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9 気持ち

「ただいま!」

「おかえりなさい!」奥から、架奈美の声と共に、美味しそうな匂いが漂ってきていた。

既に架奈美が夕食の支度を整え、俺を待っているようだった。

俺は、一度部屋へ行き荷物を置いたら、直ぐにリビングへと向かう。


架奈美の手料理で腹を満たした俺は、リビングで休んでいる架奈美といつものように、談笑していた。


架奈美の方も、仕事や人間関係の方は上手くいっているらしく、俺は安心していた。

気になると言えば、むしろ俺の方だった。賢治のことを架奈美に話せるわけもなく、不安が募る一方で、架奈美の心境や周りのことを、ほとんど分かっていなかったのである。


「なぁ、架奈美…お前は、好きな人とかいないのか?」


無意識のうちにだった。

これまでの話題に何の関連性もないことを、言葉にして口から出していた。

急に、どうしたの? と言った表情で架奈美も、こちらを見ている。

「ご、ごめん…お前は、美人で可愛いし彼氏くらいはいるんじゃないかな?…って、何か急に気になりだして」

ますます、わけが分からなくなっていた。いや…完全に混乱していたのかもしれない。


そんな俺の様子に気付いてか、ふふっ と軽く笑った後、架奈美は答えてくれた。

「ありがとう…でも、付き合っている人はいないわ…好きな人は…いるけど」


……

…驚きだった。

そして、それと同時に、胸の奥が強く締め付けられるような痛みも感じていた。

…その後も、軽く談笑した後、風呂に入り部屋へと入ったが、あまりよくは覚えていなかった。


…そう、架奈美の、あの言葉以降のことは…



『「ありがとう…でも、付き合っている人はいないわ…好きな人は…いるけど」』



俺は、放心状態に陥っていた。

…胸が…痛くて、苦しくて…

(架奈美…架奈美…)

どんどんと、胸の奥に架奈美に対する想いが募ってくる。


…そして、その時、初めて気付いた…


…俺の中で、架奈美に対する想いは、兄妹のそれではなく…恋愛という対象にまで昇格していたことに…

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