第二話 僕と友人と鬼畜ゲー 1
第二話
僕と友人と鬼畜ゲー
「今日さ、二人共ヒマ?」
放課後、クラスに居残っていた新島と荒北に尋ねた。
荒北が教科書(に被せて読んでいるエロ本)から視線を上げ、こちらを見据えた。
「俺? まあ、女の子と遊ぶのも飽きたしな。たまには男子と遊ぶのも「やっぱお前来んな」すいません、自分、調子くれてました!」
「新島は?」
「彼女と遊ぶのも飽きたからなー」
「「ブッ殺すぞ!?」」
本当なのだから尚更タチが悪い。
まあ、とにかく……。
「暇ならさ、家来ない?」
「ここが結城ん家か……」
「広いな……」
「そこまででもないけどね」
僕の家は、祖父母共に一軒の家に住んでいるため広めの構造となっている。
「ここが僕の部屋」
「「へ~」」
委細構わず乱雑に置かれたゲーム、教科書、その他もろもろ。
「本だけは綺麗に並べてあるな」
「うるさいな。とりあえず、今日は新島にやってもらいたいことがあるんだ」
新島が頭上に疑問符を浮かべる。
「実はさ、僕ヒマだったもんでゲーム作ってみたんだよ」
「お前は期末前に何をやってたんだ」
期末前だからこそやりたくなるんだよね。
「で、そのテストプレイをしろと?」
「うん、そういうこと」
「あれ、じゃあ俺は?」
「荒北、君は教科書 (エロ本)でも読んでればいいんじゃない」
「俺だけ扱い雑!?」
哀切な声を上げる荒北を無視して、僕はゲーム機の本体を新島に差し出した。
「取り敢えずやってみてよ」
「まあ、俺もヒマだしな。いいぜ」
言って、新島が電源を入れた。携帯ゲーム機 (ぶっちゃけ3○S)のランプが静かに点滅する。
差し込んだカセットは自由にゲームを作れるというもの。その中で、僕が作成したものをやってもらう。
3D○の上画面にソフト名が表示され、僕の作成したゲームのアイコンが表出する。アイコンの上にカーソルを合わせ、Aボタンが押される。ゲーム開始だ。
「タイトル名[ボケットモンスター]……パチモンじゃねえか!」
「『ポ』じゃなくて『ボ』だから著作権的にはセーフ」
「いやアウトだろ! 思い切り匂わせてるぞこれ!」
「気のせいだよ新島。さ、続けて」
背後で荒北が気持ち悪い喘鳴「ハアハア……白スク水は最高だな」を上げる中、新島がゲームを続行する。
画面には白衣を纏った白髪のおじいさんが現出していた。
『やあ、わしの名前はホーキド博士。世界中のリア充を研究しておる』
「おい、これポケ○ンじゃなくてパチモンだろ!?」
「新島……うまいこと言ったつもりかもしれないけど、ちょっと……引くわ」
「お前のテンションが読めない!」
現実を無視してゲームが進む。ホーキド博士は依然口上をのたまう。
『幼馴染、ハーレム、イケメン、そのようなテンプレに殺意を抱いておる』
「じゃあ、研究すんなよ!」
新島の渾身の突っ込みを無視して博士は続ける。
『この世にはリア充等という不届き者がおる。それらを全て抹殺し図鑑に記録するのがわしの夢じゃ』
「お巡りさん、お巡りさーん!!」
新島の虚しい声が部屋中に響く。
『そろそろ君のことを教えてくれないかな? (ニタリ)』
「やばい、殺される!?」
ゲーム画面に二人のキャラクターの陰影が映し出される。
『君は男の子かな? それとも男の娘かな?』
「選択肢が男しかねえ!! いや、それでいいんだけれども!」
新島が無難に男を選択する。
『君の名前を教えてくれ』
そしてそのまま名前を入力する画面へ。
「新島明だから。アキラ、と……」
新島がOKボタンを押し先へと進む。
『おっと、忘れておった。紹介しよう。わしの……』
「ああ、ポ○モンにはいるよな、ライバルキャラ」
『嫁のさくらじゃ』
「何故ここで!?」
ホーキド博士がパソコン立ち上げエロゲを起動した。
さくら:ユッキーのためなら、私なんでもするよ
「二次元かよ! って、そういやオー○ド博士の下の名前はユキナリだったな」
さくら:ユッキーのためなら、人殺しでもなんでも……。他の日記所有者にユッキーは殺させない……!
「ねえ、これ別のユッキーだよね。ホーキド博士のことじゃないよね。なんか未来○記のヒロインみたくなってるんだけど。そうだよね、これ」
「ごちゃごちゃうるさいな。早く続けてよ」
言われて、Aボタンを連打し始める新島。徐々にホーキド博士の影は縮小していく。冒険の始まりだ。
画面上では新島はまだ寝ている。
そこに、階下から女の子のグラフィックが現れ、ベッドの横に立った。
「あー、これ幼馴染とかそういう感じ? なんか普通だな」
「ゾクッとくるようなゲームだと保証するよ」
「そうか?」
アキラ:う~ん
?:アキラく~ん、起きて~
起きますか?
・起きる
・起きない
「おっ、選択肢か。ここはテンプレの起きない、だな」
・起きない(ピッ
アキラ:あともう少し……
?:起きないの? しょーがないな~
そう言って女の子が取り出したのは……。
さくら:起きないと殺しちゃうかな。かな? with大鉈
「さーくらさアアァァァアああァァん!?」
「ねっ、ゾッとくるでしょ?」
「そういう意味でか! しかも今度はひぐ○し寄りだし!」
アキラ:お、起きるよ……
さくら:嘘だ!
「なんか否定されたんだけど!? この子俺のこと起こしたいんじゃなかったの!?」
「最初に起きなかった君が悪い」
「こんなゲームにしたお前が悪い」
まあ、なんだかんだで部屋を出る。
階下では母親がキッチンの前に立っていた。
母:あら、アキラおはよう。ちょっと悪いんだけど、おつかい頼まれてもらえないかしら?
「ここで博士の研究所までいくわけだ。なるほど」
母:博士に……これ
「ん? なんだ?」
母:今月の分です、って渡しておいて
アキラは『ショバ代』と『ワイロ』を手に入れた!
「なんか俺ん家脅されてるんだけど……」
「世の中上手く生きるにはお金が必要なんだよ」
母:父をよろしくって言っておいて
「父親も……救えねえな」
アキラが家を出ようとすると母親が慌てて出てきた。
母:あっ、忘れてたわ
「そうだよ、ランニ○グシューズ! このままじゃBダッシュできねえじゃん!」
母:これ、渡しておいて
『けんじゅう』と『しろいこな』を手に入れた!
「おい、なんで主人公が冒頭から運び屋になってるんだよ!?」
「『ジョブチェンジ』システムを搭載してみました」
「ジョブチェンジの域じゃねーよ、これ! どうせなら竜騎士とかやりたかったよ、ちくしょー!」
「ひぐ○しだけに?」
「まだ引っ張るのかよ! 竜騎士さんのことは一端忘れろ!」
こうして、幼馴染のさくらちゃんが鉈振り回してついて来るけどスタ○ドと割り切って新島が博士の研究所へと進む。
「運び屋とスタ○ド使いの二重ジョブですか」
「不幸だ……。ボタンを押す俺の右腕になにかが宿っているとしか思えん。不幸だ……」
「早くその幻想(二次元)を殺せるようになるといいですね」
ボヤきながら研究所内へと入っていく。




