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謎の言葉、トイラードマーカー?

 

 本屋さんではお客様の問い合わせが日常茶飯事です。


 お客様の問い合わせにいかに迅速に丁寧に対応するか、本屋さんの実力が問われる瞬間です。


 本屋さんになりたての頃は問い合わせを受けるたびにあたふたしてた私も、今となってはスムーズにお求めの商品までご案内できます!


 そんな、少し調子に乗ってる頃のことです。

 

 とあるお年寄りのお客様から商品の問い合わせを受けたのですが……。




【おじい】

「と×&%○▲$はどま#~か?」




 は、はい!?


 滑舌が悪くて何て言ってるのか全然わからないよ、おじい!




【私】

「えっと……、すいません、もう一度お聞きしてよろしいですか?」


【おじい】

「だから、といらーどまーかー!?」




 トイラードマーカー?


 何だろう? マーカーペンのこと?


 うちの本屋さんでは文具も取り扱ってるんですが一応マーカーペンも取り扱っています。取り扱ってるんですけど……。


 トイラードマーカー? 初耳です。


 もしかして新しく出たばかりのマーカーペン?




【私】

「あの、新しく発売されたマーカーペンでしょうか?」


【おじい】

「は? 何言ってる? といらーどまーかーって聞いてるさ!」




 ……わ、わからない! 全っ然わからない!


 お店で扱ってる商品は一応把握しているつもりだったのに!


 こんな時に限って頼りになる先輩スタッフは近くにいません!


 自分だけが頼りのこの状況! 落ち着け、とにかく落ち着くんだ!




【おじい】

「えー、話聞いてるか!? やったーみんかーか!?」


 訳(話聞いてるんですかこの野郎。あなたは耳が悪い人ですか?)




 ダメだ! とても落ち着いていられない!


 おじいは再度あの謎の言葉「トイラードマーカー」を連呼してきます。


 その言葉がだんだん「泣く子はいねーがー!」に聴こえてくるくらいテンパってきたその時、救世主は現れたのです!




【文具担当S】

「どうしたの、鮎坂くん?」




え、Sさ〜〜ん!


文具担当、Sさんの登場です!


これ以上ない助っ人の登場でホッとしているところに――!




【おじい】

「えー、ネーネー! トイラードマーカー!?」


訳(やい、お姉さん。泣く子はいねーがー?)




 おじいは相変わらず謎の言葉を連呼。


 Sさんはほんの少し考えたあと、おじいに向かって一言。




【S】

「では、ご案内いたします」




 一発でわかったんですか、Sさん!?

 

 Sさんに連れられてなまはげ、もとい、おじいはお店の奥の方へ。


 その後、帰ってきたSさんに私は問い詰めました。




【私】

「Sさん、あのおじいが言ってた商品って何だったんですか?」


【S】

「ああ、商品違うよ。あのお客さんが探してたのはさー、トイレよー」




 ……そうなんです。


 あのおじいが発していた謎の言葉の正体は……。




【おじい】

「トイレはどまあかー?」


 訳(トイレはどこか?)




 いくら方言だから訛ってるとは言え、おじい滑舌悪すぎ〜!


 沖縄方言に泣かされそうになった瞬間でした。

 


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