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26話-4「ユニーク」



「はあぁぁぁぁっ!」


 剣を振りきる。その一撃でオークは沈み光の粒となる。


 これで17階層に集まったモンスターは全滅させた。体力的にきつかったのか思ったよりも時間がかかった。ゴブリンだけなら余裕なのだが、オークにコボルド、ブラックハウンドまで今まであったモンスター共を相手するのは中々大変だった。


「流石に疲れたぞ。このまま17階層をクリアしたら今日は終わるか?」


 思ったより疲れた。今日の目標が20階層まで行くことだったからもう少し頑張ってもいいが、下手をすると命に関わる事だ、切り上げるタイミングは注意した方がいい。

 しかも、ここはまだ17階層の半ばらへんだ、階層出口に到着してもそのまま先に行く気力は無くなっているだろう。


「で、あのコボルドはどっちに逃げただろうか」


 少し気になるのはあのコボルドだ。いや、少しどころか気になる存在でしかない。尚且つ最後の仕打ちはひどかったわけだし。

 あのタイミングで集香草を投げ捨てるとかモンスタートレインと一緒だと嘆く。これがモンスターかってか。


 しかし、すぐにでも追いかけたい気持ちを置いておく。一度冷静になるとあいつはまたの機会に残しておく方が楽しめるはずだと、また強くなって戻ってきてくれるといいなと思っている。


「ま、普通はダメだけどな」


 普通だと異例の事はシルクなどのギルド職員に話した方がいい。

 例えばその階層に合わない強さなら殆どの冒険者がやられる。他にその階層のモンスターがそいつによってやられる可能性もある。

 そういうケースがあるから迅速に伝えなければならない。

 しかし今回は自分の独断で黙っておこう。


 後であいつの存在が知れればめんどくさそうだが、知れ渡って他の冒険者に先を越される可能性は抑えたい。

 まあもし被害が出れば勝手に伝わるわけだし。



 そう思い17階層を進んで行く。


 その道中は見事に何もなかった。モンスターはそれまでに集まったものが大半だったのか、歩くだけではそこまで見つからなかった。

 そのせいかレベルも上がっていない。いや実際はコボルドとのバトルの後すぐに1つレベルが上がっていて、15レベルだけど。本当はこの階層で2レベルぐらい上がればと思っていた。

 しかしこの結果の理由はわかる。どれだけ工夫をしても限度があるし慣れてくればその分経験値の入りが悪くなると。


 ここまで来れば仕方ない、強いモンスターと当たればレベルが上がるのは間違いないしそれまでは地道な努力しかないだろう。

 うん、あのコボルドを倒せばかなり経験値は入るだろうし、またの機会の楽しみに取っておこう。あいつがユニークモンスターである以上また会えるだろう。


「さてさて」


 そんな事を考えながら着いた先は17階層の終わりの出口であり、次の階層の入り口。

 ここまでモンスターとの遭遇は数体だけだったのだが、思ったよりも疲れが見える。やはり一日に二回の攻略はやはり疲れるのだろう。ポーション類も使ってしまったし補給しなければいけない。

 思っていた通り今日はここで終わりにしよう。


 転送ゲートまでの通路を歩く。今までと変わらない通路は少しひんやりとした感覚は、疲れた体には心地よかった。

 カツンカツンと自分の歩く音だけが響き渡る静かな空間は少しの落ち着きを与えてくれる。


 この空間は安心感を与えてくれる。モンスターは入ってこないと。


 しかし、ユニークモンスターはいる可能性はある。


 頭の中はさっきのコボルドがいるかどうかでいっぱいで、いつでも大丈夫なように注意を怠らなかった。


 が、


 何もない。


 そのまま、何も起こらないまま、ただただ普通に転送ゲートに乗ることができたのだった。



 

これで26話終わりです。

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