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32話-3「攻略のためのメンバー」



「ちなみに河合さんはダンジョンに潜ってどれくらいなの? レベルは?」


 歩きながら河合さんと情報交換をする。

 と言うか、いつから潜っているのかかなり気になる。


「私は半年前からかな。レベルは30」


「半年前に、レベルは30!? 割と前からダンジョンに潜っていたんだ!?」


 大阪にダンジョンができたのは1年前ほど。そうなると、兼次さんは初期から潜っているからレベルが高いにしても、河合さんのレベルも高い気がする。


「そうだね。黙っててごめんね。ちなみに、奥山くんのレベルは?」


「僕は一昨日1レベル上がって17レベル。まだ始めたばかりだからそんなもんかなって思ってるんだけど?」


「え? 17レベル!? そんなもんかなって、逆に早くない!? まだ初めて1ヶ月も経ってないよね?」


「経ってないけど、そんなに驚く感じ?」


 俺のレベルを言って驚かれる。

 兼次さんも驚いていたから高いのかもしれない。

 でも僕からすると河合さんも大して変わらない感じなんだけど。

 レベルが高くなる程上がりにくくなるのは目に見えている。


「うん、驚くよ……期待されるだけあるね。ちなみに武器は剣?」


「一応剣と魔法は両方使える様にはしてる。それでも兼次さんには勝てないけど」


「いや、2種類使うだけでも凄いよ。私は魔法だけだよ」


 魔法だけか。

 魔法使いが着る様な黒っぽいローブを着ているし、見た目通りだ。


「せっかくダンジョンに来たから魔法は使いたいなって思って。割と私に適性はあったんだよ?」


 そう言いながら火と水の魔法を両手で使った。


「うぉ! 同時に!? 凄くない!?」


「そう? 同じタイミングで使えるのは2種類まで。一応全属性は使えるんだけどね」


 僕も使えるが全属性を使えるだけでも凄いと聞いたのに、同時に2種類の魔法を使えるなんて凄い。

 と言うか、かっこいい!


 そんなやり取りをしていたら、先頭に立っていた大樹さんから声がかかる。


「さて、お前ら話はそれぐらいにしといて、モンスターのお出ましだ」


 目の前には数体のホブゴブリンが歩いてくる。


「よし、じゃあ真由と俊が合わせられるか見て見よか」


「そうですね」


「わかりました」


 23階層。

 一昨日21、22階と攻略して、この階層でも僕の力は通用する事はわかった。

 それとパーティや誰かと組んで戦う事でも、新しい行動をするとレベルは上がりやすい様で、レベルを上げるためにするべき事はわかって来た。


「じゃあ、私が牽制するから行ける?」


「了解。突っ込めばいいよな?」


「うん」


「じゃあ、頼む!」


 作戦は殆ど無しで、河合さんは詠唱をする。

 初めて組むならもう少し作戦を練ったほうがいいかもしれないけど、ホブゴブリン相手ならこれぐらいで十分だ。


「『ウォーターボール』!」


 走り出す僕に合わせて後ろから詠唱された水球が放たれる。

 複数放たれた水球が先頭のホブゴブリンに当たり、怯ませた。


 その隙を見逃さず一撃で首を跳ねる。


「よし!」


 この感じなら順調に行けるだろう。


「ちょっと大きいの行くね。『ストーン・キャノン』!」


 その声と同時に僕の横を石の球が通り、ホブゴブリンを吹き飛ばした。


「おっ!?」


 その光景に一瞬停止する。

 その威力だけで十分にホブゴブリンが戦闘不能になりかけていたからだ。


 そう考えたら僕と河合さんのレベル差は13レベル。階層もかなり先を行っているだろうし、普通に考えてこのレベルのモンスターなら余裕で倒せるレベルだろう。

 今回は僕のレベル上げに付き合って貰っているから合わせてくれているだけだ。


「奥山君、止めともう一体!」


「わかってる!」


 河合さんは一瞬止まっていた僕に攻撃する様に声をかけ、水球をもう一体のホブゴブリンの顔面に命中させる。

 僕も動き出し、


「はっ!!」


 素早く倒れている1体に止めを刺し、もう一体に剣を向ける。

 一瞬河合さんの魔法の威力に驚いたが、水球で怯んでいたホブゴブリンに数回剣を当て、止めを刺す。


 何も危ない所もなく魔素化したホブゴブリンのドロップアイテムを拾い、河合さんの下に向かって行く。


「お疲れー」


「うん、お疲れ」


「今の感じなら別に大丈夫そうだね?」


「大丈夫っていうか、僕が必要ないぐらいに感じたよ。河合さんだけで一瞬で倒せてたでしょ?」


 そう質問をしたら苦笑いをしながら答えてくれた。


「まあね。私の今の到達階層が38層だからね」


「38階層か……。大分先だな。ごめん僕の為に時間をかけてもらって」


「いいよいいよ! 仲間が強くなるならいい事だからね。それに強いモンスターと戦ってばかりだと調子が狂う事もあるから、息抜きにはちょうどいいよ」


「そう言ってくれると助かるよ。とにかく早く上の階層に行けるように頑張るわ」


「うん、そうだね。頑張って」


 でも、僕のレベル上げに携わるより、自分たちのレベル上げをする方が重要だろうに。

 そんな事を思いながら兼次さん達の下に向かう。


「今のところは大丈夫やな。じゃあ、この調子で次の階層に向かうか」


「そうですね」


 こんな感じで河合さんが手伝ってくれるなら、簡単に30階層までは行けそうな気がする。と言うか、周りがこの層では強いから手加減している状態だ。

 今思うと大樹さんも小百合さんも手加減しながら僕に経験を積ませる様に動いていたのだろう。


 内心ここまで簡単に行くと自分がどこまで一人で出来るのかわからなくなりそうだ。少し考えながら進んだ方がいいだろう。


「で、次の階層なんやけど。他の所と違ってボスがいる」


「ボスですか?」


 ボスがいる?

 次は24階層なはずだ。いつもなら切りがいい数字の25階層にボスがいるはずなんだけど。


「ああ。と言うか、24層と25層は立て続けにボス層で、ここが中級冒険者になれるかどうかのターニングポイントになる」


 そう言う兼次さんの顔が真剣になった。





     

33話に続きます。

次回の更新は来週火曜日。夕方ごろです。

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