退屈2
とりあえず、完結まで頑張ります。
「やった・・。」
少女は魔狼から槍を引き抜き肩の力を抜いた。その瞬間、魔狼の身体が急激に膨らみ爆発し、同時に黒い瘴気が辺り一帯を包み込んだ。少女は咄嗟に回避しようとしたが、完全には回避出来ず飛ばされてしまい、瘴気の中で意識を失うのであった。
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「ルルさんルルさん、小腹が空いたよ。街に着いたら何か食べましょう。」
少年は頭の上で日向ぼっこをするルルに言った。ここは街と街を繋ぐ道、何も無い風景を楽しみながら、のんびりと少年は歩いていた。
「私は焼鳥が食べたいかな!」
「いや、あなた鳥でしょうに・・。同族食べるとか・・。しかも、絶賛日に焼かれ中だし・・。」
と、ルルに少し引きながら少年は言葉を返す。
「知っているかい?鳥好きは鳥肉も好きなんだよ!!」
少年はルルの言葉を無視し、遠くを見つめていた。すると、遠く離れた森の手前で黒い煙が急に現れたのであった。
「ん?何か起きたっぽいですね。面白そうだから見に行きましょうか。」
少年は野次馬根性丸出しで黒い煙に向かって走り出したのである。
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「火事の匂いもしないし、なんかこの煙変ですね、吸ったら身体に悪そうだし。」
黒い煙の前に着いた少年は観察しながらルルに言った。そして、煙に手を翳す。すると、地面から上空に突風が吹き黒い煙は瞬く間に吹き飛び見えなくなった。
少年は煙がなくなった一帯を見渡すと倒れている少女を発見した。
「え・・、まさかの少女が倒れているのですが・・。」
「少女を焼いて食べようとするとは私より酷くないかい?」
「焼いてないですし焼鳥も焼いてますから、ルルさんと一緒にしないでもらいたいですね。」
少年はルルに言い返しながら少女に急いで近寄り生命活動の確認をした。少女は呼吸が細く今にも息が絶えてしまいそうであった。慌てて少年は手を少女に翳す。時間が経つにつれ少女の呼吸が段々と安定する。
「ゴホッ、ゴホッ・・。」
少女は咳き込んだ後、目を開いた。身体を起こし辺りを見渡す。そして、少年を見つけると、
「え・・、どうなっているの・・?瘴気の中で倒れていた筈なのに・・。」
「瘴気?黒い煙の事ですか?先程、自分が上空に吹き飛ばしましたよ。」
少女の問いに少年は答えた。少女は驚いた顔をしたが、瘴気が無くなり少年が目の前に居る現実に納得したのか、
「助けてくれてありがとう、私はアズハ。魔物狩りがメインの刻印者よ。あなたは?」
少女は少年にお礼を言うと名前を尋ねてきた。
「僕はルル、退屈凌ぎに散歩をしていた所です。それより、いきなり聞いて申し訳ないのですが刻印者って何ですか?田舎者だからよく分からなくて。」
頭に乗っていたルル(鳥)は名前を使われた事に怒り浸透なのか、ひたすら頭皮を突いてくる。
「あなた刻印者を知らないの?凄い田舎から出て来たのね・・。刻印者とは身体に術印を刻み刻印術を行使する者の事よ。刻印術を知らないって、瘴気も知らなかったし貴方どうやって瘴気を飛ばしたのよ・・?」
アズハは少年を不審に思い質問をした。
「世の中には言葉で説明できない事が一杯ですね。」
少年は満面の笑みで答えた。アズハは明らさまな誤魔化しを追求するか考えたが、助けて貰った事もあり追求しなかった。
「助けて貰った御礼がしたいから街に戻りましょう。報告もしないといけないし、それでもいいかしら?」
アズハは少年に確認を取った。御礼がしたいのも本当だか、不審な少年の正体が気になったのだ。
「いいですよ、丁度街で食事をしようと思ってましたから。」
少年は嬉しそうな顔で返事をしたのだった。