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36話-2「討伐依頼」

すみません、少しだけ続きを書きます!



「危機感値能力が高いと言うのはどう言う事かわかりますか?」


 シルクさんがそう尋ねてくる。

 危機感知能力が高いと言えば何に有効なのか。


「そうですね……例えば逃げるのが得意とかですか?」


 そう答えるとシルクさんは流石と言いたげに笑う。


「その通りです。逃げるのが得意になります」


 しかし、その言葉に疑問が浮かぶ。


「逃げるのが得意だけならそこまで脅威では無いんじゃないですか? 言い方を変えたら臆病とも言えますよね?」


 逃げるが勝ちと言う言葉もあるが、逃げる事のイメージはあまり良くない。それに敵から逃げるだけなら戦う必要もなくなるわけで、そこまで脅威ではないと思うのだが。


「普通ならそう思うかもしれませんが、ユニークモンスターならそれが余計に厄介になります」


 そう言ったシルクさんの目が真剣になる。


「ユニークモンスターの特徴は強さに貪欲なところです。自分が強くなるためにはどうするべきか分かっています。それは自分と変わらないまたは少し強い敵と戦う事だと。それに経験値を得るために自分より弱い者とは好んで戦います」


 そう言う意味か。


「……僕達と考えは変わらないんですね」


「はい。では、シュンさんは自分より遥かに強い者とは戦おうと思いますか?」


 そう言われて納得する。

 見ただけで全く勝てないと思った相手とは好んで戦おうと思わない。堅実に地道に行くことが近道だとも思っているぐらいだ。

 まあ、「暴虐のオーガ」と言う前例もあるが、アレは倒せたから遥かに強かったわけでも無いのだろう。


「戦わないですね」


「つまり、ユニークモンスターも同じです。自分よりもレベルが高い冒険者とは戦おうとしません。危機感知能力が優れていると言う事は、その相手のレベルが分かり感づけば逃げるわけです」


「そう言われると厄介ですね」


 もう一度机に置かれた依頼書を見る。


「でしたらこの適正レベルは最大レベルって事ですか」


「その通りです」


 高くてもレベル20までしか出会う事もままならないと言う事か。それ以上になると逃げられる。


「と言う事だ、意味は分かったかい?」


 ギルドマスターが口を挟む。


「意味はわかりました。僕が最もこのゴブリンに対して適正なのは」


 レベル18の僕ならぴったりな案件って事か。


「他の冒険者でも良かったんだが、ユニークモンスターは普通のモンスターと違って知恵もある。余裕を持って確実に倒せると考えたら、あんたが適正だというわけだ」


「そう言われると嬉しいですけど」


 自分が一番適していると言われると嬉しいのは間違いない。

 しかし、これを受ける事に僕へのメリットはあるのだろうか。


「あたしからの直接の依頼だ。報酬は弾むよ。どうだ、受けてくれるかい?」


 報酬を弾んでくれるなら断る理由はない。

 これから健治さん達とレベル上げする予定だが、少しぐらい時間はもらってもいいだろう。


「わかりました。受けます」


「助かるよ! シルク! 早速これから手続きしてきな!」


「はい!」


「オクヤマシュンは手続きの準備ができるまでお茶でも飲んで話そうか」


「わかりました」


 そう言われたので、まだ温かいお茶に口をつける。

 紅茶か、美味しいな。

 そう思っていると扉の前でシルクさんが振り向く。


「シュンさん、ありがとうございます! すぐ戻りますね!」


 そう言って僕に向かって頭を下げてからシルクさんは部屋から出て行った。


 ありがとうって、そこまで礼を言われるほどでは無いと思うんだが。


「ユニークモンスター討伐は担当者の成績に貢献するんだよ」


 僕が不思議そうな顔をしていたのか、疑問を汲み取ったギルドマスターがカップに入っている飲み物を飲み干して、そう言った。


「成績ですか」


「ああ。あの子は今までいい冒険者に恵まれなかったからね。あんたもよく知ってるケンジのパーティで保ってるぐらいだからね。あんたが来てかなり喜んでたよ」


「シルクさんの成績はそこまで良く無いんですか……」


 噂では聞いていたけどそうなのか。


「でも、兼次さん達がいたらそこまで悪く無いと思うんですけど」


「そうだね。はっきり言ってあのパーティは安定してると思うよ。でも、他にもアレぐらいはゴロゴロいるからね。あれ以下もゴロゴロいるけど」


 ふっ、と鼻で笑いながら脚を組む。


「大抵の担当者は50階層を突破している冒険者を持っているからね。ケンジ達にはもっと頑張ってもらわないとと思ってた時にあんたが来たのさ」


「はぁ、兼次さんレベルはゴロゴロいるわけですか」


 そう言われると少しびびりながらもワクワクしてしまう自分がいた。

 あのレベルがいっぱいいるって事は、僕もあのレベルまではなれる可能性があると示してくれる。


「最近はルーキーが入ってくるのが少ないからね。あんたには期待してるよ」


 そう言うギルドマスターはニヤニヤしながら試す様に僕を見ていた。


「そこまで期待しないでくださいね」


「はははっ。謙遜しなくていい」


 僕の言葉を笑いながら切り捨てた。

 謙遜では無いんだけどな。


「シュンさん、ギルドマスター。準備ができました」


 そして言っていた通りすぐに準備が出来たシルクさんが戻って来た。


「さて、行こうか」


 それと同時にギルドマスターが立ち上がった。




     

次回の更新は活動報告で伝えます。

申し訳ございません。

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