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みつ
時として人は、甘美な誘惑に嵌り、溺れていく。
ここにもまた、愚かにもその甘く切ない香りに誘われた者が一人ーー。
銀色のドレスに身を包み、じわりじわりとその身を火照らせる。30分。その永遠とも思える時間の中、焦れる気持ちを抑えつける。しかし、その苦しくも心地よい時間も終わりを告げる。軽やかな鐘の音が鳴く。さながら我が胸の嬌声を代弁するかの如くに。もうそこからは作法などない。
無我夢中にその衣を剥ぎ取っていく。かさりかさりという衣擦れの音が耳に心地よく響く。程よく火照った身体からは蒸気が立ち込める。黄金色に艶めくその身体に固唾を飲む。すっと銀色の三叉がその身に沈む。冷ややかなその感触を受け入れるように何の抵抗も示さない。そのままそれを口に運ぶ。
甘美な刺激が脳を突き抜ける。官能に自然と瞼が重く、視界に幕を引く。後はもう、それに身を任せるだけーーー。美味しよね、蜜芋。