35話-4「中級冒険者へ」
河合さんのHPが110、魔力が253だった。
「私はこんな感じ」
「じゃあ、俺もな」
と兼次さんが見せる。それに続き大樹さん、小百合さんと見せてくれた。
兼次さんがレベル40、HPが160、魔力が294。
大樹さんがレベル35、HPが135、魔力が230。
小百合さんがレベル36、HPが133、魔力が261。
だった。
全てにおいて兼次さんが1番で、大樹さんと小百合さんは同じぐらい。でもレベル差が能力値の差を出しているわけでは無いようだ。
やはり魔力はそれぞれ魔法を使うかどうかで決まってきそうだ。
「じゃあ、奥山くんもね」
そう河合さんに言われて、自分のステータスをギルドガードを見てみる。
レベル18
HP 80
SP 150
力 28
体力 21
速さ 32
運 75
魔力 182
前に見たのはレベル7の時だったから、久しぶりに見たけどかなり上がってる気がする。
でもやはり4人とは差があるのは確かだ。
まあ、レベル差もあるからどうとも言えないが。
「えっと、HPが80で魔力が182ですね」
他のステータスが見えない様にして僕もみんなに見せる。
その瞬間周りの空気が変わる。
「えっ! 魔力高くない!? HPは普通だけど、今の時点で私の7割ぐらいあるよ?」
「ほんまやな、魔法専門ってわけでもないのにここまでって……いや、魔法は使ってるか」
魔力が高い事に驚いているようだけど、
「高いのかはわからないですけど、魔法は剣よりメインに使う時もありますね。一応バランスよく使ってるイメージですけど」
「まじか、このままだったらすぐに俺ら抜かされそうだぞ」
「ほんとに。どうやってそこまで魔力を上げれるの?」
全員が驚くと言う事は魔力は異常値なのだろう。
常に使っていたらここまで上がっただけなのだが。
しかし、自ずとわかる自分の状況。一般的な人に比べたら成長は早いのだとわかる瞬間だった。
「単純に魔法を使っていたら魔力は増えるって言われたんで、常に使うようにしてます。例えばモンスターを見たら「サークナ」を必ず使ったり、攻撃魔法を使うなら威力を高めるために圧縮したりですね。魔力は気にして使用してます」
「常に魔法を使うか……中々難しいね」
俺の言った事に河合さんが難しい顔をする。
「難しいのかな? 魔力的には河合さんでも十分足りると思うんだけど」
「魔力的にはね。でも、モンスターと戦う時にもし魔力が足りなかったらどうするの? 一撃で決めないといけないって時に魔力が足りませんでしたでは、ダメだから、できないでしょ?」
「そう言われれば。まあ、僕の場合は威力が高い魔法を使う事も無いし、て言うか知らないし。剣をメインに使うから魔力半分SP半分のイメージで戦うからな。ソロしていたら気にしてなかった」
「なるほどね……。奥山くんだからこそできる練習方だね。魔法職だけではできないよ」
河合さんの言う事は最もだと思う。でも、今から常にしていたら魔力が上がって、より威力の高い魔法が使えるようになると思うんだが。
「まあ、俊の考え方は今のところ攻略層が合ってるからできる事やな。俊は今の状態でいいけど、俺らが到達している階層ではできないわな」
「でも、そのやり方は俺は真似しようと思ったな。俺は前衛だしそこまで魔法使わないし。参考にするわ」
「私もこのレベルアップ中は真似するわ。オーバーキル気味に魔力を込めたらいいのよね?」
「そうですね。オーバーキル気味でいいかと思います」
「そう考えてもいいのか。私も真似してみよ」
「まあ、それぞれ考える事あるから、いいと思ったら受け入れるべきやな。俺も様子見て考えるわ」
そう言いながら兼次さんの魔力が少し動いた気がした。
「ちなみに他にも何かしてる事あったら教えて欲しいんだけど」
そう河合さんが聞いてくる。
普通僕が教えてもらう立場だと思うんだが、特殊な事をしているかもしれないから共有するのはいい事だと思う。
「シュ、シュンさん。いいですか?」
「ん? シルクさん戻って……」
僕達がどう能力を伸ばすかで談義をしようとしていたら、戻ってきたシルクさんに呼ばれて、声の方向を向くと、
「……っ」
「……あんたが、オクヤマシュンか」
目の前に白髪で褐色のエルフが僕を見ていた。
そのエルフ……いや、ダークエルフと言ったほうがいい女性は、顔にシワがいっており歳だとわかるのだが、鋭い眼光で今でも現役で動けるだろうオーラを纏っていた。
「そうですけど……」
「シュンさん、すみません! さっきの話をしたら直接会いたいとの事で」
シルクさんが少し緊張した面持ちで僕を見ている。
「おい、まさか……」
「うそ、直接会いにきたの……」
「まじか……」
後ろの3人が驚いた声で呟く。
関係ない周りの人達もザワザワし始める。
「奥山くん……本当に大物になんだね……」
河合さんまで驚いて僕の肩を軽く叩く。
ここまでみんなが驚くって、この人って……。
「シュンさん、この方は……」
「いいよシルク。オクヤマシュン、あんたはまだここに来て1ヶ月も経ってないんだね。知らなくて当然さ」
そう言って目尻にシワを寄せる。
「アタシはこのギルドのマスターをしてる。ララクレイナって者さ。ちょっと聞きたいことがあるから、奥までついてきてくれるかい?」
そう、ギルドマスターと名乗ったダークエルフは親指を立てて後ろを指した。
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