表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/150

36話-1「討伐依頼」

遅くなりました……。今年もよろしくお願い致します。



「で、オクヤマシュン、あんたを呼んだのは2つある。一つはあんたが持って帰ってきたスキルオーブを見せてもらう事なんだが」


 ギルドの奥に連れて行かれ、赤いどう見ても豪華なソファーにドシっと腰掛けたギルドマスターは、僕を向かいに座る様に促し、問いかけた。


「そうですよね、スキルオーブですよね。そんなに珍しいものなんですか?」


 促された通り僕は向かいのソファーに座り聞き返す。

 まあ、スキルオーブをシルクさんに渡してからギルドマスターが来たからそうじゃないかと思ってはいた。


「あんたはまだここに来て浅いからわからないだろうけど、かなり珍しい物だね。普通にしてたら手に入らない。ましてや新人なんてありえない物だね」


 そこまでの物なのか。

 兼次さん達に言われていた通り珍しい物だとは何となく思っていたが、ギルドマスターにまで言われれば本当に珍しい物だとわかる。


「で、見せてくれるかい?」


「いいですよ」


 僕は複雑な色に染まるスキルオーブを取り出し机の上に置く。


「ほぅ……本物だね」


 それを見てギルドマスターは呟く。


「手に取ってもいいですよ」


「っ!? あんた……そうだったね。まだ使い方もわかってないんだったね」


「ん?」


 僕の一言に驚いた顔をしてからため息をつく様にギルドマスターは呟く。


「スキルオーブは決して人に渡したらダメだ。これはしっかり覚えておきな。あとそれはもう片付けていいよ」


「は、はぁ」


 意味がわからない顔をしていたのだろう、ギルドマスターは僕の目を力強く見る。


「それの使い方は簡単だ。手に取って覚えたいスキルを言葉にすれば良い。すぐに使えるようになる」


「なるほど。そう言う事ですか」


 そう言われてさっき呆れた顔をされた事に納得した。


 手に取って言葉にすれば覚えられるなら、渡した瞬間使われる可能性がある。そんな危ない事を僕はしていたのだ。


「わかったならいいよ」


 そう言ってギルドマスターはいつの間にか運ばれていたカップに口をつける。


「えっと、スキルオーブについてはこれで?」


「スキルオーブについては確認さえできたら良かったからね。大事に考えて使いなよ」


 そう言ってギルドマスターはもう一度カップに口をつける。

 僕もつられて自分のカップに口をつける。


 てっきりスキルオーブについて交渉されるのかと思っていたが、そうではなかった様だ。


「で、もう一つの方が本題なんだが、いいかい?」


「本題ですか」


 カップを置いたギルドマスターの目が一段と真剣になる。


「ああ、少しあんたに頼みたい事があるんだよ」


「……マスターもしかして」


 その言葉に静かにシルクさんが呟く。


「オクヤマシュン、あんたはユニークモンスターの事は知ってるかい?」


「ユニークモンスターですか? シルクさんから一応説明は受けてますけど」


 ユニークモンスター。その言葉に脳裏に過るのはあのコボルトだ。あと少しで逃げられた事を鮮明に覚えている。その話は誰にも話してない。シルクさんにもだ。しかしここでユニークモンスターの話が出るとは、まさかと思うが。


「基本の説明がされてるなら話が早いね」


 そう言ってシルクから1枚の紙を受け取り、机の上に置いた。


「あんたに頼みたい事はこのユニークモンスターを討伐してほしい」


「討伐ですか」


 そう呟き、まじまじと机の上に置かれた紙を見る。


「討伐対象はゴブリン1体」


「ゴブリン」


 紙に書かれているのはギルドマスターが言った通り、ゴブリンの絵と文字が書いてあった。加えて詳細に武器を使うやら対象レベルが書いてあった。

 あのコボルトではないんだな。


「武器を使うからゴブリンソルジャーになるんだが、そこまで強い相手じゃないね。あんたなら余裕だと考えている」


 適正レベルは15〜20か。

 つまりレベル15以上が適正になるわけだよな。


「ひとつ疑問に思ったんですけどいいですか?」


 手を軽く上げ、質問をする。


「なんだい?」


「別にこのレベルのゴブリンなら僕じゃなくても、他の冒険者でも良かったんじゃないですか?」


 レベル15以上なら例えば兼次さん達でも良かったわけだ。わざわざ僕に頼む必要はない。

 まあ、適正レベルに近いから僕に頼むのもわかるが。


 しかし、その言葉にギルドマスターは「ああ、そうか」と少し笑い、シルクさんに声をかける。


「そこもあんたは知らないんだね。シルク説明してやりな」


「わかりました。シュンさん、ユニークモンスターについてはこの前話しましたよね。それは覚えてますか?」


 急に振られたユニークモンスターについて思考を巡らせる。


「はい。簡単に言うと次世代のモンスターって事ですよね。強さを求めているって話だったはず」


「はい、その通りです。ですが、その次世代の厄介なところは強さへの渇望だけではないんです」


「だけじゃない?」


 その言葉に頭の中でハテナが浮かぶ。

 ダンジョンに生まれるモンスターと違ってユニークと呼ばれるのは強くなるために動き回る事だと認識していたのだが。


「次世代の中のユニークモンスター。その1番の厄介なところは、知能が高い……つまり危機感知能力がある事です」


「危機感知能力……?」


 僕はその言葉を無意識に聞き返した。


次回の更新は火曜日の昼ごろです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ