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直接話しかけて呼び出す勇気はなかったので、みっくんの提案通り下駄箱に呼び出しの手紙を入れた。なんだかラブレターみたいで、ちょっとドキドキしながら手紙を書いたのは、みっくんには絶対内緒だ。


移動教室のために、みっくんとじゃれあいながら廊下を歩いていると、みっくんが前方に視線を向けながら片腕を持ち上げた。


「宮井だ」


みっくんの手は、明らかに指を指す形になっていて、あれ前にもこんなことあったなと思いながらその指の先を辿ると、いつかと同じように近くにいる人を指していたので、同じように慌ててみっくんの腕に飛び付いた。ん?宮井って言った?相手も同じかよ!


「なんかアイツ、こっち見てたよ。ってかガン飛ばしてた。なにあれ」


みっくんの対応に追われて顔を見ることなくすれ違ってしまったので俺は見ていない。一気に不機嫌になったみっくんを宥めつつ、本鈴の時間が気になって先を急いだ。だから俺は気付かなかった。王子様が振り返りじっと俺を見ていたことも、俺に気付かれないようにさりげなく首を巡らせたみっくんと睨みあっていたことも。




指定した時間は放課後、場所は校舎裏。掃除を終わらせ帰る支度をしてから、てくてくと目的地へ向かう。最後の角を曲がったら、既に相手は待っていた。俯き加減で校舎に寄りかかり、じっと動かない。慌てて駆け寄れば、足音で気付いたのかふいに顔を上げた。



「ごめんお待たせ。呼び出したりして悪かったな」

「いいよ。用事もなかったし」



言ってから全開の笑顔を向けられたもんだからちょっとびびる。



「あ、俺2-Aの佐久間っつーんだけど」

「知ってるよ。1年のとき隣のクラスだったよね」



そーだっけ?と思ったのが顔に出たのか、宮井の表情が曇る。だって存在知ったの最近だし!と思いつつも、1年生の頃に思いを馳せる。こんなイケメンと接触したっけな、なんて考えながらその顔をじっくり眺める。短い前髪の裏の額、形の良い眉、長いまつげに縁どられた少し細めの黒い瞳。すっと伸びた鼻筋に、薄い唇、ほんのり染まった頬。



「お、思い出せないならいいよっ」



知らないうちにじっと見つめながら腕を組んで考え込む体制に入っていた俺を、慌てたように制止する声が掛かった。



「ごめん」

「いや、いいんだけど。それで、今日はどうしたの?」


続く

誤字等ご容赦ください。

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