ミスターのご来店。
四月も終わり、五月になりました。
刻々と季節は春へと移り代わり、夜はまだ少し寒くはありますが、昼は半袖でも全然オーケーですね。
そんな過ごしやすい季節のはずなんですが……
うちの本屋さんに少し困ったお客様が来店されました。
酔っ払いだとか、理不尽なことを言ってくるとか、うるさく怒鳴るというわけではありません。
ある意味、それ以上にタチの悪いお客様なんです!
その人が歩くと皆が振り向きます。
その人の通り過ぎた後にはヒソヒソ声がこだまします。
ただその場に立っているだけでもバツグンの存在感。
オーラが身体中からダダ漏れです。
そう、彼は―――!
ミスターアセクサイだったのです!
彼が立ち読みすると自然と商品出しがしやすい環境に変わります。
お客様の入店退店の回転率が上がります。特に退店のベクトルで。
やけに他のお客様や店員と視線が合うようになります。
目が合った人は大抵引きつった笑みを浮かべています。
そんな周りのことなど気にもせず、今日もミスターはオーラを撒き散らしてました。
涼しくなってるはずなのに、なぜそんなにも汗臭さを際立たせることができるんでしょう?
ミスターの見た目は確かにぽっちゃり。でもデブと呼ばれるには少し貫禄が足りません。
それにも関わらず、なぜあんなにも汗を吹き出しておられるのでしょうか?
ただの書店員の私には、皆目見当がつきません。
さて、そんなミスター・アセクサイ。
今までいろんなミスターをお見かけしましたが、皆さんなぜか服装が統一されてます。
なぜか皆さんダルダルTシャツです。
ミスターになるにはダルダルTシャツが必須なんでしょうか?
それとも、ミスターのオーラがTシャツをあそこまでダルダルにしてしまったんでしょうか?
もしや、このダルダルTシャツこそがミスターご本人なんでしょうか!?
ただの書店員の私には、皆目見当が(以下略)
ダルダルのTシャツとミスター。
昔そんな曲があったような、あるわけないような。
すいません、ミスターのオーラに少しやられてるようです
オーラを撒き散らす以外は特に迷惑をかけてるわけでもないので注意もできません。
なかなかに厄介なお客様、それがミスターです。
ミスターが去った後もオーラだけがその場に残ります。
こういうのもオーラの泉って言うんでしょうか?
早いトコ枯らさないと他のお客様がその場に立ち寄れません。
お店の潤いをなくす魔の泉です。
おそるべしミスター。
皆さん、本屋さんで立ち読みをする際は少し周りを見渡してみましょう。
ヒソヒソ声が聴こえはしませんか?
やけに引きつった笑みの人がいたりしませんか?
もしかしたらそこには、あなたを中心にオーラの泉が湧いているのかもしれませんよ……
以上、ミスターのご来店のお話でした〜