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37話-1「ユニークモンスター」


「じゃあ、シルクさん行ってきます」


「はい。行ってらっしゃい」


 昨日シルクさんに言われた通りにギルドに一度顔を出し、予定通りユニークモンスターであるゴブリンの討伐に向かう。

 ゲートに乗って向かうのは25階層の出口のゲートだ。


 今回の討伐依頼で知ったのだが、0階層にある各階層に行くためのゲートは基本的には自分が最後に到達した階層にしか移動する事が出来ないらしい。例外として到達階層が高い冒険者が到達階層が低い冒険者と一緒に潜る場合は到達階層が低い冒険者と同じ階層に移動する事になる。

 先日を例にあげると、兼次さんは49階層に到達しているけど、僕と一緒に潜る事になったので兼次さんも18階層から一緒に始める事になる。つまり僕が49階層から始める事はできない。


「だからここから始まるんだけど、こっち側から進むのは新鮮だな」


 25階層のゲートを越えてまず通るのは、25階層ボスの扉の出口。

 恐る恐るその中に入ってみたが、何もいない。


「逆走するとボスは出てこない仕組みって聞いたのはラッキーだったな」


 ここに来る前にシルクさんに聞いた事で、階層ボスは逆走した場合出てこないらしい。どういう仕組みになっているのかわからないが、考えても答えは出ない。

 まあ、再度あのボスと戦ってもよかったが、今回の目的とは違うのでスルー出来るのは助かる。


 そのまま25階層を後にして24階層の階段を上る。

 この24階層も階層ボスとして認識されているので、25階層と同じように何もいない空の状態だ。


「何もいないボス部屋ってのが不気味だけど、何も出てこないってのが確定してるから気にせずに進めばいいんだけど」


 何もいない広い部屋に自分の声が反響しながら24階層も出る。そしてここからが問題の階層になる。


「シルクさんが22階層付近で目撃されたらしいって言ってたから、ここより浅い階層にいるんだよな。一応、ユニークゴブリン自体も強くなればボスを倒して深い階層に向かうんだけど、今の時点では25階層までは到達していなさそうだったな」


 もし25層を攻略していたら適正レベルを超える事になるので、僕では対応しない方がいいようだ。河合さん付近のレベルの冒険者に依頼が回るだろう。そうなればシルクさんには申し訳ないけど僕の討伐にならないから成績にはならないな。


 そんな事を呟きながら23階層に到着する。

 前に見た通りに草原と森で構成されている階層だ。ここをしらみつぶしに探すとなるとかなり骨が折れるだろう。だからどういう風にユニークモンスターを探すのか。


「さっそくシルクさんに教えてもらったやり方を試してみるか」


 出かける前にシルクさんに会ったのはユニークモンスターの討伐依頼を受けた人専用のアイテムを渡すためだった。特別なアイテムなので返却は必須で、壊したら弁償になるので大切に扱わなければならない。

 ポケットからそのアイテムを取り出す。


「『ペネトレイター』これが広範囲に一定の魔力を持つモンスターを発見するアイテムか」


 手に収まるサイズで丸いスマホみたいな画面の魔道具だ。

 これで依頼のユニークゴブリンを探すことができる。実際には通常のモンスターとユニークモンスターでは行動が違うため、その少しの違いを感知することができ、それを画面に映し出す魔道具らしい。

 しかし設定は細かく必要で、捜索するモンスターの大体のレベルとモンスターの種類などを入力する必要がある。そして最大の難点が使用魔力が膨大に必要らしい。僕が使うときに必要と言うわけではないが、この魔道具を使用するために魔力を込める量が半端ないとシルクさんが言っていた。

 だからユニークモンスターの討伐依頼は少人数にしか出せないらしい。


「早速使ってみますか」


 起動時に必要な少量の魔力をペネトレイターに込める。すると画面が網目状に光る。


「これで、ユニークゴブリンがいたら赤く光るんだったよな」


 シルクさんに教えてもらった使い方を呟きながらゴブリンを探し始める。


「難点な所は画面を見ながらだと、通常のモンスターが近づいていても反応する事が遅れるってことか」


 画面を見ながらだと目の前に来ていたコボルド達を見つける事に反応が遅れる。歩きスマホをしている時と同じで注意散漫になっているわけだ。


「ガアァァァァ!」


 3体のコボルトがこちらを見ながら叫んでいた。


「さて、ユニークゴブリンまでの肩慣らしと行きますか!」


 剣を抜き杖の様に構えて魔力を込める。

 先手必勝。その魔力はファイアーボールよりも多く込める。僕の上に浮かぶ3つの炎の塊はサッカーボールほどの大きさであるが、その込めている質量を増やしイメージはボーリングの球になる。


「『ファイアーキャノン』!」


 そう唱えた炎の球は3つともコボルドに当たり、燃やし尽くす。一瞬で倒したコボルドを見て少し悩む。


「威力は上々だけど込める魔力量が多いな。これぐらいの相手ならファイアーボールに魔力を込めている方が効率がいいし、それに溜める時間が必要になるか。この階層でコボルト相手なら隙ができても対応できるからいいし、パーティでの戦いならこれは使えると考えてもいいけど、一人ならまだ使う魔力が少ないし鍛錬が足りないな」


 自分の攻撃を分析する。自分に何が足りないのか兼次さん達とダンジョンに潜った事から導き出して一つずつ試していこうと思う。

 あのレベルになれるのかな? と思ったこともあるけど少なくとも1年であのレベルになっているのであれば、1か月も立たないうちにこのレベルまでになっている僕ならできると自信を持っていいと思う。それも僕を認めてくれている人が思っているよりも多かった事に自信がわいてきている。


「一人での探索もこれからは少なくなるんやろうし、できる時に色々試しておかないとな。後は、適正レベルの20レベルを越えないようにモンスターを倒すのも抑えながらだけど」


 やはり一人になると「独り言が多くなるなー」と独り言を言いながらユニークゴブリンを探し進んでいく。


 

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