24話-2「再戦と再会」
このまま、いける!
片膝をついているオーガ、それに対して僕はまだダメージは受けてない。
「はあ、はあ、はあ。ははは、全然違うぞ。全く違う。圧力が違いすぎる」
倒れる寸前のオーガを前に呟く。
「オーガといってもあいつとは比べ物にならない。こいつにびびって動けなくなっていたとか、ちょっとな」
オーガを見下ろす様な形である事で余裕が生まれている。そのまま倒さずに様子を見ている。
ここまできたら負けないだろう。そもそも普通に戦えれば負けることがない相手なのだ。
ここまで戦える事に、僕も強くなっていると実感できる。
このまま様子を見ているだけというわけにはいかない。もうそろそろ決着をつけよう。
「これでまた一つ強く慣れた気がするよ」
そう呟き剣を振りかぶる。
こっちを見るオーガ。
それと目が合い、
「ゴォゥァァァァァァァ!」
「……なっ!」
オーガが突然動き出す。叫びながら棍棒を振り下ろす。
オーガのとっさの行動に驚き必要以上にバックステップを踏む。
動かないとは思っていなかったが、ここまで動くとは思ってなかった。
「くそ! まだ力があったか、うおぉぉぉぉぉ!」
しかし、オーガも最後の力を振り絞ったのだろう、その場から動いていない。
だが、それに対して僕は剣を振り上げる。
「はあぁぁぁぁぁ!」
剣を振り下ろす。
その一撃は確実にオーガに命中する。しかしそのままオーガを斬り裂く剣はすぐに方向を変え、再びオーガに襲いかかる。そして何度も何度も。
何かにビビっている様に、無心で技を繰り出す。
反撃もさせない。全力で斬撃を浴びせ続ける。
「おぉぉぉぉぉ」
まだ攻撃の手は緩めない。休む事なく剣を振り続ける。確実にオーガを仕留めるために、それに対してオーガは動けない。
息が上がる。オーガの様子は見ていない。
これでラストだと、深く構える。
「おぉぉぉぉぉ! スラッシュ!!」
今日一番の最大の一撃を放つ。
その一撃はオーガを激しく横一文字に斬りとばす。
オーバーキル気味に放たれた一撃は一瞬にしてオーガを光の粒と変える。
「……はあ、はあ、はあ、っふう……終わったか」
オーガの光の粒を見ながら激しく息を吐く。
剣を下ろしその場で立ち尽くす。
しかし、最初あれだけびびっていたのが嘘の様だ、心が落ち着いて来ている。
あれだけ激しく動いたのだ、そのゆっくりと消えていく光の粒が僕に爽快感を与えてくれる。
「はあ……」
無事にオーガを倒せた。
最後何か起こるかもとやけになったかもしれないが、倒せたのだ。
「いや」
ふとここまでを振り返ってしまう。
初めからしっかり動けていただろうか。いや、動けてなかった。
今思うと魔法を使わず剣で飛び出していたし、あれはパニックになった時の動きなのだろうか。
大体そういう時は一番体が覚えている行動を取る。あれは一番慣れているのがやはり剣だという事だ。
そして、あの連続攻撃もただオーガから逃げたかっただけなのかもしれない。
このオーガが弱かったらいいが、下手をすると反撃を食らう可能性もあった、雑すぎる攻撃だったと思う。
しかも最後のスラッシュも威力を出しすぎだ。本当にオーバーキルだ、もっと抑えられたと思う。
反省する点はかなり多いが、まあこのタイミングで気づけたのは良かった、まだ直せるタイミングだ。そう思う事にする。
しかし、これでオーガに対しての苦手意識はなくなっただろうか。次会った時に同じような感じにならなければいいが。
思い返すことは多い。終わってすぐに今の戦闘についての反省点が浮き彫りになる。
もっと練習しなければ。