めくるめく返本の世界。
本屋さんには毎日のように商品が入荷されます。
曜日ごとにやってくる週刊誌。月ごとにやってくる月刊誌。
新しく刷られたばかりの書籍、そして過去の作品の文庫版。
さらには新刊・既刊コミックや定番商品(売れたら自動発注される商品)。
他にもいろんな商品が毎日のようにやってくるのです。
そんな新しく入荷した商品を店頭に出すためには、ある作業がかかせなくなります。
古い商品、売れない商品を抜き取って、取次ぎ店に返すと言う【返本作業】です。
毎日のように商品が入荷するため、この返本作業も毎日のように行われます。
全然売れてない商品は新しく入荷してもそのまま返本したりします。
「これは売れるでしょう!」と鼻息あらく発注した商品が一冊も売れずに返本なんてこともあります。
本屋さんは売れない商品には容赦ありません。
さてこの返本作業。
他店はどうか知りませんが、当店のバックヤードはせまいので基本は一人での作業になります。
まずは雑誌や書籍や文庫など、ジャンルごとに分けてダンボール箱に詰め込みます。
詰め込んだ箱に取次店行きの伝票を貼って返本棚に置いておくと業者さんが持っていってくれます。
言うのは簡単ですが、これ、結構手間と時間がかかる作業なんです。
それぞれの本の本体価格と冊数を伝票に記入するのですが、当店ではそれ、ほとんど手書きでやるんです。
とっても地味で、とっても寂しい作業です。
しかもバックヤードは人がたまにしか来ない上に店内よりも暗めです。
前にも書きましたが、たまに誰かに見られているような錯覚に陥るときもあるのです。こわいですね。
さて突然ですが、返本でメンドくさい作業ランキングです!
第三位!!
コミックのシュリンクはずし!
コミックにはシュリンクと呼ばれる薄いビニールが汚れ防止などの為に張られます。
コミックは返本する時にはシュリンクを全てはずして返さないといけません。
それを一冊一冊ビリビリとやぶりまくるわけです!
静電気で肌にまとわりつくシュリンク袋がなんともうっとうしく感じるバックヤードでの一時。
夏場、最悪。
続いて第二位!!
雑誌のふろくはずし!
雑誌のふろくは入荷持にはバラバラでやってきます。
ですので、返本時にもバラバラにして返します。
苦労して組んだふろくをハズしていくこのむなしさ……。
穴を掘ってまた埋めると言った刑務所での作業に似てますね♪
そして栄光の第一位!!
児童書の詰め込み!
児童書には絵本や音のする読み物やからくり風味の本などがあります。
とっても小さかったり縦長だったり出版社の方もお子様好みの本にしようと工夫されてます。
しかし、しかしですね……。
大きさや形がバラバラだったり、凝った中身のせいで一箇所だけ妙に厚かったりするので、
箱に詰め込みにくくてワジワジする!
(訳:詰め込みにくくてイライラすんじゃボケ!)
文庫やコミックなんかは型が一定なので詰め込みやすかったりするのですが、
児童書は大きさや形や厚みがバラバラなためにかなり詰め込みにくいんです!
まるで立体パズルです! ややこしくてワジワジしてきます!
最近ようやく慣れてきましたけど、以前は児童書入れたら箱が隙間だらけでした。
この作業のおかげで空間認識能力が向上したかもしれません。
なにかのリハビリ作業にいいかも。
作業療養士の皆さん、いかがですか?
せまいバックヤードでよければお貸しします♪
以上、本屋さんの地味な作業、返本作業のお話でした。