表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/151

34話-2「最大の攻撃と最速の行動②」

2話目間に合いました。



 まずは目でギリギリ追いきれるスピードで動き出したウサギ。


 このまま追いきれるスピードでいたら楽なんだけど、その後一瞬だけ追いきれないスピードになる。その時の対処法を考えないといけないのだが、どのタイミングで動くのかわからない。


 だったらわざと一瞬こいつを見失ったそぶりをしたら……。


「試すか」


 動き回るウサギに対して、動かず剣を構える。目と顔はウサギを追ってるままで。

 目で追える今のうちしか試せない。


 そして、隙を見せる様に一瞬ウサギが動いた方向と逆の方向を見る。


「ウサッ」


 するとその隙を見つけたかのように、視界の端に居たウサギが消える。

 そして、右から飛びつく姿が目の端に映る。


 完璧!


「はあぁぁぁっ!!」


 タイミングを合わせる様に剣を横薙ぎに振る。


「ちっ!」


 しかし、寸前の所で回避された。

 いや、少し掠ったか?


 剣に少しだけ血が滲んでいる。

 そして僕から離れた位置でウサギが静止する。


「ウザァァァァァァァ!!」


 威圧する様に叫ぶ。

 「ウサァァァ」から「ウザァァァ」に変わっているんだけど。


 怒り出すウサギは可愛いかった面影がない。


「でも、こんなもんだろうな」


 カウンターで当てる。

 そんな簡単には行かないだろう。簡単に行ったら中級冒険者への壁とは言われない。


 多分、前回のカメと同様に今回も何か攻略法があるのだろう。例えば、このスピードに慣れるか攻撃のタイミングが同じでカウンターを当てれるようになるか。それか受け切るか。

 前衛職なら多分こいつの攻撃は受け切れる。僕でも耐えられる一撃なら盾が有れば余裕だろう。

 しかし後衛職ならスピードと攻撃に耐えきれない。アイデアを持たなければ倒す事は難儀だろう。


 そう考えるとこの24階層と25階層はパーティを組んでいれば大丈夫だが、偏ったステータスを持つ冒険者では攻略が難しくなっていると言う事だとわかる。


 カメの場合、武器よりも魔法の方が効いていたし、遠距離攻撃の方が良かったのかもしれない。

 焦っていたから僕は早々に遠距離は諦めたが。


「つまりオールマイティにこなせればいいって事だろうけど」


 前衛も後衛も出来るなら、大した事はないだろうが。


「ジリ貧にならないように早々に決めたい。そうなれば、何度かカウンターを狙うしかないか……いや、それよりも……」


 さっきと同じようにカウンターを狙うだけなら受け身のジリ貧だ。こっちが慣れる頃にはあっちも慣れるだろう。

 一撃で倒されないにしても、受け続けると負けは確定する。


 しかし、このウサギも後衛職が倒せるようになっているのなら、早期に決着をつけらたければ、する事は一つだけ。


「ウザァァァァ!!」


 ウサギが高速で動き出す。


 初動はまだ見切れる。でもこっちから攻撃するのは難しいから……。


「はぁぁぁぁっ!」


 タイミングを合わせて剣を振り抜く。


「ちっ!」


 当たらずに空中で避けられる。

 どんな体幹してたらそんな動きができるのか。

 しかし、

 

「このタイミングなら!」


 ウサギがバックステップをして離れようとした瞬間に、


「『ウォーター・ボール』!」


 範囲を広く取るように大きめの水球を放つ。


「ウサッ!」


 しかし、それも簡単に空中で身体を捻り、避けられる。


 まあ、そんな簡単に当たるわけない。

 剣が当たらないなら魔法で対抗していく。


 水球を数個展開させる。


「これはどうだ! 『ウォーター・ボール』!」


 数個同時に水球をウサギ目掛けて放つ。


「ウサッ?」


 しかしそれを一瞬の加速で避け切る。


「でも、避ける方向が分かってたら狙えるんだよ! 『ウォーター・ボール』!」


 撃った後直ぐに展開していた水球を続け様に放つ。

 相手の少し右側に1つ目と2つ目の感覚をほんの少しずらして放てば自ずと避ける方向は左になる。

 3つ目からは普通に追いかけるように放つのだが、その水球はウサギを追いかけるように走った後に当たっていく。


「速いな」


 合計20球ほど撃ったのだが、見事に全部避けられていた。

 それでも手は止めずに水球を撃ち続ける。


「ウサッ!」


 走りながらウサギが僕を見て舐めた顔をする。

 いや、実際にそんな顔かはわからないが、そんな感じがして仕方ない。


 でも、ただ走ってるだけなら狙えるんだよ!


「『ウォーター・キャノン』!」


 カメの時とは違い、スピードに重視した最速の水球をウサギの一歩前に向かって放つ。

 これで当たれば瞬動で一気に詰めるのだが。


「ウッサッ!」


 しかし、その瞬間急加速によってウサギが消える。


「っ!!」


 一瞬みうしなったが、移動していた導線先の壁が破裂するように砕けた。

 

 その瞬間、左側ににウサギが現れ、重い一撃が左腕を突き抜け、腹部にまで貫かれた感覚が襲う。


「ぐっふっ……!」


 今まで以上の一撃。

 しかし、このタイミングを待っていたわけだ!


「ウサッ!?」


 そのまま蹴った脚を左腕で掴む。

 こっちの腕力よりウサギの脚力の方が強いだろうが、一瞬でも隙が生まれたら当てられる!


「スラッシュ!!」


 そして、抜いていた剣をウサギに向かって振り抜く。


 肉を切らせて骨を立つ。

 まずは一撃目!




       

次回の更新はいつも通り、火曜日の昼ごろです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ