第一話 妄想は頭の中に止めておきましょう。
今日も当たり障りのない一日を終え、僕は二人の友人と共に帰路についた。
校門を出て、隣を歩く荒北に話を振る。
「12月だな」
「ああ、12月だな」
「12月といえば、あれだよな」
「ああ、あれね」
ここまで言えばわかるとは思うが、12月といえばクリスマス。小太りの赤いおっさんがホッホッホッ言いながら鹿に過重労働を強いるあれだよね。
「子供に絶望とかを届ける……」
「それはサタンだろ」
端から訂正を出したのは同じく友人の新島。
怪訝そうな顔つきをしている。
「子供に夢と希望を届けるんだよ」
まあ、至極まともな見解だね。
でも、僕はそうじゃないんだな。
「僕にはそうでもなかったけど……」
「どうかしたのか、結城?」
新島の問いに僕が頷く。
「毎年ウチはサンタに牛乳とクラッカーを置いとくんだけどね。去年はクラッカーだけ食い散らかされててさ。なんか置き手紙があったんだよ」
「なんて?」
荒北が口を挟む。
「いや、なんかさ……アールグレイ用意しとけって」
「は?」
「もしくはロマネコンティ……」
「結城のサンタはまだいいよ。俺にはプレゼントすら……」
「荒北は何をお願いしたの?」
悩ましげな顔に問いかける。
荒北がどこか遠い目をして言った。
「W○iの大乱闘スマッシュブ○ザーズを頼んだらWi○fitが来た」
「サンタの趣味丸出しだな」
「悔しかったんでBOOK○FFに売りつけてやった」
「さすがwww」
「大人は……汚いよな……」
僕は新島の方を見て言う。
「お前はなに頼んだ?」
「[輝かしい未来]を頼んだらなにも来なかった」
プライスレス!?
「まあ、もう赤いおっさんの話は置いといて。イブ……聖夜っていうんだっけ?」
「ああ、性なる夜ね」
「どんな夜だよ……。そうだな、キリストが生まれた夜だからな。聖夜で合ってるぞ」
「性夜っ、性夜っ、性夜……おぉふ!?」
「黙ってろ」
荒北が沈んだところで、話を戻そうか。
「世間一般ではカップルなんかが騒ぐけど……。みんなイブに用事ある? ないよね?(要約:彼女とかいたら殺す)」
「フッ……。悪いな、その日は彼女とデートの約束があるんだ……」
「荒北、その彼女と三次元でデート出来るといいな」
「ちょっと調子に乗ってみたかったんですぅぅぅぅう!!」
「すまん。その日は彼女と約束が……」
「総員戦闘態勢、用意!!」
「頼む。頼むからどこで密輸入したか分からない拳銃をしまってくれ」
拳銃とナイフを構える僕らに新島が言った。
「荒北、お前は。お前は俺のことを裏切らないよな?」
「結城。俺は魔法使いになると言われる男だぜ?」
寧ろお前は大賢者になりそうだからな。
※30まで貞操を守ると魔法使いになると言われています。
「荒北……。こういう時[だけ]はお前と友達でいて良かったと思えるよ」
「あるぇ? [だけ?]」
普段のこいつは教室で放送禁止用語を連呼するからね。
「とりあえずはこいつをぶち殺すか」
「まあ待て。俺の彼女の写真を見せてやるから」
「それは僕たちへの挑戦状かい?」
「お前、自分だけモテると思ったら大間違いだぜ!」
「……え? お前らモテんの?」
そんな心底意外そうな顔しなくても……。




