最後の平穏
俺、龍崎優太は【岐阜清流学園】に通う高校2年生である。
だが、そんな俺があんな事になってしまうなんて……あの時は思いもしなかったのである。
まず、あの話を語るには……あの日の事から語らなくてはならないだろう。
あの日は、俺に残されていた最後の日常。
これから二度と訪れる事はないであろう日常があったであろう日のことである。
-朝-
「ふぁぁぁ~」
ただいま7時。俺はベッドの上から起き上がる。
俺が通っている学園は明日、4月1日から学校がある珍しい学校だ。
つまり今日は春休み最後の日だ。
しかし、俺は学園の生徒会長であり俺の友達でもある「暁 奏也」に頼まれて、
明日ある始業式の準備に行くことになっている。
「今年からはあいつも入ってくるんだったな」
あいつとは、今年入学してくる「漆川真奈」という1年生のことである。
中等部に居た時に俺や奏也さんとある事がきっかけで出会った奴だ。
奏也さんが生徒会長の特権とやらを使って、入学前なのに生徒会に入る事が確定している。
「さて、そろそろ行くか」
-学園・生徒会室-
俺は生徒会室の扉を開ける。
「おう、優太。元気にしてたか?」
「人並みには」
この人が生徒会長、「暁奏也」さんである。
俺より1つ年は上だが、妙に馬が合い、よくつるんでいる。
ちなみに完璧超人だ。
「先輩お久しぶりです!」
「うん、数日前に会ったよな」
彼女が例の少女、「漆川真奈」だ。
明日から生徒会会計をやることになっている。
黒髪ツインテールが特徴的だ。
「おはようございます、優太さん」
「ああ、おはようルミ」
彼女は「琴音ルミ」。
大人しい性格である。
生徒会の書記をしている。
「ルミ」は漢字表記も出来るらしいがあえてカタカナを使っているのだという。
ちなみに、俺が片思いをしている相手でもある。
奏也さん曰く「脈アリ」だそうなので、近いうちに頑張ってみようとは思う。
この始業式の準備は、ここに居る生徒会のメンバー+各専門委員長+教師+各学年の代表+それぞれが呼んだ助っ人で行われる。
俺は生徒会の助っ人だ。
それぞれに役割が割り振られているので、他のグループの奴とはあまり会わない。
「さぁはじめようか」
-数時間後-
「そろそろお昼にしましょうか」
そのルミの声で俺達は仕事をひとまず止め、食事をすることにした。
昼食はルミの手作りである。
「お口に合うかどうか分かりませんが、どうぞ、めしあがれ」
ルミの料理はありえないほど旨い。
おそらく、並みの料理店などでは到底出せない味だろう。
どうやったらこんな味が出るのか、俺には分からない。
-夜-
「ふぅー、疲れたー」
俺はベットにダイブする。
1日ずっと、作業だったので流石に体に結構きていた。
特に腰がやばい。
「とっととシャワー浴びて寝るかな」
その日は、何だか嫌な夢を見た気がした。
だが、そのときの俺はまだ知らなかった。
その夜が、最後の平穏であったことを……