4 朝食
風呂に入り、着替えを済ませた俺はリビングへと戻ったが、そこには架奈美の姿はなかった。
「もう、寝たか…今日は疲れただろうし無理もないな」
俺も、リビングの明かりを消し、自分の部屋へと戻り、今日は休むことにした。
【ジリリリリ~】
枕元で鳴る、携帯のアラームを止め、カーテンを開ける。
清々しい朝の光が部屋いっぱいに差し込んだ。
部屋を後にし、リビングへと向かうと、既にテーブルには朝食が並べられている。
「おはよう、俊弥義兄さん」
部屋の奥から、架奈美が顔を覗かせた。
「おはよう、架奈美…これ、お前が用意したのか?」
「うん、…ひょっとして嫌いなものとかあった?それとも、朝食はこだわりがあるとかあったりした?」
こだわりどころか、時間がないときは、朝食は抜きで済ませる時もあるくらいな俺にとっては逆に助かるくらいだ。
「いや…ありがとうな、架奈美」
こういう、当たり前だけど何気ない優しさに弱い男は結構、多いのではないのだろうか?
そして、俺も、その中の一人だった。
「あっ…そうだ、もし、俊弥義兄さんの予定が空いていればだけど、今日は休日だし一緒にどこかに食べにいかない?」
予定という予定など特にない俺にとって、断る理由などない。
…むしろ、久しぶりの架奈美との外食は、俺にとっては嬉しい出来事だった。
「そうだな、ついでに近くを散歩でもしてまわろうぜ」
うん と架奈美は嬉しそうに頷いてくれた。