面陳はセレブの素。
当店をよくご利用になる皆様はもうご存知かと思いますが、
わたくし、鮎坂カズヤは沖縄の本屋さんにと勤務しております。
沖縄といえば皆さん、何を思い浮かべますでしょうか?
観光地
海
シーサー
ちんすこう
キジムナー
チャンプルー
ゴーヤー
etc……
とりあえず沖縄っぽいものをズラッと並べてみましたが、皆さんもこのうちのどれかは思い 浮かべたものと思います。
しかし、沖縄と言えばあの自然災害のことを忘れてはいけません。
あの夏場の自然災害、台風のことです。
台風が沖縄本島に正面衝突してしまうとさすがに外を出歩く人はかなり少なくなります。
ひどくなると午前中で閉店なんてこともあります。
そんな一日の本屋さんの売り上げを奪ってしまう憎いあんちくしょう、台風。
正面衝突しなくても、船便で入荷してくるはずの商品をストップさせてしまうことだってあるのです。
そんな時の本屋さんは商品がない状況をどうやって乗り切るのか?
今回はそんな本屋さんの裏テクの一つをご紹介します。
面陳 [men-tin]
……面で陳列の略
平台と呼ばれる入り口前や棚の横にある台。(エンドとも言います)
そこには人気のある商品や新刊のコミックなどが表紙を見せて並べられます。
表紙を見せて並べることを面陳列と言うのですが、
本の表紙が見えると『商品がわかりやすい』 『手に取りやすい』と言う、その商品にとってのプラスのイメージが出てくるものです。
思わず手にとって商品をしげしげと眺めてしまうのです。
平台商品とはその日その時の看板商品、核となる商品なのです。
しかしこれが本棚の面陳だと少し意味が違ってくるんです。
――皆さん、想像してみてください。
棚にある背表紙で陳列されてる商品のうちの一冊が表紙が見える状態で陳列されているとします。
その商品がなんとなくその棚の中でもいい商品、おすすめの商品なんだろうな〜って思いませんか?
まさしくそう思った皆さん!
本屋さんの思惑にまんまとひっかかりましたね!
あれ、実は商品はなんだっていいんです。
背表紙での陳列だとガラガラになってしまう棚のスペースを埋めるため、スペースを無駄遣いするくらい豪華に商品を並べている感じに見せているんです!
実はスペースは無駄遣いしているんじゃなく、無駄に余ってるだけなんです!
それが面陳だとあら不思議! 見事に豪華なイメージへと様変わり!!
まさに裏テク! 収納上手は生活上手! 隣の奥様もびっくりの技術です!
この夏、面陳でセレブな気分を味わってみませんか?
……え〜っと、すいません、これ、あくまで当店の場合です。
ちゃんとその商品のためのスペースを取って本当に豪華に陳列してる本屋さんももちろんあります。
イナカの小さな本屋さんの小手先技術の一つと思って乾いた笑いの一つでもあれば幸いです。
……あれ、涙が出てきた。
以上、本屋さんの裏テクの一つ、面陳のお話でした〜