24話-1「再戦と再会」
この回から文字数少なくなります。大体2~3000文字ぐらいで1話を分けている形になります。
「オーガ、か……」
そいつを見た途端、時が止まった様に動けなくなる。
たった一歩踏み入れた入り口で止まり、ただオーガを見つめるだけ。動かないじゃなくて動けない。
あの時の記憶が蘇りもう一歩が踏み出せないまま。
心臓が激しく鼓動する。溢れ出す冷や汗が止まらない。それを追う様に身体の調子が悪くなっていく。
「落ち着け、落ち着けよ……」
深呼吸する。
パニックになっている身体を無理やり落ち着かせようとする。
精神的な要因から来るこの状態からは、無理やり叩き起こすしかないと理解している。
頭では理解しているが、
「はっ、はっ、はっ……くそ……」
動かない。その一歩が踏み出せない。
息が切れる。心臓の音がより大きくなる。
なんだ、なんなんだ。ここまで辛いものなのか。今まで出会った他のモンスターに対しては何も思わなくなったのに。
克服はとっくにしているはずなのに、こいつ、オーガにだけはビビってしまうのか。
「くそぅ……」
生憎オーガはこっちをまだ見ていない。だだ中央でただ立っているだけだ。威圧もない、普通の他のモンスターと一緒。
思い出せ。そうだそうなんだよ、あの時のような威圧は感じられないんだ、あの時とは違うんだよ。
見たらわかる、オーガ自体のレベルも違うだろう、はっきり言ってこっちの方が弱いとわかる。加えて、自分のレベルもあの時の倍ある、強くなっている。50体以上のモンスターも対処できた。
なら、自信を持て!
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
叫ぶ。
叫ぶことで自分自身を奮起させる事が出来る。今までそれに助けられてきている。
すると、ふと身体の強張りが緩まる。
これを逃したらダメだ!
その瞬間一歩を踏み出す。それは自分にとって何かが始まる、大きな一歩。
「いける……」
しっかりと地面を踏みしめ、その勢いのまま走り出す。
オーガはこっちを見ている。当たり前だ、あれだけ叫べばわかるだろう。
オーガが対抗する様に叫んでいる。戦闘態勢だ。だが、
関係ない。
走りながら剣をぬく。狙うは足。前と一緒で足さえ止めてしまえば勝てる、セオリー通りだ。
オーガも棍棒を振り上げながらこっちに向かってくる。
それでわかる。あの時のオーガよりスピードも圧力も力強さも、劣っていると。
「はあぁぁぁぁ!」
オーガの棍棒よりもこっちの方が早い。オーガの攻撃を避けながら、すれ違う様に左足に攻撃する。
そこでもわかる。あいつより小さいと。
全てが劣っている。負けるはずがない。
「ふっ! はあぁ!」
体を反転させオーガに向き直る。そして立て続けに攻撃をする。
足だけでなく胴体にも。浅い切傷でなく、深く傷つける。自分が出せる一撃で。
攻撃は通る、ダメージはある。戦える!
「ごぉぅぁぁぁぁぁ」
オーガも黙ってはいない。もちろん反撃しようとするが、それは手に持っている棍棒での振りかぶり。しかしそのレベルの攻撃は当たらない、簡単に避けることができる。
攻撃のスピードも遅い。こんな攻撃ならビビることも無い。
避けたらすぐに反撃する。
落ち着いてきた、余裕も出来ている、この調子なら勝てる!
「はあぁぁぁ! これならっ!」
こっちは威力を上げるために大振りの一撃。避けられる事なく横一文字にオーガの胴体を切り裂く。
よし!これはかなりのダメージだろう!
「ゴ、ガァ……」」
オーガが片膝をつく。
おし!ダメージは通っている。あと少しで倒せる!
このまま、いける!
読んでくださりありがとうございます。文量について少ないと思われた方は2018年4月30日の活動報告を見てください。私の勝手かもしれませんが。