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34話-1「最大の攻撃と最速の行動②」

25階層ボス戦開始!



 目の前に見える大きな扉。

 さっき通って来た扉と同じ大きさで、いつも通りボス戦を前にしているのだと肌で感じられる。


「さっきと一緒で無理やったら出てこればいいからな。まあ、あの速さでクリアできたならここも大丈夫やろうけどな」


「奥山くん、頑張ってね!」


「目指すはレコードホルダーね」


「行ってこい!」


 4人とも温かく背中を押してくれる。


 この雰囲気は心地いい。

 通常では、仕事では、感じることがない感情に、少し心が温まる。


「はい! 行ってきます!」


 気合を入れて、扉に手をかける。

 期待は裏切れない。この扉からは出る事はなく、早く倒して期待に応えよう。

 その為には、今回は焦らず初見から動ける様にする。


 そして、24階層と同じく重低音を響かせて扉が開く。


 さっきはカメだった。じゃあ、25階層は何が出てくる?


 扉が開き、中央のモンスターが目に入る。


「……ははっ、なるほどな」


 部屋の中に入り、後ろで扉が閉まる音がした。

 そして、そのモンスターに目を向ける。


「カメの次はウサギか」


 2本の長い耳に、赤い目と白い体毛。そして何メートルでも跳べそうなほどの充分に発達した後ろ脚。

 そして一つ気になる点、前のカメと同じく……小動物らしい可愛い顔。それが一番戦いにくい条件なんだが。


「兎と亀……」


 それは正反対の行動をする物語に出てくるキャラクタ―。

 それがさっきと今で目の前に出てくると言うことは、このウサギは前のカメと正反対の能力だと考えられる。


 つまり、カメが防御力特化ならウサギは……。


「ウサァァァァァ!!」


「鳴き声っ!!」


 鳴き声が「ウサァァ」ってまじかよ! カメの時と一緒じゃねぇか!


「って、そんな事考えてる場合じゃなくてっ!」


 自分の突っ込みに突っ込みながら、思っていた通りだと考える。


「スピード特化か!」


 目の前の縦横無尽に走り回るウサギのスピードが速い。

 一瞬にして動き出したウサギは止まるそぶりを見せず、目で追うだけで必死になるスピードだ。


 いや、とにかく冷静になれ。前のカメの様に一撃必殺の攻撃が来るかもしれない。

 例えばこのスピードなら、相手を攪乱して隙を見せた瞬間に襲い掛かるのがテンプレだろう。


 注意してすぐに対応できるように剣を抜く。


「……っ!!」


 しかしその瞬間、ウサギが一瞬で目の前から消える。


 やばい見失った!


 その残影を追うように目を動かすが、その姿はとらえられない。

 しかし一瞬だけ視界の端に影が映った様な気がした。

 そして、


「ぐっ!!」


 左から衝撃が走る。

 しかしギリギリ剣での防御が間に合った!


 目の前で飛び蹴りの状態で滞空しているウサギ。

 大きさは人間の大人と同じぐらいであり、その大きさの物体がぶつかった衝撃は乗用車に轢かれた時と同じぐらいの衝撃だ。

 防御が間に合ったはずなのに数メートル程吹き飛ばされる。


「ぐうぅぅぅぅっ!!」


 剣の側面と左腕で受けたことで威力は分散されたかもしれないが、ダメージはある。

 しかしウサギを睨みながら体勢をできる限り崩さないように着地する。

 追撃は絶対に避けないといけない。


「ウサッ」


 そう舌打ちの様な声を発っし、ウサギはバックステップで元の部屋の中央に戻る。


「痛いけど」


 左腕の状態を確認する。

 よし、少し痺れてはいるが動く。

 レベルが上がっている事で、今ぐらいの衝撃なら耐えられる。

 そう考えるとカメに比べて攻撃が弱いと考えていいかもしれない。


 とにかくスピードが速い。一瞬でもとらえられないスピードになるのは厄介だ。しかし、その分攻撃が軽いと考えると対策のしようはあるだろう。

 まあ、直撃したり何度も食らうと危ないだろうが。


「さて、どう攻略するか」


 まずはあのスピードに対応するしかない。目で追えないならどうするか。


「ウサァァァァ!!」


 そしてウサギがまた走り回りだす。


「はぁ、一撃食らっても大丈夫なら我慢するしかないか」


 ため息っぽく息を吐きながら、剣を構える。




        

次回の更新は、本日20時ごろです!!

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