表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/32

面陳はセレブの素。

 


 当店をよくご利用になる皆様はもうご存知かと思いますが、


 わたくし、鮎坂カズヤは沖縄の本屋さんにと勤務しております。


 沖縄といえば皆さん、何を思い浮かべますでしょうか?


 観光地

 海

 シーサー

 ちんすこう

 キジムナー

 チャンプルー

 ゴーヤー

 etc……


 とりあえず沖縄っぽいものをズラッと並べてみましたが、皆さんもこのうちのどれかは思い 浮かべたものと思います。


 しかし、沖縄と言えばあの自然災害のことを忘れてはいけません。




 あの夏場の自然災害、台風のことです。




 台風が沖縄本島に正面衝突してしまうとさすがに外を出歩く人はかなり少なくなります。


 ひどくなると午前中で閉店なんてこともあります。


 そんな一日の本屋さんの売り上げを奪ってしまう憎いあんちくしょう、台風。


 正面衝突しなくても、船便で入荷してくるはずの商品をストップさせてしまうことだってあるのです。


 そんな時の本屋さんは商品がない状況をどうやって乗り切るのか?


 今回はそんな本屋さんの裏テクの一つをご紹介します。




 面陳 [men-tin]



   ……面で陳列の略




 平台と呼ばれる入り口前や棚の横にある台。(エンドとも言います)


 そこには人気のある商品や新刊のコミックなどが表紙を見せて並べられます。


 表紙を見せて並べることを面陳列と言うのですが、


 本の表紙が見えると『商品がわかりやすい』 『手に取りやすい』と言う、その商品にとってのプラスのイメージが出てくるものです。


 思わず手にとって商品をしげしげと眺めてしまうのです。


 平台商品とはその日その時の看板商品、核となる商品なのです。


 しかしこれが本棚の面陳だと少し意味が違ってくるんです。




 ――皆さん、想像してみてください。


 棚にある背表紙で陳列されてる商品のうちの一冊が表紙が見える状態で陳列されているとします。


 その商品がなんとなくその棚の中でもいい商品、おすすめの商品なんだろうな〜って思いませんか?


 まさしくそう思った皆さん!




 本屋さんの思惑にまんまとひっかかりましたね!




 あれ、実は商品はなんだっていいんです。


 背表紙での陳列だとガラガラになってしまう棚のスペースを埋めるため、スペースを無駄遣いするくらい豪華に商品を並べている感じに見せているんです!


 実はスペースは無駄遣いしているんじゃなく、無駄に余ってるだけなんです!


 それが面陳だとあら不思議! 見事に豪華なイメージへと様変わり!!


 まさに裏テク! 収納上手は生活上手! 隣の奥様もびっくりの技術です!




 この夏、面陳でセレブな気分を味わってみませんか?


 


 ……え〜っと、すいません、これ、あくまで当店の場合です。


 ちゃんとその商品のためのスペースを取って本当に豪華に陳列してる本屋さんももちろんあります。


 イナカの小さな本屋さんの小手先技術の一つと思って乾いた笑いの一つでもあれば幸いです。


 ……あれ、涙が出てきた。




 以上、本屋さんの裏テクの一つ、面陳のお話でした〜


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ