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33話-4「最大の攻撃と最速の行動①」



「これで、どうだ」


 その場に崩れるカメの甲羅にしがみつきながら様子を見る。

 すぐに動かれたらもう一度魔法を放つつもりだが……動く気配が無い。


「でも、まだ倒せてないみたいだけどな」


 いつもの様に光の粒子になって消えてないので、まだこのカメは生きている。

 元々これで倒せるとは思っていなかったが、手足に顔までも甲羅から出して倒れていると言うことは、気絶はしているのは確かだ。

 なら、あとは止めを刺すだけ。


「首なら剣も通るだろう」


 首も甲羅の様に固い訳じゃないと思う。

 そう思いながら首の位置まで甲羅の上を歩いて行く。


 上からまともに見ると、思っているより太い首だ。ただ普通に斬るだけでは切り落とす事はできないだろう。


「さて、どうするか」


 早めに選択はしないといけないだろうから、思い切っていってみるしかない。


「全力でいけばなんとかなるだろ」


 上段に構え、強くイメージする。一撃でこの太い首を落とす力を込めて。

 そして、甲羅から飛び降りる。

 

「スラッシュっ!!」


 落下する勢いを加えて剣を振り下ろす。


 そしていつもよりもSPを込めたその斬撃は、カメの太い首を切り落とした。


 その勢いのまま僕は地面に降り立つ。

 3メートルほどの高さから降りてもなんともないのは、レベルアップの恩恵だと十分わかる。


 そして、そのままカメは倒した事を証明する様に光の粒子となって消えていった。


「んっ?」


 その瞬間レベルが上がったとわかるように聞きなれた声が聞こえた。

 18レベル。後でステータスを確認しよう。


「それにしても最後は呆気ない終わりだったな」


 「サンダー・ボルト」で動きを封じ込めるまではどうなるかわからなかったが、今思えばあのレーザービームも一直線にしか来ないから避けやすかっただろう。初めから焦ることがなければ楽だったと後からわかる。

 それにもしかしたらインターバルを見極めていたら、剣だけでも倒せたのかもしれない。

 今となってはすぐに試す事は出来ないのだが。


「また来ればいいか」


 色々試せるからボス戦は力になる。

 一度クリアしたらまた来ればいい。


 そんな事を思いながらカメのドロップアイテムであるデカイ甲羅のかけらを手に取る。


「これだったらいい盾が作れそうだな」


 まあ、僕は使う事はないだろうけど。



「おっ! 思ってるより早かったなー」


 すると後ろから兼次さんの声が聞こえてきた。

 いつの間にか入ってきた扉が開いていた様だ。前後の扉が両方とも空いている。


「おい俊! この速さってお前どうやって倒したんだよ!」


「本当ね。歴代でも最速の速さじゃない?」


 後ろから大樹さんと小百合さんも入ってくる。


「私はかなりかかったけど、これは……ホント速いね」


 河合さんも驚きながら入って来た。


「お疲れ様です。って、そんなに速かったですか?」


「速かったって……かなり速いだろ!」


「普通は1時間じっくり様子見て攻略していくもんやからな。数分で撃破はかなり速いぞ。俺も面食らってるぐらいやからな」


「へー、そうですか」


 少しニヤつきそうになって口元を抑える。

 驚きながら褒めてくれるのはかなり嬉しい。

 まあ、1時間様子見で攻略って事は本当に速かったんだとわかるが、時間をかければかけるほどこっちも消耗するから、一気に全力で行くのは当たり前だと考えていた。


「で、どうやって倒したの? 奥山くんの攻略方法を知りたいな」


 そう言って河合さんがぐいっと近づいてくる。


「そうだな。簡単に言えば、「サンダー・ボルト」で動きを止めて「スラッシュ」で首を切り落とした感じかな」


「……はっ? ちょっと待て! あのレーザービームみたいな水の塊はどうした!?」


「ぎり初見で避けられたんで、大丈夫でした。危ない場面は何度もあったんですけど、一応まともには食らってないですね」


「まともに食らってたらここにいないからね。回避能力もあるのね」


 4人とも驚きながら僕の説明を聞いていた。


「そのレベルで「サンダー・ボルト」が使えるんか、ちょっとお前の魔法全部教えてほしいわ」


「ホント。奥山くんどこで魔法を覚えたの? 魔導書買えるぐらいお金稼いでたの?」


「えっ? 魔導書? いや、独学だけど?」


「独学!? ホントに!?」


 独学の言葉に河合さんが声をあげる。


「うん。この世界の魔法ってイメージで作れるだろ? それに名称が付いているだけで。名称ってキーなだけで、根本的にあるのはイメージだろ? 本当はライトニングって名前にしたかったんだけど、それでは拒否られたからな。たぶんもっと強い魔法であるんだろ? まあ、魔法については大体シルクさんに教えてもらった内容なんだけど……」


「「……」」


「……あれ?」


 そう説明したら、何故か意味不明な者を見る目で見られていた。


「いや、最初にそう習うけど、そこまで明確に想像できる奴はいないぞ? だから普通は魔導書で覚えるんやけど……」


「使い慣れてる魔法以外はイメージしにくいんだよ……って、じゃあ、詠唱はした事ないの!?」


「詠唱ってそんなんあるの?」


「……まじかぁ」


 そしてまた意味不明な者を見る目で見られた。


「ここまでかよ。そりゃ、本当に期待のルーキーだわ」


「そうね、ちょっと私落ち込みそうだわ」


 そう言う2人も納得しながらもまだ驚いている。


「まあ、シルクちゃんが俺らに説明した事を俊にも説明しただけで、それが俊はまったって事は、やっぱ才能があるって事や」


「そうですね、本当にいい人材を連れて来れましたね」


「そうよね。本当、優良物件よ」


 なんか、褒めてもらってる様でかなり嬉しいのだけど。


「まあ、この話の続きは戻ってからにしよか」


 兼次さんが手を叩き話を変える。


「ちなみにその様子じゃ次のボスも行くつもりやろ?」


「そうですね。てっきり連続で行くものだと思っていたんですけど」


「本当は明日にしようかなって思ってたんやけどな」


 そうか。

 ボス戦を連続で行くって考えたらきついもんか。

 でも、体力的にも余裕があるし、あまり使わないポーションを使えば大丈夫だろう。


「いや、せっかくなんで挑戦します」


「その様子じゃそうやろな。わかった! じゃあ攻略してこい!」


「了解です!」


 24階層、25階層で冒険者かどうか見極められるなら、早めに突破はしたい。

 それにボスを倒せばやっぱり経験値の入りがいい。

 レベルが上がると嬉しいもんだからな。


「じゃあ、向かいます」


 そう言って24階層の部屋を後にした。




       

24階層攻略完了。


次回の更新も火曜日の昼ごろです。

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