25話-2「階層とレベル」
「これ、で、終わりだ!」
大きく剣を振り切りゴブリンを斬り飛ばす。
「ぐ、ぎゃ……」
吹き飛ばされたゴブリンはそのまま光の粒となって消えていく。
「っ、はぁ、これで最後だったよな……」
周りを見渡す限りモンスターは見当たらない。
モンスターが集まりだしてから小一時間、ずっと戦い続けてきた。今のゴブリンで周りのモンスターは全て倒したと。
はあ、やっと一息つけそうだ。
「あー、もう少し進んでから休憩するか」
ここで止まるともし周りに集まっていたら大変だ。今休憩するよりも移動してからにしようと思う。
その場に居続けるとモンスターが集まって、集まりだすと対処できなくなるからだ。
まあ、今の戦いでは常に前進しながら戦っていたし割と進んでいると思うけど、はっきりどれだけの距離を進んだのかわかっていない。
とにかく歩こうか。
「って、ん? あれ、もう森をぬけれ……お?」
そんな事を思いながら進んでいたらすぐに森をぬけてしまった。
「見えたな」
見えるのはいつも通りの階段への入り口。いつのまにかここまできてしまっていたらしい。
かなり進んでいたな。つまり、それだけ夢中にモンスターと戦っていたわけだ。
ここまで中々大変だったし、よし、このまま入って休憩するか。その方が安全だろう。
入り口に向かって歩いていく。
「……ん?」
数メートル歩いたところ、後ろから音がした。
「って。おい、まじかよ……」
後ろを向き、その状況に言葉が漏れる。
「早すぎだろ!」
見るとそこにはもうモンスターが数体集まっていた。全てゴブリンだけど。
「いや、もうこの状態で戦いたくない……あー、走る!」
モンスターに背を向け、全力でダッシュする。
くそ、気を抜いた矢先にこれだ。今は休憩したくてたまらない。とにかくここは逃げることにする。
経験上階段通路内に入れば安全だと考えてる。下層からのモンスターは殆どが上層に上がるのを拒む習性がある。強くなりたいモンスターは別みたいだが、滅多にそういう個体はいない。
こいつらはそうでないと願う。
あとあれだ、モンスターを集める原因である集香草の効果も、入れば届かないだろうと期待している。
とにかく十数メートル全力で走った。
「はあ、はあ、はあ、っ、すぐ集まるなよな、くそ、疲れたわ」
全力で入り口に飛び込み、勢いで走り抜ける。
襲われることなく無事に中に入ることができた。案の定中までは追いかけてこず、入り口付近で折り返し離れて行った。
「あんなすぐに集まるとか、早すぎだろ。あのタイミングでの全力ダッシュは疲れるわ」
息を荒げながら悪態を吐く。
しかし、これで休憩できる。
とにかく今は何も考えず、ここでゆっくり休憩してから行動しようと思う。
「はぁ、まじで疲れた」
通路の真ん中で大の字になって寝転ぶ。少し冷たい床が気持ちいい。
この疲れは精神的なものはなく、完全に体力的な疲れだ。このレベルでもあのモンスターの数は疲労を蓄積させる。最初は余裕だと思っていたが、やはり多量は思ってるより大変だと実感させられた。
でも、この方法はレベル上げにはもってこいだと再認識する。
実際今のレベルは14レベル。つまりこの階層で3レベル上がったことになる。あ、12レベルはオーガの余韻みたいなものだけどな。
しかし、1階層で1レベル以上上がったのは初めてだ、この計算なら19階層が終わっるころには20レベルだ。こんなに効率がいいなら始めからしておいたら良かったかもな。ほんと飛躍している。
色々と試しながらの攻略は経験値が入りやすいのだ。
しかし、今のところはうまくいってるが、この方法も始めのうちだけだろう。今はまだあるが、後々試すことがなくなって来るだろう。
するとしたら、次は二体同時に倒してみようか。魔法と剣で同時に攻撃するとか。