異変
「ふぁぁぁ~」
ただいま7時50分。俺はベッドの上から起き上がる。
今日は4月1日。清流学園の始業式の日だ。
ちなみに俺の誕生日でもある。
誕生日プレゼントと言ってプレゼントを渡され、エイプリルフールの嘘だと言われた事も何回もある。
ひどくね?
「今日から2年生か。一年は早いなぁ」
一人で呟きながら、朝のコーヒーを入れてテレビをつける。
ついでに携帯のメールを確認する。
ん?なんで携帯の電源が落としてあるんだ?
……まぁいいか。
『先週に相次ぎ、人のペットが鋭い何かで、
腹を真っ二つに切断され
殺されると言う事件が発生いたしました。
住民の皆様は十分ご注―――』
テレビの電源を消した。
「物騒な事件がおきてるんだなぁ。
でも先週、そんな事件あったっけ?」
と、疑問に思いながら、再び時計を確認する。
……あれ?
オカシイナ?時計ガ、ズレテルノカナ?
昨日6時半ニ、セットシタハズナノニナ……
(ちなみに8時から始業式開始)
……
「って確実に遅刻だぁ~~~~!」
俺はせんべいを口にくわえ、走り出す。
え?何でせんべいなの?って?
前、パン咥えて行ったら、奏也さんに「男ならパンじゃなくて、せんべい咥えて走って来い!」と言われたからだ。
やっぱパンよりご飯だよね。うん。
-10分後-
「ま、間に合わなかった」
全力でダッシュしたが、始業式には間に合わなかったようだ。
くよくよ考えていても仕方ないので教室に向かう事にする。
にしても、何かおかしかったような……町の風景とか学校の大きさとか……
まぁ気のせいか。
-廊下-
教室に向かう途中でルミを発見した。
折角なので声をかける。
「おはよう、ルミ。始業式早々遅刻しちまったぜ」
……何か様子がおかしいぞ。
「……」
周囲がざわつき始める。
「おはよう、龍崎君。私は貴方の遅刻に興味なんて無いんだけど。
あと、勝手に人を下の名前で呼ぶなんてちょっと馴れ馴れしくないかしら?」
……え?
どゆこと?
まるで、俺が知り合いでもなんでもないようなその言い方?
どうして、いつもと違うのかと聞こうとしたが、
「失礼しましたー!」
と、俺の腕を掴み、俺をルミから引き離した奴が居たので聞けなかった。
そいつは、俺を廊下の端まで連れていき、信じられないと言う目をしながら、話しかけてきた。
「お前、あの琴音さんに話しかけるなんて、どういうつもりだ?
お前のランクはDだから、ランクAである琴音さんの金属の体に簡単に殺されちまうぞ!」
はい?
ランクA?D?金属の体?あの琴音さん?
分からない事だらけだった。
そもそもコイツ誰だよ。
色々な謎が頭の中を巡る。
そんな時、携帯電話が鳴り出した。
ちなみに着信音は「Beginning of fight」である。
相手は奏也さんだ。
「もしもし」
「おう、優太」
「用件は何です?」
「単刀直入に言おう。今日、なにかおかしな事、気になる事などは無かったか?」
「……山程あります。もしかして、奏也さんはこの事について何か知っているんですか?」
「…………フッ。屋上に来い」
その言葉を最後に電話は切れてしまった。
もちろん、俺は屋上に向かう。
-屋上-
「よう、優太」
「ようじゃありませんよ!今日起こった事、説明してください!」
「優太。疑問に感じたことを言ってみろ」
「ランクとか金属の体とかです!
あと、異常にルミが冷たい!」
「そうか、能力が無い世界か。おもしろい」
「真面目に答えてくださいよ!」
「いいだろう。だが、その前に1つ、お前に謝らなければならない事がある」
「なんですか?」
「すまない。ここはお前がもと居た世界ではない。
お前は、本日4月1日午前0時にお前の意思に関係なく……
平行世界に連れてこられた」