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26話-1「ユニーク」



◇◇◇



「ユニークモンスターですか?」


「はい。普通とは違うモンスターですね。

 モンスターの殆どはダンジョンによって産み出されるのですが、中にはそうじゃない個体もいます」


「全てのモンスターがダンジョンが産み出してるわけではないと。でもそれがユニークモンスターとどう関係が?」


「それが、関係するんです」


 そう僕の質問に対しシルクは説明し始める。


「簡単に言うと、ダンジョンに産み出されなかった個体がユニークモンスターです」


「え? いや、ダンジョンに産み出されなかったって、じゃあどうやってそいつは産まれるわけで……」


 その言葉を言いながら僕は気づく。

 ここまでで見たダンジョン内の空間。そこは生き物が住める環境だったと。2階層でははっきりゴブリンの集落を見た。


 それを繋げると、


「モンスター同士の繁殖か」


「はい、そうです。繁殖により産まれた個体がユニークモンスターとなります」


 予想は的中した。しかし、繁殖により産まれたモンスターに違いはあるのか?


「私達はダンジョンに産み出されたのを「一世代」繁殖により産まれたのを「次世代」と呼んでるのですが、そこに大きく違いはあります」


「違いはある。それも大きくですか」


「一世代はダンジョンにインプットされた行動、つまり命令されてる行動しか取りません。例えば「敵とみなす者を倒せ」や「繁殖しろ」等簡単な命令に動いています。

 しかし、次世代は違います。繁殖により産まれることで命令が破棄されるみたいで、自分が取りたい行動を自由に取ります。戦闘本能だけに動く個体から戦闘が嫌いな個体まで、様々な行動を取れるようになります」


 ほう、個体によって自由度が違うわけか。


「その中で一番厄介なのが知能が高い個体です。

 そいつらが強くなりたいと思った時、ユニークモンスターになります。他の個体よりも強く、強さに貪欲になり同種族以外のモンスターにも戦闘を挑みます。そして、冒険者と同じく深い階層に進むのです」


 そこまで聞くとユニークモンスターの重大さがわかる。

 つまりそいつらはモンスターながら冒険者のライバルであり、敵でもあるということだと。



◇◇◇



「コボルドが、ここまで強いのか」


 目の前のモンスターに向き、警戒する。


 今までの他のモンスターと威圧感が違う。虐殺のオーガとは比べるまでもないが比較的強いとわかる。比べるならさっきのオーガぐらいか?


「ぎぎゃぁ!」


 コボルドに向いていると急に後ろから奇声が聞こえた。


「っ! 邪魔だな!」


 襲ってくるのは三体のゴブリン。ビビっていたくせに隙ができたと思ったら襲ってくるか! でも今はこのゴブリンなど目に入らなかった。今の僕に飛びかかってくるとか無謀にも程がある。

 三体の同時攻撃をバックステップで避ける。


「スラッシュ!」


 そして三体まとめスラッシュで斬り飛ばす。


「これでスッキリした、なっ!」


「ぐるあぁ!」


 ゴブリンを倒し向き直ろうとしたところ、容赦なくコボルドが襲ってきた。

 それを剣で受け止める。やられっぱなしではない、こっちも反撃に出る。


「活気盛んだなお前!」


 剣で打ち合う。

 さっきは不意打ちだったから押されていたがまともに戦えば遅れはとらない。

 手に余る相手じゃない。


 ふと、そいつの姿を見た。どこかで見たことがある気がする。


 ボロボロの防具にボロボロの剣。傷ついている全身、そして深い左目の傷。それが気になって、思い出す。


「あ! こいつ、あの時のコボルドか!」


 打ち合いながら声を上げてしまった。





 

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