華麗なる本屋さんの事件簿
事件は会議室で起こってるんじゃない!
本屋さんでも起きてるんだ!
……え〜、結構古めのモノマネで恥ずかしい始まりとなりました今回のお話。
わたくし、鮎坂カズヤが実際に経験した話ではあるのですが、いつもより思い入れの深いお話となっております。
それもそのはず、このお話は、私が解決に導いた事件なんです。
今回はその時の詳細を脚色や誇張を踏まえてご紹介致します。
「なんで前は出来たのに今は出来んのか!?」
とある平日の夜。商品のメンテナンスを行っている最中に、そんな怒声がレジの方から聴こえてきました。
何事かと思いレジを見ると、なんだかガラの悪そうなニーニーが新人の女性店員に何やら叫んでいます。
何かのクレームかと思い、急いでレジに救援に向かうと、女性店員が涙目で助けを求めてきました。
「どうしたの? クレーム?」
「鮎坂さ〜ん。このコミックを返品したいそうなんですけど、あちらのお客様、レシートをお持ちじゃないんですよ〜。レシートがないと返品出来ませんって言ったら怒鳴ってくるんです……」
新人さん、もう泣きそうです。
こりゃ対応変わった方がいいなと思い、そのシュリンクを破られていないままのコミックを新人さんから受け取ったのですが……。
「……ん?」
そのコミックを見た瞬間、違和感が湧きました。書店員アイの発動です。
これ、何か怪しいな。瞬時にそう思いました。
女性店員と対応を変わってそのお客様と退治、もとい、対峙です。
「大変お待たせ致しました。こちらの商品の返品をご所望ですね? レシートはお持ちではないんですよね?」
「さっきからそう言ってるやし! 早くやれ!」
「かしこまりました」
いくら怪しいとは言ってもクレーム対応なので、最初は下手に出ながら相手の意見を聞きつつ、どう対応するか図ることにしました。
「ではレシートを再発行致しますので、いつ頃買われた商品かおわかりですか?」
下手に出ながらも軽くジャブ。
この質問の意味は、本当にこのお店で買ったものなのかどうかの確認と、そうでなかった場合の矛盾を突くためです。
今回の場合はほぼ後者を狙ったものですが、予想通り、テンパってくれました。
「あー、……一週間くらい前だはず」
「え? このコミックは二日前に入荷したばかりの新刊ですが、昨日か一昨日ではないんですか?」
「あ、間違った。一昨日よ、一昨日」
「はい、一昨日ですね。どのレジで買われたか覚えていらっしゃいますか?」
「あー、……知らん。オカー(お母さん)が買ってきたものだから俺はよく知らん」
ち、そう逃げたか。
自らボロを出す前に、自分はよく知らない、だからこれ以上質問しても何も答えられんぞ、と言う逃げ口を用意してきたわけです。
だったらもう別の線、最初に気付いた違和感の正体を突きつけるのみ!
その前に相手を油断させるためと、他に手はないか考える時間を稼ぐために、相手に返品理由とお名前、ご連絡先を記入してもらいました。
きっちりと最後まで記入し終えたのを確認し、まるで今気付いたかのような演技をしつつ、私はそれを口にしました。
「あ、お客様! こちらの商品ですが、もしかして○○書店で買われた商品ではないですか?」
書店の名前を口にした瞬間、相手のお客様が止まりました。
無表情でしたけど、あれは絶対に一瞬混乱してましたね。なんでわかったんだ?って感じで。
実はこのコミックに施されていたシュリンクは、うちの本屋さんではしないタイプのシュリンク方だったんです。
うちのお店ではシュリンカーを使ったシュリンクをしますが、同じ地域にある○○書店では帯のように破れにくいビニールを巻くタイプなんです。
最初に対応した女性店員はまだ新人さんだったので、見た目で気付けなかったようですね。
そのことを指摘すると、途端にお客様は切れ気味に。
「はーや!? 知らん! 俺はこれ返品してきてとだけ言われたから来てる! どこで買ったとか知らん!」
「では○○書店に問い合わせてみますね。あちらも二日前に入荷してるはずですので、レシートの再発行も可能だと思います。○○書店のポイントカードはお持ちですか?」
「……はぁ!? もういいよ! 本返せ!」
お客様、もとい、ただのいちゃもんニーニーはコミックを持ってそのまま帰っていきました。
このことを店長に報告すると、店長も怪しいと思ったのか、すぐに○○書店に連絡。
すると、前日に同じ商品を含んだ何点かのコミックが万引きされていることが発覚しました!
万引きは心の底から許さないうちの店長。○○書店の店長と協力して監視カメラに映っていたいちゃもんニーニーをとっ捕まえようと怒り心頭です。
しかし、○○書店の監視カメラでは万引きの瞬間が特定できず、あのいちゃもんニーニーが犯人だとは断定できません。
このままお流れになるのかと思ったのですが……
意外なところから、事件は解決してしまいました。
あのいちゃもんニーニーが書いた名前と連絡先、実は本物の連絡先だったんです!
ウソの連絡先を書かずに、律儀にも本名と自宅の電話番号を書いてたんですよ!
店長がこの番号からいちゃもんニーニーの母親に連絡を取ったところ、以前にも同じような事件を起こしていたそうで、母親同伴で謝罪に来ていたそうです。
古本屋などに売るとそんなにお金にならないため、本屋に直接返品すればもっと儲かると考えての行動だったそうです。
後日、出勤時に店長からこのことを聞いて、事務所でスタッフ一同拍手喝采でした!
本屋さんなめんな!(モノマネ♪)
以上、華麗なる本屋さんの事件簿でした〜