところだよ」


 あれ? また色々言われるんだけど。


「と、とにかく、これからどうするんですか? 僕は一応今日一日は討伐依頼を受けてる予定でしたし。それももう終わったので、今からは何も無いんですけど」


 また墓穴を掘りそうなので、無理やり話を変える。


「そうね。私達もさっきダンジョンに潜って来たし、兼次さんがいないと3人になるしもう一度アタックはできないよね?」


「小百合の言う通りだな。だったら次のダンジョンの探索の準備をするか?」


「そうですね。私も準備はしたいです。MPポーションもなくなってきたので補充したいです」


 ダンジョン探索の準備か。他人がどういう風に準備してるのか見てみたいな。


「でしたら、僕もついて行っていいですか? ポーションを今日使い切ったので補充に」


「いいぞ。だったら今から各自準備で動くとして、2時間後ラポールで集合にするか」


「わかったわ。予約している時間より少し早いと思うけど、そうしましょうか。真由ちゃんも俊くんもそれで大丈夫?」


「はい。大丈夫です」


「僕も大丈夫です」


 と言う事で、今から各自ダンジョンの準備に取り掛かる事になった。


「じゃあ、俊。俺と行くぞ。武器の手入れもするだろ? ついて行ってやる!」


「ほんとですか。それは助かります。準備も独学だったので皆さんどういう感じか気になってたんですよ」

 

「俊くん、ポーションも買いに行くんでしょ? だったらそれも見てあげようか」


「小百合、それいいね。だったら先にポーション類を見に行くか」


「じゃあ私もついて行っていいですか? 私も奥山くんがどんな準備するか気になるし」


「いいわよ。じゃあ、みんな一緒に行動ね」


「そうだな。よし、行くか」


「はい」


 最終的にはみんなで移動する事になった。

 準備は一度シルクさんに付いて来てもらった時以外一人でしていたから、こうやって誰かに教えてもらう事などなかった。それだけでも少しワクワクしている自分がいる。

 これがパーティの関係なんだなーと、これだけでもパーティに入ってよかった気がする。


 そして今日のダンジョン攻略はこれでひと段落した。

 みんなでダンジョンについて色々と話すことができた事は、僕にとって大きな利益になっただろう。


 というか普通にみんなと行動するのは楽しかった。



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