はんなりいきましょう の巻
そして撮影が始まっている。
助監督「それでは主演のかげろうお銀役を演じますさやさんです。」
さや「さやです。初主演で緊張していますがよろしくお願い致します。」
パチパチパチパチパチ
留久子「あれ、あの人って難波でストリートライブやってた人やないか。」
敏子「ホンマや!売れたんやなあ。すごいなあ。」
さや「総監督宜しくお願い致します。」
そういって監督に礼をした。
宋監督「はいはんなりいきましょう。」
助監督「さやさん。総監督ではなく、宋監督です。なんかと勘違いされているようですけど・・・」
さや「あ!すいませんでした。宋監督。」
宋監督「いえいえ。はんなりいきましょう。」
助監督「それでは、かげろうお銀のシーン56の撮影を行います。シーン56は、お茶屋でのシーンです。まずはお茶屋で働くゆりのセリフから。はい」
ゆり「おとうちゃんの病気を治すためここで頑張ります。」
助監督「はいおやっさん、亭主のセリフ」
亭主「本当にゆりはいい子だ。」
助監督「そこに4人の悪者が登場。」
親分「ふええええ。おい亭主金をよこせ!」
助監督「はいゆりは亭主の後ろに隠れる。」
亭主「なんだ君たちは、君たちにやる金などない。」
親分「お嬢ちゃんの前だからってかっこつけちゃって・・・おい」
助監督「指示を受けた悪者1が亭主を蹴り飛ばす。」
亭主「うわー」
ゆり「おやっさん!」
悪者1「金がないならこのお嬢ちゃんをもらっていこう。ふえええええ。」
助監督「それで、悪者がゆりを捕まえて、親分の方につれていく。」
ゆり「いやーおやっさん!」
亭主「ゆり!」
親分「かわいいじゃねか。これはいい・・ふええええええ」
助監督「そこでお銀登場!」
さや「そこまでだ!」
親分「誰だ?」
さや「お前らに名乗る必要はない!」
悪者2「親分、こっちもかわいい女ですよ。」
親分「ほう・・・(ぺろり)・・・今日は大量だなあ・・ふえええええ・・・おい」
悪者3「へい・・」
助監督「悪者3がお銀に近づく。」
悪者3「さあこっちに来るんだ。」
助監督「そこでお銀が腕をつかんで絞める。痛がる悪者3」
悪者3「うわーいててて。このアマ!」
親分「てめえらやってしまえ!」
助監督「そしてお銀に襲い掛かるも、バッタバッタと3人とも斬られる。そして親分との一騎打ちだ!」
親分「おのれえーーぶっ殺してやる!」
助監督「そういってお銀に襲い掛かる!」
カキン、カキン、カキン
助監督「そこでお銀がジャンプ。」
さや「たあー」
ズバ
助監督「まずはジャンプ斬りからの、横に斬り抜く。」
ズバーン
助監督「倒れる親分!刀をしまうさや!そしてゆりのセリフ!」
ゆり「ありがとうござました。」
さや「いや・・・」
助監督「そのまま立ち去ろうとするさやを呼び止めるゆり!」
ゆり「あのせめてお名前だけでも・・・」
助監督「振り返るさや。そしてカメラに向かって、セリフ!」
さや「我が名はかげろうお銀!ご隠居様のご用命を果たします。」
助監督「はいカット!!!といシーンです宋監督!」
宋監督「はいはんなりいきましょう。」
留久子「なんや・・・めっちゃ気合の入った助監督や!」
敏子「ホンマや!」
助監督「じゃあそれではさっそく本番行きましょう。あ、それで、お銀はあの梁につかまっておいてください。」
さや「え!あれにですか。」
助監督「はいカメラワークや、登場シーンのカッコよさから梁につかまっているのがいいですから。」
と指で画面を作りながら熱弁している。
さや「あ~はい・・・・」
助監督「では本番行きます。お銀は登って!」
さや「あ~はい・・・」
さやは登って梁につかまる。
助監督「シーン56カット1、よ~いス・・・・・そういえば宋監督。このシーンなんですけど・・・・ここはこうしてですね・・こうで・・・。」
さやは苦しいながらも必死につかまっている。
さや「うぐ・・・・」
しかし限界だ。
ドターン
さやが落ちた。
助監督「アカーン!どうしたお銀。」
さや「あの早く本番いってもらえないですかね。ちょっときついで・・・・」
助監督「あーごめんごめん。そうだったねえ。ついこだわりが・・・」
さや「はー」
助監督「では本番いきましょう。お銀登って。」
さやは登って梁につかまる。
助監督「シーン56カット1、よーいス・・・あ!でも宋監督、このシーンこうしてしまうと・・・それだとですね・・・・」
さやは必死でつかまっている。
さや「う・・・・」
宋監督「うんうん、はんなりいきましょう。」
ドターン
さやが落ちた。
助監督「アカーン!どうしたお銀!」
さや「だから!はんなりいきましょうじゃなくて・・・忘れてませんかね私の事!」
助監督「忘れるわけないじゃいか!主演ですよ主演。ねー宋監督。」
宋監督「はんなりいきましょう。」
さや「いきすぎやっちゅねん!」
さや「すいません。私が登ったらすぐ初めてくれますかね!打ち合わせは後にして!」
助監督「あーわかったわかった。すぐ始めるから・・・じゃあ本番行きます!お銀登って!」
さやは登って梁につかまった。
助監督「シーン56カット1、よ~いスタート!」
「チュンチュン。ここは人里離れた山奥のお茶屋。亭主と女の子2人だけできりもりしている。」
さやは必死でつかまっている。
ゆり「おとうちゃんのびょ・・・びょうきをなお・・・」
助監督「はいカット!」
ゆり「すいません。もう1回お願いします。」
助監督「いけるゆりちゃん。」
ゆり「はい。」
さやは必死につかまったままだ。
助監督「それではもう1度行きます。シーン56カッ・・・・」
ドターン
さやが落ちた。
助監督「アカーン!どうしたお銀!」
さや「いや間違えるのはいいですけど・・・」
ゆり「すいませんさやさん。」
さや「いやいいですけど、助監督!ここにつかまる意味ありますかね?」
助監督「え・・・・いやでも・・・・・考えると必要だと思うけどなあ・・・・」
さや「そうですか・・・・わかりました。」
助監督「じゃいいね。」
うなづくさや
助監督「それでは本番。お銀登って!」
さやは登って梁につかまった。
助監督「シーン56カット2よ~いスタート」
「チュンチュン。ここは人里離れた山奥のお茶屋。亭主と女の子2人だけできりもりしている。」
さやは必死でつかまっている。
ゆり「おとうちゃんの病気を治すためがんばりやんす・・・・あ!」
ドターン
さやが落ちた。
助監督「アカーン!!どうしたお銀。」
さや「いや・・・」
ゆり「すいません。恥かしい・・・・」
助監督「大丈夫だよゆりちゃん。みんな今のはなかったことになっているから。」
ゆり「ありがとうございます。すいませんでした。」
さや「優しすぎやろー」
助監督「じゃあもういち・・・」
さや「助監督すいません。」
助監督「何?」
さや「いや、あのやっぱり登る必要ないと思んですけど・・・」
助監督「なんで?」
さや「ゆりちゃんに対する態度とえらー違うなあ。あの、横から登場でいいじゃないですかね。」
助監督「宋監督どう思いますか?」
宋監督「はいはんなりいきましょう。」
助監督「そうですよね。宋監督も梁に登ったほうがいいって言ってるよ。」
ズッコケるさや
さや「言ってへんがなあ!・・・もうわかりました。じゃあ登ります。」
助監督「それでは本番いきます。お銀登って!」
さやは登って梁につかまった。
助監督「シーン56カット3、よ~いスタート!」
「チュンチュン。ここは人里離れた山奥のお茶屋。亭主と女の子2人だけできりもりしている。」
さやは必死でつかまっている。
ゆり「おとうちゃんの病気を治すため頑張ります。」
亭主「本当にゆりはいい子だ。」
さやは必死でつかまっている
さや「うううう・・・」
「そこに悪者がでてきた。この山いったいを根城にする山賊である。
親分「ふええええ。おい亭主金をよこせ!」
亭主「なんだ君たちは、君たちにやる金などない。」
親分「お嬢ちゃんの前だからってかっこつけちゃって・・・おい」
ゆりは亭主の後ろに隠れた。
指示を受けた子分の1人が亭主を蹴り飛ば・・・・
ドターン
この音は・・・・亭主を蹴り飛ば・・・・した音・・・いや蹴り飛ばしていない。
これは・・・・・さやが落ちた。
助監督「アカーン!どうしたお銀!」
さや「もう無理やわ!」
・・・・・・・・・・スタジオ中にさやの声が響いた。
宋監督「はんなりいきましょう。」




