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35話-1「中級冒険者へ」



「スキルオーブですか……?」


 片手に収まっている複雑な色合いの球体に目を落とす。


「そうや、これは珍しいな! スキルオーブがドロップするなんて初めて見たわ!」


「いや、俺もですよ! と言うかドロップするんですね!」


「衝撃だわ! 運も持ってるって……それにこの色……」


「奥山くん……ずるいよ」


 それぞれの驚きが聞こえる。

 ずるいと言われても僕が望んで出したわけじゃないんだから。


「ちなみに、スキルオーブって名前通りの効果があるんですか?」


「っ!? そうか、俊は知らへんのか。そりゃまだダンジョンに来て1ヶ月も経ってないもんな。情報はそこまでないわな」


 兼次さんは頭を掻きながら「それでもこのレベルってホンマエグいわ」って言いながらスキルオーブについて話し始める。


「スキルオーブはな、その通りスキルを覚えられるアイテムやな」


「ゲームとかでよくある感じですよね」


「そう、そんな感じなんやけど、このダンジョンでドロップした事は見たことない。聞いた事あるぐらいで、レア中のレアアイテムなんやわ」


 レア中のレアが僕の手の中にあるのか。


「しかも俊が持ってるスキルオーブは一色じゃなくて、色んな色に光ってるやろ?」


「そうですね」


「普通のスキルオーブは一色で一個の決まっているスキルを無条件で覚えられるんやけど……」


 ……っ!

 そこまで言われれば何となくわかる。一色で一個なら、この複雑な色は……。


「複数覚えられるって事ですか?」


「惜しいけどちゃうな」


 違うのか。

 だったら後の可能性は一つ。


「覚えられるスキルは一個なんやけど、覚えられるスキルが決まってなくて、何でも覚えられるって奴や」


「何でもですか?」


 まじか!

 何でもってやばくないか!?


「まあ、条件はある。使用者が見た事あるスキルだけで、人間が使えるスキルに限る」


「見た事あるスキルですか……」


 それに人間が使えるスキルに限るって事は例えば、


「咆哮なんかは使えないって事ですか?」


「いや、使えるな」


「使える?」


 人間が使えるって言ったよな?

 でも咆哮は使える、って言うのは……。


「ああ、「咆哮」って言ってもな色んなのがあるんやけど、例えばオーガが使う「咆哮」とここのボスのガンラビットが使う「咆哮」では種類が違ってな。オーガのはスキルの「咆哮」でガンラビットのは普通の「咆哮」。つまりスキルなのかただ吠えてるだけなのかの違いやな」


 あいつはただ吠えてただけなのか。


「まあ、それでも効果は似ているんやけどな。獣が使う「咆哮」は人間には無い器官を使ってる。それに比べてオーガは人間と変わらん器官やからスキルとして「咆哮」を持ってるんやわ。やから、オーガの「咆哮」は覚えられる訳や」


「なるほど……」


 つまり、獣型のモンスターのスキルは覚えられ無いけど、人型のモンスターのスキルは覚えられるって事か。


「でもな、ガンラビットのスキル「超加速」は覚えられるんやわ」


「ん? それは覚えられるんですか? え? ちょっとわからなくなってきたんですけど!?」


 意味がわからない。

 ウサギのスキルなのに人間が使えるって?


「はははっ。そんなもんや。実際俺がスキルオーブを使って覚えたわけじゃ無いんやけどな。実は「咆哮」は戦斧スキル、「超加速」は短剣スキルで覚えられる」


「戦斧に短剣ですか……」


 初めて聞く武器だ。

 無いとは思ってなかったけど、あの4種類の武器とは違うのがあるのか。


「それも聞くの初めてか。簡単に説明するとスキルってのは武器によって覚えられるやけど、武器のスキルレベルを上げへんと覚えられへん」


「それはなんとなくわかってました。剣スキルで「スラッシュ」とかありますしね」


 自分が経験している事は覚えている。

 しかしそう考えると、


「つまり、武器スキルで覚えられるスキルはモンスターが使うスキルでも覚えられると言う事ですか?」


「その通りや。厳密に言うとモンスターが使うスキルと武器スキルとでは違うみたいなんやけど、ギルドで表示されるスキル名は同じなんや」


 なるほどな。そりゃモンスターが使うのと人間が使うのでは違うだろう。

 どの様な基準で管理されてるのかは気になるけど。


 でも、この話を聞いて疑問に思う事が増えた。


「でも、どの武器のスキルも覚えられるものなんですか?」


「はははっ! そこがキモなんや! そう、俊が言ってる通り覚えられる!」


 どの武器のスキルも覚えられる?

 それってつまり、


「どの武器で訓練しても平等に経験値は得られる。つまり、全ての武器のスキルを極める事もできるわけやな」


「まじっすか!」


 その言葉に僕は興奮を隠せなかった。





       

次回の更新は火曜日の昼ごろです!

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