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32話-1「攻略のためのメンバー」

新キャラ登場回!



「はあ、疲れた」


 いつも通りの昼休み。会社の休憩室で昼飯を食べるために椅子に座る。


 今日も朝から課長に詰められていたわけで、それが毎日続くことに嫌気がさしている。

 と言うか、今日は僕が詰められる意味が分からない。


「……ダンジョンに行きたいなー」


 本当は今日まで有給休暇を取っていたはずなのに、担当のお客様からのクレームがあって僕が出向かないといけない事になったので、出社する事になった。

 この有給休暇の間の事は全て課長に任していたのに、課長がミスった事で僕にまで回ってくるとか、マジで意味不明だ。

 実際担当の僕が行った事でまとまったから良かったけど。はっきり言っていらない事をしなくていいと思う。こういう時に自分の部下の顧客を動かすのも上司の仕事になるから仕方ないかもしれないが。


「それでも、僕のせいにされるのはサラリーマンの性なんだろうか……」


 ミスは部下のせい、功績は上司のおかげ。

 上に立つものとしてどうかしてるよな。兼次さんを見習って欲しいよ。


「……あれ? 奥山くん?」


 黄昏ながら買ってきた昼飯を食べていたら、休憩室に見知った顔の女性が入って来た。


「……ん? 河合さん? おつかれー」


 最近休憩室に来ると同期と会う事が多い感じがする。

 この前は谷口と3人でも会ったし。もしかすると思っているより休憩室使っているのかも?


「お疲れー。奥山くん今日も有休だった気がするんだけど?」


「その予定だったんだけど、課長に呼ばれてさ。担当のクレーム処理してた」


「ははは、それは災難だね。ここいい?」


「どうぞ」


 苦く笑いながら河合さんが自動販売機でコーヒーを買って目の前に座る。


「でも今日はこの前みたいに疲れてなさそうだね。逆に元気そう? 何かいい事でもあった?」


「そうだなー、この前話してたダンジョンがいい感じでさ。そこで教えてくれる先輩が……まあ、30代後半ぐらいの人なんだけど、その人がかなりいい人で、今度パーティーメンバーを紹介してくれるって話になったんだよ」


「へー、そうなんだ……」


 ダンジョンの話をすると河合さんが少し悩む顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻った。


「……ん? どうかした?」


「ううん、何もないよ。それで楽しそうなんだね」


「そう見える? まあ、仕事のストレスはかなり発散できてる気がするかな。ダンジョンに潜っていたら仕事の事なんて忘れられるし、行って正解だったと思う」


「そうかぁ、それならよかった。ちょっと喋り方も元気になってるからこの調子で仕事もいい感じになればいいよね」


「うん、けど、あの課長の下にいるとちょっと成長できない気がするけどな」


「ははは、本当に変わったね。そんな事今までここでも言わなかったのに」


 そう言われてハッとする。

 今までそんな言動は会社内で言った事が無かったのに、少し気が緩むと言うか、変わってしまっているのかもしれない。


「あっ、やばいな。今のなしで! 聞かなかったことにしておいて!」


「ふふっ、わかった聞かなかったことにしとくね。でもそれぐらいの気持ちの方が良いと思うよ」


 そう言って河合さんが笑う。

 こんな風に同期と話していると思っている以上に休憩できる気がする。


「あっ、私もうそろそろ戻るね」


「あれ? 河合さんも昼じゃなかったの?」


「うん。今日は忙しいから少し休憩しに来ただけ」


「そうか、法人営業も大変だな。うん、じゃあ頑張って」


「ありがと。奥山くんもせっかくの有休なのに来る事になったけど、頑張ってね」


「うん、ありがとう」


 そう言って河合さんが立ち上がる。

 

 ……あっそうだ。


「あっ、そうそう。谷口も含めてこの前みたいに同期3人で飲みに行こうか」


「へー、奥山くんから誘ってくるって珍しいね。いいよ。隆斗くんにも言っておくね」


 そう言いながらニコッと笑って河合さんが休憩室から出ていった。


「さて、あと半日頑張りますか!」


 明日は休みだ。ダンジョンに潜ることができる。

 それだけでいつもと違い、今日を頑張れそうな気がする。






     

続きます。

次回の更新は火曜日、

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