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それは
春の終わりだった
芽吹く花に
眼を向けぬまま
僕の春は
終わっていた
世界にはどれだけ
不幸な人間が
いるのだろう
薄暗い路地裏で
勝手に特等席にした
ビールケースに座り
ボンヤリと
そんな事を
考えていた
ある事が切っ掛けで
学校に
行かなくなった僕は
煌びやかな摩天楼の
中を徘徊する
蟻の様だった
何をする訳でも無く
同じ人の流れに
溺れて遊び
気付けば
公園のベンチで
眠っている
きっと
蟻の方がもっと
有意義だろうな
自分自身を
皮肉りながら
その無意味さに
苦笑いをした
そして
もうこの絶望から
逃れる術など
無いのかもしれない
不意に答えは
僕の中にやってきて
そんな
単調な答えにすら
僕は抗う事が
出来ずにいた
世界には
どれだけ不幸な
人間がいるのだろう
何の慰めにも
ならない
まるで多数決の様な
曖昧さにまで
僕は
縋ろうとしていた
夜が更け
深夜は
気温の変化と
反比例する様に
街の熱気は
上昇していく
暴れる様な喧騒も
踏み込んでは
いけない裏の部分も
今の僕には
心地良かった
すべてが継ぎ接ぎで
すべてが傷だらけで
ある意味都合の良い
一体感の様な
まやかしに浸る事が
今の僕にとっての
すべてだった
しかし
そんな刹那的な
快楽の中で
僕は1人の男と
出会う事になる
不躾な程図々しく
最も苦手とする
タイプの人間に…




